新聞や雑誌のWEBサイトをチェックするのは、ルーティンのようなことになっている。
そして今日、同じ人物が2つのメディアに、登場していることに気づいた。
その人物とは「シルバーテツヤ」さんという、秋田に住む86歳の男性だ。
朝日新聞:プラダ着こなすシルバーテツヤ 秋田の86歳に世界注目
VOGUE Japan:「障壁にとらわれず、なんでも挑戦してみたらいい」-86歳のファッションアイコン、シルバーテツヤ【世界を変えた現役シニアイノベーター】
テツヤさんが着ている服は、お孫さんの服だ。
そのお孫さんが、ファッション大好きで自分のクローゼットの服を祖父に着せてみたら、思いの他カッコよかった!というところから、テツヤさんとの写真撮影が始まった、ということのようだ。
ファッション大好きのお孫さんが持っている服は、80代の男性が着るには随分派手過ぎる服なのに、とてもよく似合っている。
「服に着られる」という印象は全くなく、むしろテツヤさんが着ることで、服がイキイキとしているように思えてくる。
それはテツヤさん自身が様々な経験をし、年を重ねていく中で身に着けられた、「風格」のようなモノがあるからだろう。
小型耕運機の脇で若者に人気ブランドの服を着ている姿などは、若さに負けない「生きてきた力強さ」を感じさせる。
だからこそ、プラダをはじめとする欧州のファッションブランドが、新しいファッションアイコンとして見ているのだと思う。
考えてみれば、日本では高齢になれば地味な服を着るのが当たり前だ、という社会的な共通認識のようなモノがある。
シルバーエイジと呼ばれるような年齢になって、派手な色やデザインの服を着ていると、眉を顰める人は多い。
しかも世代や年齢に関係なく、「いかがなもの?」と言い、「年相応というモノがある」と陰で言われるようになるような気がしている。
そのような傾向を変える切っ掛けとなったのが、数年前に話題になった「Over 60 Street snap」という60歳以上の素敵な女性たちのスナップ写真集だった。
年齢を重ねてきたからこそ、派手な色やデザイン、アクセサリーに負けない「お洒落さ」を感じさせる、とベストセラーになったファッション写真集だった。
日本の社会には、様々な「制約」がある。
その中でも「年相応」という言葉は、「年寄りは派手な格好をするのは、恥ずかしい」というニュアンスも含んでいるかもしれない。
昨日、若い世代をサポートするために「シルバー世代は、良きメンターという役割を、引き受ける必要がある」という、エントリをしたが、若い世代の良きメンターとなる為には、年相応ではなく若い世代に負けないような、パワフルさも必要かもしれない。
「何歳だから・・・」という年齢に縛られることなく、自由にチャレンジするシニアの姿は、若い世代に刺激を与えるだろう。
そのアイコンとなっているのが、シルバーテツヤさんなのかもしれない。