日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

数字合わせの政策では・・・

2015-06-17 20:17:54 | 老親介護

昨日の朝日新聞に、「病床10年後に1割削減可能 政府目標、介護に重点」という見出しの記事が掲載されていた。
朝日新聞:病床「10年後に1割削減可能」政府目標、介護に重点

この記事に掲載されている地図をご覧になって、ある点に気付かれた方はいらっしゃるだろうか?
先日「日本創成会議」で、「高齢者の移住」を提言で示された「急性期病院(高度な治療を必要とする入院施設のある病院)」が(人口に対して)多い地域と、重なるのだ。
日本創成会議:東京圏高齢化危機回避戦略図表15 (注意:PDFファイル)

おそらく「10年後病床数を減らす」という考えは、2025年をにらんでのことだと思うが、その減らす対象地域は、先日、日本創成会議が発表したデータを基にしているのでは?という気がする。

確かに、首都圏での高齢者対策というのは、人口規模から考えても必要なことだと思う。
だからと言って、地方の人口減少が始まっている地域を減らせ!というのは、いかがなモノだろう。
ご存じのとおり、今現在「人口に対して病院が多い地域」というのは、東京よりも高齢化が進んでいる地域だ。
高齢化が進んでいる=現役の働く世代が少ない(あるいは減少している)地域と、考えてもよいのでは?
言い換えるなら、「介護職」に就いている現役世代が都市部と比べて少ない、あるいは人口的にはほぼ同等数ということも考えられる。
何より「地方だから病院が少なくても大丈夫」というのは、高齢者の現実を見ていないような気がするのだ。
というのも、今年1月突然独居の父が心筋梗塞で緊急入院をした。
60代であれば、3週間ほどで退院できたと思うのだが、父の場合、高齢ということもあり丸1か月の入院になった。
容体が変わりやすく、重篤化しやすい高齢患者の入院は、長くなる傾向にあるのでは?と考えるからだ。

そもそもこの「病床数削減」の基となる考えには、「在宅もしくは、在宅に準ずるような生活環境での介護」による「病床数の削減」なのだ。
「在宅介護」を基本として考えるなら、独居高齢者が多い地域ではいったい誰が「介護をするのか?」という点が、とても重要になってくるはずだ。
そのバランスが取れた状態で「(医療費削減のために)病床数を減らす」という考えにならなければ、都市部でも地方でも、単に「病床数が減ったが、介護難民の増加」になってしまう。

2025年の問題の根本は、「都市部・地方関係なく増加するであろう介護難民対策」なのでは?
日本創成会議で提案された「都市部高齢者の地方転居」にしても、今回の厚労省の政策にしても、なんとなく「都市部の都合のよい、数字合わせの政策」のように思えてくる。


「父の日」が、景気判断の一つの材料?

2015-06-16 19:15:37 | ビジネス

今度の日曜日は、「父の日」だ。
既に用意をされた方もいらっしゃるだろうし、「何かあるのかな?」と、心密に期待されている方もいらっしゃるのではないだろうか。

今年の「父の日ギフト」で売れ行きの良いアイティムは(順不同)、
1.革製品小物
2.お酒
3.家庭で着る服
だそうだ。

商品としては、代わり映えがあまりしないような気もするが3.の「家庭で着る服」というのは、甚平のような「ホームウェア」ではなく、ポロシャツなど週末等に出かける服、ということだ。

ここ数年、「父の日ギフト」で人気だった(と思っていた?)「甚平」などではなく、ポロシャツのような普段着に移ってきた、というのは「景気判断」としては、良い傾向らしい。
しかも今年は、オレンジ(シャーベットオレンジのような色合いか?)やスカイブルーのような、軽やかで明るいトーンの色が流行色。
売れ筋となっている色も、やはりこのような明るく軽やかなトーンの色だという。

このような「父の日ギフト」の傾向は、「景気回復」の一つの目安だとも考えられる。
というのも、家計出費の中での優先順位として、男性ファッションというのは、比較的低いからだ。
おそらくお子さんのいらっしゃる家庭などの優先順位は、
1.子どものモノ(教育関係を含む)
2.女性
3.男性
なのでは?

