ケイの読書日記

個人が書く書評

「ヒトラーの娘たち」レビューその②

2021-12-18 13:46:29 | 翻訳もの
 前回UPしたレビューの続き。ヒトラーが1933年に政権を獲得し、1939年オーストリアを併合し(オーストラリア人は大喜び)ポーランドに侵攻、さらに東のウクライナやベラルーシなどに領土を拡大し、ソ連まで広げようとしていた。
 ヒトラーは自著の中で「ドイツにとってロシア(当時はソ連)は、イギリスにとってのインドと同じ」なんて書いている。すごく図々しい。でも、ヒトラーにとって、ロシアは劣等なスラブ人の国だから搾取されて当然、ゲルマン人に奉仕するのが当たり前なんだろう。
 イギリスがインドでやっている同じことを、なぜ我々がやってはいけないんだ?と憤慨していたかもね。当時、軍事的に強い国が弱い国を植民地化する帝国主義の思想は、広く世界に浸透していた。
 日本人も、偉そうな事は言えない。日本が満州でやった事も同じ。ただ、もう少し時間をかけてやっていた。

 考えてみれば、ドイツ第3帝国がヨーロッパ大陸の覇者になっていた時期って、結構、短いんだ。1939年9月のポーランド侵攻が第2次世界大戦の始まりとされ、1945年4月30日にヒトラーが自殺、5月8日に無条件降伏してるから5年半か…。
 1940年ごろから、ナチの信奉者たちがどんどん東のポーランド・ウクライナ・ベラルーシなどに入植していった。大農園を没収し、現地人オーナーを追い出し、使用人として現地人をこき使って、まるで領主様のような生活が出来たんだ。そりゃ、ハイル ヒトラーだよね。総統さまさまだよ。夢のような王侯貴族の生活が楽しめたんだから。2、3年は。
 ヒトラーは最初スターリンと手を結び、ソ連と平和条約を結んでいたが、1941年にそれを破棄して突如ソ連に侵攻、最初のうちは優勢だったが、1943年スターリングラードで大敗し、それからはどんどん支配地域を失って追い詰められていく。
 イギリスとの戦いも、最初は有利に進めていたが、これも早々に逆転され、連合国側がノルマンディ上陸作戦でフランスに上陸してからは、ドイツは窮地に追い込まれる。空爆でベルリンは瓦礫の山。

 西からは連合国軍、東からはソ連軍が迫ってくる。ドイツ兵は、ソ連兵じゃなくて連合国側に捕まりたかったみたいね。独ソ戦があまりにも悲惨だったので、復讐されると思ったんだろう。
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