ケイの読書日記

個人が書く書評

「呪われたルドルフ」 平井呈一編訳 創元推理文庫

2021-09-18 17:19:51 | 翻訳もの
 この「呪われたルドルフ」も前回UPしたものと同じ創元推理文庫「世界怪奇実話集」の中の一編。この「世界怪奇実話集」って、古い屋敷の中で誰もいないはずなのに話声がする、とか幽霊が屋敷内を動き回るっていう話がほとんどで、2つ3つ読むとお腹一杯、もう飽きてしまう。日本にも家にまつわる怪奇話はあるけど、西洋の方がうんと多いような気がする。
 なぜか?と色々考えるに、日本の家は昔から木と紙でできていて、燃えてしまう事も多く、耐久力に劣り土台から朽ちてしまうので、幽霊が屋敷に棲みつきにくいんじゃないかな。
 なんせ、築100年で大騒ぎしているもの。

 それに比べ、西洋の城や屋敷は、石造りで頑丈。何百年たっても土台は残り修復できる。だから、館の以前の持ち主の時代のいわくつきの幽霊がすみ続けるんだろう。とにかくひんやりして広くて薄暗いので、幽霊にピッタリです。

 で、この「呪われたルドルフ」は、それとはちょっと違って、オペラ歌手に化けた悪魔が、ルドルフのひ孫が住んでいる館に招かれてやって来るという話。ルドルフは1743年に亡くなっていて、今では絵画として額縁の中に納まっているから、このお話は1800年代の半ばの話なんだろう。
 このルドルフ男爵は怪奇話コレクターというか、不思議な話や怪談が大好きで、そういった話がある土地に行っては、怪談話を収集していた。領地の農夫たちが、そういった彼を「呪われたルドルフ」と呼んだらしい。

 いずれにしても私の興味は長続きしない。東野圭吾の「ガリレオ」みたいに科学的に説明してくれる訳じゃないから「えっ?夜中に物音が?不思議ですね」で終わってしまう。
 この実話集の最大の目玉は「屍衣の花嫁」という話らしいから、次回はそれを読んで、もうこの実話集はおしまいにしよう。
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