理由は、改めて述べる必要もないと思うが、やはりお子さんに対しては、教育面だけではなく成長に合わせて購入する被服も多く、当然支出としても増える傾向があるはずだ。
2.の女性(奥様)に関しては、化粧など身を整えるための支出はもちろん、服にしても流行があるため、ある程度毎シーズンのように服を購入している方のほうが多いと思う。
それに対して、男性の場合、身を整える支出そのものが女性に比べ高くない。何よりも「ファッショントレンド」などとは、基本あまり関係がない。背広一着を購入するときの支出は、婦人服よりも高いかもしれないが、毎シーズンのように、購入するわけではない。
言い換えると、男性の場合「様々なモノを購入する機会」そのものが、女性よりも少ないといえるかもしれない。

とすれば、革製品のような「シーズンごとに買い替えない」アイティムや、ポロシャツのように休日外へ出かけるための服。気分的にも明るくなるようなカラートーンに人気が集まっていること。
自分のための消費ではなく、「ギフト」として増えてきていることを考えると、緩やかではあるが景気マインドが上向きになりつつあるのかもしれない。
なぜなら「ギフト(=贈り物)を考える」というのは、「心のゆとり」が必要だからだ。




スマホにハイレゾは必要か?

2015-06-15 20:59:10 | マーケティング

Yahooに表示される広告を何気なく見ていたら、「ハイレゾ対応スマートフォン」の広告が出ていた。
調べてみると、すでに昨年の9月に発売されている機種の、今年の夏モデルの様だ。
ソフトバンク:XperiaZ4キャンペーン

ソフトバンクは、docomoやauよりもソニーのXperiaの扱いが遅かったため、android搭載のスマートフォンの人気機種のユーザーを増やそうということなのだろう。
そのためのキャンペーンを、他社よりも積極的に展開している、ということはよくわかる。
ただ、その前に一つ疑問に思ったことがある。
それは「スマホにハイレゾは必要なのか?」という点だ。

以前、高画質テレビよりも高音質テレビのほうが、需要があるのでは?という内容のエントリをしたことがある。
残念ながら、テレビを作っているメーカーさんの多くは、高音質よりも高画質のほうが魅力的らしく、先週末に入っていた家電量販店の夏のボーナスシーズン向けのチラシでも「4Kテレビ」への買い替えを勧めていた。
テレビ番組そのものが、あまり魅力的ではなくなってきているとすれば、何も「ハイレゾ」でバラエティー番組を見る必要はないのかもしれない、などと思いながらチラシを眺めていた。
とすれば、テレビのハイレゾ化に必要なのは、テレビ番組の内容次第ということなのかもしれない。

そして先日、appleが発表したように定額音楽配信が始まれば、スマホで音楽ショップにアクセスをし、音楽を聴くようになるのが当たり前になるだろう。
その音楽をハイレゾで聞ければ、確かに良いのかもしれない。
だが、そのような音楽視聴のスタイルで音楽を聴くユーザーが、高音質を求めるのだろうか?という、疑問を感じるのだ。
ハイレゾという高音質が発揮される音楽は、どんな音なのだろう?と、改めて考えてしまうのだ。
そもそもスマホというツールで音楽を聞くスタイルと、ハイレゾ音源で音を楽しむスタイルは、同じなのだろうか?

コンピューターにデータを打ち込むように作られる音楽の音源と、人が奏でる音源とではそもそも音の質が違うのでは?その音源の差が如実に現れるのがハイレゾだとすると、聞く側として「心地よい」と感じる音源は、どちらなのだろう?
コンピューターに打ち込まれて作られた音源だから悪い、というのではない。
あくまでも個人的な感覚として、「音の厚み」が感じられないだけなのだ。
ハイレゾという音源であればこそ、その「音の厚み」を楽しみたいと思うと、スマホで聞く気にはなれないのだ。
古い感覚の音楽ファンなのかもしれないのだが・・・。




アマチュア野球選手のゴールは、プロ選手だけなのか?

