日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「共感性」という化学反応

2013-07-10 19:13:59 | マーケティング

最近マーケティングとは関係が無い、仕事の依頼を頂いている。
ただ、一緒にお仕事をさせて頂くたびに、マーケティングという仕事の範疇の広さも実感している。

私が頂いている仕事というのは、医療関係。
医療の市場云々というのではなく、そのものズバリ、ドクター達からお話を伺うような内容だ。
お話を伺うドクター達というのは、30代~40代という臨床現場の第一線で活躍をされている方々ばかり。
そのドクター達が「患者さんと気持ちを分け合う、共感すると言うことが大事」という趣旨のお話をされることが多いのだ。

先週、「愛知広告協会」のセミナーに出席した時も、講師をされた某広告代理店の方が「共感性」をキーワードにされていた。
「広告協会」でのセミナーなのだから、当然お話の内容はビジネスに直結するような内容。
そこで言われた「共感性」と、ドクター達が言う「共感性」の趣旨はほぼ同じ。
患者と医療者側が、互いに理解しあい共感しあうことで、より良い医療になる、と言う趣旨なのだ。

しばらく前から、「病院における顧客は、患者なのだから「お客様=患者様」というべきではないか」という病院が増えてきた。
実はこの「患者様」という言葉に、抵抗感を感じる患者も少なく無い。
その理由は、「医療者側>患者」と言う上から目線のような気がする、と言うのだ。
患者にとって、良い医療者とは「自分の病気だけではなく、病気になって感じる不安や疑問を一緒に考えられる」医療者なのだ。
ある意味、「50:50」の関係を望んでいる。
その傾向は、「がん」など長期的かつ厳しい治療を要する患者ほど、その傾向が強いように感じている。

ところで、戦後~高度成長期にかけ日本の産業界の考え方は「つくれば、売れる」という考えだった。
それが第一次オイルショックなどにより、経済成長に陰りが見え始めた頃から「良いものをつくれば、売れる」という考えに変わってきた。
今でも日本の多くの製造業は「良いものは、必ず売れる」と信じているようだが、その考えは第一次オイルショック以降の思考だと考えている。
その後バブル経済という、狂乱的なマネーゲームの時代を経て、「失われた20年」へと変わっていった。

その間に、企業が生活者と「気持ちを共有する、共感する」ということが、どれほどあったのだろう?
「東日本大震災」という、未曾有の災害を経験し生活者の多くは、「生活の棚卸し」をしている。
その様な中で出てきている言葉の一つに「共感性」がある。
「生活者と共感し合う」と言うのは、「価値観を共有しあう」と言うコトかも知れない。
他にも、「企業が生活者の中に、飛び込んでいくこと」と言う考え方もあるだろう。

「生活者と共感しあい、共鳴していく中で化学反応を起こして、イノベーションが起きるのでは?」と言ったのは、先日のセミナーでの講師をされた方の言葉だ。
臨床現場の第一線で活躍をされているドクター達の感覚は、まさにその様なことなのかも知れない。
とすると・・・企業はどれだけ生活者の中にいるのだろう?
ドクター達の言葉にハッとされられるのだ。