日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

積水ハウスの新しい試みとマーケティング

2013-04-26 12:07:51 | マーケティング

今日、新聞に積水ハウスの大きな広告が掲載されていた。
住ムフムラボ」の広告だ(音声あり、注意)。

この「住ムフムラボ」の大きな特徴は、積水ハウスの住宅展示場では無い、と言う点だろう。
実際のラボは、今日大阪のうめきた・グランフロント大阪 ナレッジキャピタル 4階にオープンした施設、と言うコトになるのだろう。
ただ、今までの住宅展示場と大きく違うのは「住宅を見せる」のでは無く、「住まい方=暮らし方そして、生き方を一緒に考えましょう」という考えから造られている、と言う点だ。
実は、最近この様な「生活者と一緒に、新しいモノ・コトを創っていく」という考えの企業が増えてきている。
その理由が「今までのマーケティングでは通用しない」というコトらしい。

マーケティングという仕事をしていると、「これまでの手法では生活者が判らない」と言うコトが間々としてある。特にここ2,3年はその傾向が強くなってきていると感じるコトはあった。
だが、本当にマーケティングそのものが通用しなくなった訳では無い。
通用しなくなったと思うのは「誰に・何を・どこで」という、企業側から生活者を上から目線で発想した、手法が通用しなくなってきただけのことなのだ。
その背景にあるのは、インターネットを利用した社会的横の繋がりを、生活者が自由に使う様になったコトだろう。
今までの様に「企業が提供するモノと情報」を判断材料の中心としていたのが、口コミサイトなどの情報も参考にする様になった、と言うコトだ。

それらの情報を素に、商品改良などを進めてきたのが数年前までの日本の家電メーカーだった。
一見、生活者の気持ちや考えを反映している様に思えるが、中心となっているのはやはり企業側であって、生活者では無かったのではないだろうか?
今のような総崩れ状態になるとは思っても見なかったが、その頃から生活者の中には「改良・改善だけではモノを買う気にはならない」という雰囲気が、出始めていたはずなのだ。

その様なコトもあり、最近では「今までのマーケティングは通用しなくなってきた」とか「マーケティングを考える時代は終わった」というようなコトも言われ始めている。
本当のトコロ、マーケティングそのものの考え方というか、概念的な部分では何も変わってはいないと思っている。
「誰に・何を・どこで」という、判りやすく上から目線で企業側にとって都合の良い手法が使えなくなっただけで、マーケティングの本質は変わっていないと思う。
今必要としているのは、生活者と一緒に市場を創っていく、と言う考えだろう。
その考えを実験的に行うのが、積水ハウスの「住ムフムラボ」と言う施設であり、サイトなのだと思う。
その考えは、決して新たしいモノでは無く企業が生活者の一員である、と言う当たり前のコトに気づいたからできたのだと思う。

「マーケティングの本質」と言うのは、謙虚に活者と仲良くするコトで、生まれ育つ市場を創っていくコトだと考えている。だからこそ、この積水ハウスの「住ムフムラボ」に注目したいと思っている。