2015-06-13 20:12:22 | スポーツ

今日の午前中(日本時間)には、「なでしこジャパン」の試合があり、テレビ観戦をされていた方も多いのでは?
彼女たちのほとんどは、プロ選手ではない。女子サッカー選手の生活環境というのは、男子と比べると随分厳しい、ということはご存じの方も多いと思う。

そして、そのようなスポーツのほうがほとんどで、プロ選手として活躍できるスポーツは一握り。
日本におけるその頂点というのは、おそらく「Jリーグ」ではなく「プロ野球」だと思う。
最近ではサッカーも随分一般紙やスポーツ紙の紙面をにぎわすようになってはきているが、シーズンを通してトップ記事として扱われる回数が多いのは、プロ野球だと思う。

ネットのニュースチェックをしていたら、日本のスポーツメディアや野球関係者の志向(というか「思考」というか)が、随分古臭いのかな?という記事を見かけた。
産経IZA!:プロ注目の155キロ右腕が仰天発言 流経大・生田目「市役所に勤めたい」

試合の内容が素晴らしい結果だからこそ、ヒーローインタビューでいろいろなことを質問されるのだと思う。
当然のように「将来はプロ野球で活躍(できれば、具体的な球団名まで)」ということを、聞き出したかったのだと思う。
ところが「出身地の市役所に勤めたい」という答えは、肩透かしどころか、質問をした記者さんや一緒にいた記者さんたちにとっては「想定外」だったのだろう。
だからと言って「仰天発言」というのは、どうなのだろう?
「期待通りの回答ではなかった」ということもあるのだろうが、生田目選手の将来を関係のないメディア関係者があれこれ言うことではない。

実際鳴り物入りでプロの世界に飛び込んでも、活躍ができる選手などはほんの一握り。
多くの選手は、夢破れてその舞台から去っていく。
だからと言って、プロにいくことをけしかけたメディアには、責任は無い。
なぜなら「プロにいく・いかない」は、選手個人の選択だからだ。
であれば、「仰天発言」という言葉は、必要なかったのではないだろうか?
産経だけではなく、多くのスポーツ紙には同様の言葉が使われていた。
その使い方を見ると、アマチュア野球選手が目指す最終地点は「プロ野球でなくてはならない」という、ある種の固定観念にとらわれているかのようだ。

もし生田目選手が、市役所の職員として「市民スポーツ」にかかわるのであれば、それはそれで素晴らしいことだと思う。むしろ子どもの野球人口が減っている状況を考えると、歓迎すべきことかもしれない。
トップ選手を支えるためには、様々な人の力が必要だ。
スポーツ振興を考えるのであれば、指導者やスポーツ施設、場合によってはスポーツ医療や栄養学という、様々な人の協力が必要だ。
むしろ「ドラフト注目選手=プロ野球選手候補」という決めつけを外すことが、「スポーツメディア」には必要だと思う。


自分たちが「自由」な政党では、困るのは国民

2015-06-12 21:49:53 | 徒然

先週だったと思うのだが、国会で憲法学者3人が「集団的自衛権」をはじめとする現政権が提出している法案は「違憲である」と、発言をした。3人の中には、自民党寄りと思われた憲法学者さんもいたために、自民党側は相当焦ったのだろう。翌日には「違憲だという認識はない」ということを菅官房長官が、発表をしている。

そして今日、元自民党出身者で政界の重鎮といわれている3人と新党さきがけを作られた武村さんが、安保法案に対して反対である、ということを表明している。
この4人の方々に共通していることは、「(第二次世界大戦の)戦争体験者」である、ということだ。
そしてそのことに対して、菅官房長官は「すでに政界を引退された方の意見ですから、関係ない」という趣旨のことを話されている。

