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ジャニーズ起用のCMは、マーケターの敗北かもしれない

2023-09-14 19:45:41 | マーケティング

まだまだ尾を引きそうなジャニーズ事務所の問題。
この問題が発覚してから、ジャニーズ事務所所属のタレントを起用していた企業が、相次いでCMやキャンペーンの取り下げを発表している。
取り下げとまではいかなくても、「契約の継続はしない」ということを発表している。

これらの報道を見て驚いたのは、ジャニーズ事務所所属のタレントさん達を起用していた企業の多さだ。
しかも大手企業ばかりだ。
飲料水メーカーに関していえば、全社起用していたのでは?というほどだった。
異常なほどの起用状態のようにも感じたのだが、逆に何故これほどまでにジャニーズ事務所所属のタレントをCMに起用し続けていたのか?という点が、気になった。

CMでタレントを起用する場合、CMをする商品やサービスの顧客として取り込みたい層に対して、どのようにアプローチをするのか?ということを考えなくてはならない。
その為に、顧客層の生活スタイルや需要、好むタレント像等を分析し、CMとしての「物語」を創っていく。
このような仕事を主に行うのが、CMプランナーという役割となるのだがプランナーとともに市場分析やクライアントに対するプレゼンテーションを行う担当が、マーケターということになる。

これほどまでにジャニーズ事務所所属のタレントをCMに起用される、ということは広告代理店にもジャニーズ事務所と深い関係があったのでは?と想像することはできる。
それだけではなく、CMプランをつくる過程で「クライアントを納得させるために、とりあえずジャニーズ事務所のタレントを起用しておけば、納得されやすいのでは?」という、安易な考えがあったのでは?という気がしたのだ。

確かに、ジャニーズ事務所に所属しているタレントさん達は、以前のような「アイドル」だけではなく、難関大学を卒業していたり、スポーツでそれなりの結果を残していた人たちもいる。
その意味でもジャニーズ事務所に所属しているタレントさん達は、CM等の様々な需要に対応できる人達が揃っていた、ということにもなると思う。
だからこそ、固定的なファンがいるため商品やサービスの顧客層と重なる部分も数多い、と考えたのだろう。
もっと広く候補者を探せば、もっと違う生活者アプローチができる可能性があったかもしれないが、固定的で失敗が無さそう、という理由で起用されてきたのではないだろうか?ということなのだ。

そのように考えると、ジャニーズ所属のタレントさん達のCM出演が増えたコトで、どのようなコトが起きていたのか?と、考える必要がある。
それは「商品やサービスの魅力や良さを的確に伝えるコトができていたのか?」という点だ。
一つの芸能プロダクションから数多くのタレントを起用する、というのは上述した通りクライアントにとって「冒険をせずとも一定数の好感度を持ってもらえるCM」ということになる。
しかしそれは「商品やサービスの差別化」になっていないかもしれない、ということでもある。

何故なら、いくら様々な個性を持っているタレントさん達であっても、ジャニーズ事務所という事務所の「色」があるからだ。
あるいは「事務所の個性」と言っても良いかもしれない。
その為「一定数の好感度は簡単に得られるかもしれないが、それ以上は難しい」ということでもある。

マーケターの仕事の中には「ブランド構築・ブランドマネジメント」も含まれている。
他社との差別化ができていないとすれば、それは「商品やサービスのブランド構築やマネジメントが十分ではない」ということにもなる。
その意味で考えた時、安易なジャニーズ事務所所属のタレント起用は、マーケターの敗北なのかもしれない、と感じるのだ。



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