「新型コロナ対策」として、政府が打ち出し相当額の予算を使って行う予定の「Go To Travelキャンペーン」が、当初予定の8月から7月22日へと繰り上げられた。
「夏休みのスタートに合わせた」ということのようだが、今年は突然始まった春休みに始まり5月いっぱいまで「自粛の為の休校」を実施していた公立学校も多く、来年の3月までに予定されている授業内容が終了するのか?分からない為、夏休み期間を短くし、授業に充てる小中校も多いと聞く。
学校関係者としては、「夏休み返上で授業をする」ということを、考えているということだろう。
それくらい長い長い2カ月だっただろうし、すべての学校で「on-line授業」が、できたわけではないはずだ。
授業の遅れを取り戻す、という意味での夏休みの短縮という考えは、当然といえば当然だろう。
と考えると、7月22日から夏休みに入る学校そのものは、限られているのではないだろうか?
この「Go To Travel キャンペーン」は、今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、休業を余儀なくされた旅館や旅行代理店を支援するための、観光業向けのキャンペーンだ。
このキャンペーンの指揮(?)を取る、国土交通省の赤羽大臣は「業界からの強い要望があり、キャンペーンの始まりを早めた」と、言っている。
朝日新聞:「コロナばらまき」?政府のGo To前倒しに疑問の声
大打撃を受けた観光業界としては、「Go To Travelキャンペーン」は、ありがたい企画だと思う。
観光業界の後押しを、政府がしてくれるのだから。
しかし、昨日1日で「新型コロナウイルス」の感染者が、全国で400人を超えている。
東京に至っては、過去最多の感染者数となっている。
毎日新聞:全国で新たに429人感染、計2万1854人に 2カ月半ぶりに400人超え
毎日新聞の見出しにあるように、昨日の感染者は3月に一時的に小中高校に要請していた、休校要請を解除した直後、花見などでごった返した時に感染拡大したのでは?と、想像される時期に感染した人達の人数と同じくらいの数字だったと、考えられる。
とすれば、昨日の数字は「自粛要請が解除」された頃に、移動した人達から拡大した感染者数だともいえるのではないだろうか?
とすれば、「観光業界からの強い要望」として「Go To Travelキャンペーン」を実施すれば、これまで感染者を出さないようにしていた地域にも観光客が訪れ、新たな感染者を出す可能性が高い。
それだけではなく、今も続く九州を中心とした大雨による災害は、日に日に地域を拡大しながら甚大な状況になりつつある。
特に熊本は酷く、温泉地などの旅館などは、営業できる状態ではない。
「新型コロナウイルス」による感染拡大も心配だが、今回の大雨による災害もまた、多くの人に「観光する気分になれない」という、社会的雰囲気を創っているような気がするのだ。
今の政府の考えは「国民の生活・暮らし」よりも、いわゆる「業界団体」に向いているような気がする。
「Go To Travelキャンペーン」を含む「Go Toキャンペーン」は、急いで実施する必要があるのだろうか?
少なくとも、今実施するキャンペーンなのか、大いに疑問なのだ。
今のような生活者が感じている不安や心配に寄り添うことなく、業界団体の利益を後押しするというのは、政府の政策として本末転倒のような気がする。