毎日新聞:<安保法案>保守系の重鎮4人が反対表明

正しくは、政界を引退されたのは福井さん、山崎さん、武村さんの3人で、亀井さんは現役の政治家である。
おそらく菅さんからすれば、亀井さんが現役であろうと、法案には全く影響のないと思われての発言なのだろう。
自民党時代の亀井さんの活躍ぶりを思うと、「随分失礼な態度だな~」という気がするのだが、党が違えば関係ない、ということなのだろう。

この「安保法案」そのものに対して、憲法を専門に研究している研究者から「違いますよ」といわれ、現役を引退したり、現在あまり影響力がないと思われる立場の人たちの言葉を「関係ありませんから。」という言葉で、済ませてしまう今の自民党に、不信感を持たれる方は多いのではないだろうか?

確かに今の自民党や安倍さんが、「決められる政治家・決められる内閣」という印象を、強く打ち出そうとしているのだと思うのだが、その方向が違っているような気がするのだ。
確かに「アベノミクス」で、景気が上向いた(ような気がした)時、「やはり、決められる政治家の存在は頼もしい」という印象を、世間に与えた。
でもそれは「経済」という、「人の命=戦争」とは関係のないことだったからこそ、国民から支持を得え(たように思えた)のだ。

しかし今回の「安保法案」は、「人の命=戦争」に関することなのだ。
「安保法案」に対する自民党の態度は、「自分たちが自由に、なんでも決められる政党」という印象だ。
自民党の正式名称は「自由民主党」だが、そこには「民主」はないような気がする。


アップルの定額音楽配信は、音楽業界そのものを変えるかもしれない

2015-06-11 15:54:48 | Weblog

先日、アップルが「月額の定額音楽配信サービスを開始する」と、発表をした。
日経などでは、音楽業界が大荒れになるのでは?と報道をしている。
日経:大荒れ、定額音楽配信、アップル迎え撃つ国内勢

音楽のネット配信が始まってから、あまり音楽そのものに接する機会がなく「アップルが、そんなサービスを開始するんだ・・・」程度の認識しかなかった。
ところが、よくよく話を聞くと、もしかしたら音楽業界そのものを、変えるようなことになるかもしれないという気がしてきた。

既に音楽を聴くスタイルは、Podの登場によって随分変わってしまった。
それはレコードからCDという形態だけではなく、生活者の音楽視聴スタイルそのものを変えてしまった、と言ってもよいと思う。
かつてソニーが「ウォークマン」を発売したとき以上の、暮らしの中の音楽視聴の大転換だったといっても過言ではないと思う。
それが今では、スマートフォンにダウンロードした音楽を聴きながら、スマートフォンでラインをするのが、当たり前になっているのでは?
「ウォークマン」の登場で、「いつでも・どこでも音楽自由に聴ける」にはなったが、「聴くため」には、レコード等からカセットテープなどに音源を落とし、そのカセットテープを持ち歩く必要があった。
今では、ネットからスマートフォンなどにダウンロードをすることで、音源を持ち歩く必要がなくなった。

それがこれからは「クラウド」上で管理をし、好きな時にアクセスをする、ということになる。
それだけなら、ダウンロードがクラウドに代わっただけのように思えるのだが、アップルの考えは音楽を提供する側にも大きな変化を与えようとしているようなのだ。
それは、かつてのような「音楽レーベル」に所属しなくても、音楽を配信することができる、という点だ。
youtubeに積極的に投稿する「Youtuber」の、音楽版のようなミュージシャンが登場するかもしれないのだ。

今は「メジャーVSインディーズ」というような、音楽業界の構図?がある。
メジャーデビューすることができれば、その認知度は一気に上がり楽曲がヒットする可能性が出てくる。
インディーズはあくまでもメジャーになるための、ステップに過ぎない。
それがミュージシャン側が自由に音楽配信ができるようになれば、メジャーではないがコアなファンを持つミュージシャンが生まれる可能性がある。
先日「総選挙」が行われた、AKBとその姉妹グループによる「人気投票」のようなイベントで、話題をつくり人気を作り出すのではなく、一般メディアでは取り上げない、ネット上だけのメジャーミュージシャンが生まれる可能性もある。
ストリートミュージシャンは、街頭で歌を歌いメジャーデビューを目指したが、これからはネット上で音楽を配信し、自分の感性と共感できるファンだけを相手にするようになるかもしれない。

