日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

破綻するFIFAビジネス

2006-06-01 21:22:09 | ビジネス
カミナリ弟さん、「人材と言う名の企業資産」に丁寧なコメントをいただき、ありがとうございました。
「人材」や「ブランド」等は、企業のバランスシートに計上されるものではないし、村上ファンドから目をつけられるような材料とはならない。
これまで、「資産」として考えられていなかったとも言える。
でも、企業を構成するのは土地や有価証券などではない。
企業を動かしている「人」や、人が創りあげてきた「ブランド」だと言うことを、今考える必要があると言うことではないだろうか?

いよいよ今月から、W杯が始まる。
正しくは「FIFA World CupTMドイツ大会」だ。
なぜ「正しくは」などという注釈を入れたのか?といえば、サッカーのW杯の正式名称はFIFAが管理をし、商業目的で使用をする場合「商標」として使用料をFIFAに支払わなくてはならないからだ。
それほど、サッカーの世界ではFIFAは圧倒的な力を持っている。
しかし、FIFA自身がこれほどまでW杯をビジネスとして管理するようになったのは、日本が初出場を逃したアメリカ大会からだと言われている。

当時、FIFAのマーケティングを担当していたのは、電通とアディダスが共同出資して作ったISLと言う企業だった。
FIFAの世界戦略として始めて、南米や欧州以外の国での開催となったアメリカ大会は、オリンピック同様「スポーツビジネス」として成功を収めなければならなかった。ということもあったと思う。
ただ、それがビジネスとして成功してしまったため?FIFAはW杯をビジネスとして活用するようになったように思う。
それがフランス大会では、チケット販売をコントロールすることができず「空売り」という状況を作ってしまったのではないだろうか?
もちろんその背景には、日本国内でのW杯に対する過熱的状況があったとは、いえるかも知れないのだが・・・(フランス大会前に電通は、ISL社との資本関係を解消)。

日韓大会では、「完売」だったはずのチケットが実質的に余っていた。
FIFAが、契約をしていた英国の小さな旅行代理店が、売りさばけなかったチケットが試合当日になって判明したと言うことだった。
問題となったのは、実績がない欧州の旅行代理店が極東で行われるW杯のチケットを旅行とパッケージで販売すると言う、無理があったのだ。

そして今回のドイツ大会では、既に破綻した企業がある。
マスコットを製造販売していた、ドイツの企業だ。
おそらく相当のギャランティをFIFAに支払っていただろうし、ドイツのぬいぐるみと言えば「テディーベア」のシュタイフ社があることなどを考えると、キャラクター的問題が無ければ、商品としては良いものだっただろう。
そして、昨日は日本戦のチケット1200人分が確保できないとして、申込者へ返金と言う騒動がおきた。
今日になって、国土交通省が調査に乗り出すと言うことにまで発展している。

ちなみに、4年前の日韓大会のマスコットキャラクターを覚えている方はいるだろうか?
日本とも韓国とも関係のなさそうな、分けの分からない「宇宙人3人組」だったのだが・・・。
日本では、ぬいぐるみなどの商品化をした企業は、無かったように記憶している。
さすが「マーケット(市場)重視・日本」ということか。