日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「お手本」では無くなった、女性誌

2013-04-03 19:07:31 | ライフスタイル
今週、ある女性誌が創刊した。
幻冬舎が、Gift社という会社を創って出版した「Dress」と言う雑誌だ。
書店で、パラパラと見てきたのだが・・・何だかな~と言うのが率直な感想だ。
と言うのも、とにかく広告が多い。
記事なのか広告なのか判らない程、多い。

それだけでは無く、「この雑誌何が言いたいの?」と言う気になってしまうのだ。
読者は「40代のファッションや美容に敏感な女性」を対象としているようなのだが、今の40代の女性って、こんなこと考えているのかな?という疑問と、本当の読者として考えているのは、案外30代の独身女性なのでは?と言う気がしたのだ。
やや高め年齢の読者を設定し、雑誌で紹介されるようなライフスタイルに憧れを持つやや下の世代を、本当の読者層として考えているようなファッションや美容の紹介だったからだ。

かつて「JJ族」という言葉があった。
雑誌「JJ」に掲載されている、ファッションやヘアスタイル、メイクをお手本にした女子大生達のことだった。
雑誌に登場するモデルも「読者モデル」と呼ばれる、素人モデル。
ただし、東京の有名私大に通う華やかな雰囲気の学生に限定されていた。
その「東京の有名私立大に通う女子大生」が、全国の多くの女子学生(高校生も含まれていた)の一つのライフスタイルのお手本でもあった。

以来、女性雑誌の多くは「各世代のライフスタイルのお手本」になった。
残念ながら、私はこの手の女性雑誌には縁が無く(と言うよりも、全く似合わなかった)、傍観者的立場で見ていたのだが、最初の「JJ族」がOLになると、新しい雑誌が創刊され留様になり、その出版スタイルが現在まで続いている。

休刊になった「Glitter」は、「JJ」とは全く違う傾向のファッションだったが、「ライフスタイルの提案」という点では、同じだった。
ところが、今の30代から若い世代の女性達にとって、女性誌そのものが「ライフスタイルのお手本」では無い様に感じるのだ。
理由は「ライフスタイルの多様性」だ。
30代、40代になっても、独身の女性は多い。
独身といっても結婚経験者と言う女性も、増えてきている。
とすれば、「独身女性を読者層に」と考えても、未婚独身者と結婚経験独身者とでは、全く違う感覚を持っていても当然だし、違っているのが当たり前だ。
「JJ族」と呼ばれる女子大生が誕生する様な要素が無いのが、今のだと思う。

これから先登場する女性誌は、ステレオタイプ化した読者を想定するのではなく、雑誌そのものの「個性」で、読者を獲得して行く時代のような気がする。