そうなると、いわゆる「音楽レーベル」とか「著作権管理会社」は、ネット上のメジャーミュージシャンをどのようにあつかうのか?という問題が出てくるような気がする。
プロなのかアマチュアなのか?という線引きが、ボーダーレスになっていくことも考えられる。

アップルの仕掛ける「定額音楽配信サービス」は、そんな音楽界のイノベーション(または破壊か?)になるかもしれない。


英国大使館の意外な広報活動

2015-06-09 20:29:30 | アラカルト

昨日、イギリスの伝統的料理「ヨークシャープディング」のエントリをした。
その時「ヨークシャープディング」の画像を探して、ネットで検索をしていた時、意外なところで英国大使館の名前を見つけた。
見つけたサイトは「クックパッド」。
おそらく日本最大のネットレシピサイトだと思われる「クックパッド」に、レシピ提供者として英国大使館の名前があったのだ。

クックパッド:ローストビーフ&ヨークシャープディング

レシピ提供者は、英国大使館総料理長となっている。
他にも伝統的な英国料理のレシピが紹介されている。
英国大使館の公式キッチン
クックパッドと共同で英国大使館が、英国料理を紹介するキャンペーンを展開し、その時のレシピの一つとして、ローストビーフ&ヨークシャープディングが紹介されていたようだ。
レシピが投稿された年月日を見ると、2013年の12月からスタートし、その後も継続的にキャンペーンを展開しているようだ。

昔から「英国料理は、おいしくない」といわれ、時には「英国料理で一番有名なのはフィッシュ&チップス」とさえ言われてきた。フィッシュ&チップスがまずいわけではないのだが、フランス料理のような「その国の料理(全般)がおいしい」という印象は、残念ながらなかったといえる。
だからこそ?本格的な英国伝統料理を紹介し、英国そのものを知ってもらおう!という気持ちが、このようなキャンペーンとなっているのだろう。

そう考えると、この英国大使館とクックパッド共同のキャンペーンは、なかなか面白いと思う。
というのは、「食べることが嫌いな人」というのは、余りいないと思う。
毎日家で料理を作る人にとって、クックパッドはメニューを考えるうえで強い味方だ。
働く女性(男性もかもしれない)が、お昼休みに冷蔵庫の中にある食材を思い浮かべながら、夕飯のメニューを考えるとき、クックパッドでチェックをし、仕事帰りに足りない食材を買い足し、夕飯を作るということは普通のことだからだ。

もしクックパッド(でなくても「レシピブログ」でも構わないが)などに、地方の伝統料理の紹介がされていたら、どうだろう?特に、その地域でしか採れない「伝統野菜」などのレシピを紹介しながら、その地域を知ってもらう、という発想だ。
「伝統野菜」は手に入らなくても、代用品となる食材を表示することで、レシピそのものは十分活用でき、伝統野菜や調味料などを紹介することで、「お取り寄せ」の動機づけとなるだろうし、それが「その土地に出かけてみたい」という気持ちを起こさせるかもしれないからだ。

おそらく英国大使館がクックパッドと共同でキャンペーンを展開した理由の一つが、まさに観光誘致だったのでは?
英国の食文化を知ってもらいながら、いつか英国に観光で出かけたい・・・という、気持ちを生活者にさせる、という狙いもあったのでは?と、考えるのだ。

昨年「日本食」がユネスコの文化遺産に登録された。
おそらく海外では「日本食は外で食べるもの(=日本食レストランで食べるもの)」という認識のほうが強いと思う。
しかし、この英国大使館のように「料理を作ってもらいながら、文化を知ってもらう」という、発想になればこれまでとは違う「クールジャパン」の提案になるだろうし、それは上述した通り地方であっても同じだと思う。


