日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

視点が変わると、広告表現も変わる

2013-07-16 14:28:20 | ビジネス

朝日新聞社の広告局が中心となっている、「朝日広告賞」と言う広告の今年の大賞が決まった。
おそらく他の新聞社も同様の賞を作っていると思うのだが、一般の部門での受賞作品がとても面白いので紹介をしたい。
大日本除虫菊株式会社の、新聞向け広告↓だ。

この際「女性の下着姿はけしからん」と言った、お言葉はご遠慮願いたい。
注目して頂きたいのは「キンチョーは美容の会社かも知れないと思った」というコピーだ。
その為には、やはりこの様な表現が必要だったかも知れない。

大日本除虫菊株式会社=キンチョーは、ご存じの通り「殺虫剤」を製造販売している企業だ。
コピーにある「美容」とは、全く関係の無い企業でもある。
ではなぜ「美容」というコピーなのだろう?

答えとなるのは、「虫刺され」。
「虫刺されあと」は、些細なことでも「美容」という視点では、問題だ。
私も既に今年、数カ所虫に刺され、あとができている。
子どもの頃ならともかく、加齢とともに虫刺されあとは年を越すようになってきた。
「他人は気にしない」と言っても、本人は案外気になるモノ。
そう考えると「虫に刺されない=美容的問題を解決する」という、視点が生まれてくる。

直球ストレートなコピーというよりも、相当な変化球のコピーだが、マーケティングの視点で考えると「ハッと」させられるコピーでもある。

ちなみに同じ朝日広告賞で、同じキンチョーが同じ蚊取り線香のポスターで、入選している作品が↓だ。

撮影場所は、アフリカだろうか?
衛生環境という視点で見ると、殺虫するコトが命を守ることにも繋がる・・・と言う問題提起をしながら、製品の良さをさりげなく訴えている。

「視点を変える」と広告だけではなく、事業の視点も変わってくる・・・そんな良いお手本の広告だと思う。
ちなみに、これらの広告は実際に新聞や雑誌に掲載されたモノではなく、参加企業各社が出した課題テーマに対して、一般から応募された作品です。