ポップオーバーとヨークシャープディング・・・ネーミングの大切さ

2015-06-08 18:32:44 | マーケティング

昨年流行した商品の中に、「ハワイアンパンケーキ」があった。
今年マクドナルドでも、キャンペーンメニューに取り入れた、大流行のスィーツメニューだった。
そのパンケーキに代わる注目スィーツが「ポップオーバー」という、シュークリームのシュー皮のようなパンだ。

実はこの「ポップオーバー」の画像を見たとき、「どこかで見たことがあるな~~」と思いながら、思い出せずにいた。
どこで見たのかは、よく覚えている。会社員時代、当時勤務していた会社のオーブンレンジの新商品向けに、目新しいメニューということで、紹介されたパンに似ていたのだ。今から20数年前のことだ。
一応試作品として、食べたのだが・・・何とも味もそっけもなく「日本人に受け入れられる提案メニューとしては、厳しいのでは?」という女性社員の声で、このメニューは外されたのだった。
とても気になり、モヤモヤしていたのだがやっと思い出したのが「ヨークシャープディング」だった。
ウィキペディア:ヨークシャープディング

この時企画としては、「ヨークシャープディング」だけを紹介・提案するのではなく、メインは「ローストビーフ」。イギリスではローストビーフのグレービーソースを付けて食べる、というのが一般的な食べ方。何より「ヨークシャープディング」の焼き上がりの形が均一ではなく、一見するとどれもが失敗作のように見えたのも、紹介するメニューとして厳しいのでは?という理由だった。

今にしてみれば、時代が早すぎたのか?という気がしないわけでもないのだが、やはりもう少し視点を変えてみてもよかったのかもしれない、という部分もある。
まして今ブームになりつつある「ポップオーバー」を見ていると、「ヨークシャープディング」ではなく「ポップオーバー」であれば、若い女性やお子様向け簡単メニューとして提案ができたかもしれない、という残念な気がしてくる。

そう考えると、ネーミングというのは大切だと感じる。
「ヨークシャープディング」と言っても、どんな食べ物か想像がつかない。
「プディング」というのだから、お菓子のプリンのようなもの?と思って、現物を見るとお菓子のプリンとは似ても似つかないパンのような・・・シュークリームの皮のようなもの。
味そのものも、ヨークシャープディングは砂糖などを入れないため甘味などもなく、どう食べたらよいのかわからない。
それに対して「ポップオーバー」という、ネーミングになると弾むようなリズム感がある。現物を見るとそのネーミングとおりフワフワと膨らんで、軽そうな感じがする。こちらは砂糖を加えてあるため、そのままで食べてもおいしい。もちろん、フルーツやはちみつ、クリームなどを加えれば、もっとおいしい。

もし20数年前、「ローストビーフサンドイッチ」のような提案ができていれば・・・と、ポップオーバーのブームを見ると、残念な気持ちと反省の思いがある。



ウェラブルカメラという新しい市場を見つけた「ポラロイド社」

2015-06-06 22:54:17 | ビジネス

今や新聞社のWEBサイトは、単なるニュースの発信だけではない。
実は「通販」もしている。
例えば読売新聞の場合「大手町モール」という、ショッピングサイトを立ち上げている。
朝日新聞は、ショッピングサイトではなく「これぞ!」という商品を紹介し、ショッピングサイトリンクを張る、という形態をとっている。

その朝日新聞のサイトで、久しぶりに目にした会社があった。
「ポラロイド社」だ。
朝日新聞:アクティブに撮るウェアライブルカメラ
その中に「ポラロイド社」のウェアライブルカメラが、紹介されていたのだ。
ポラロイド:アクションビデオカメラ「CUBE」

ご存じの方も多い「ポラロイド社」。
富士フィルムの「チェキ」そのものは、ポラロイドのインスタントカメラと同じもの。
「その場で撮って、その場で現像。撮った写真をすぐにみられる」という、特殊なカメラと印画紙で、撮影の現場では「試し撮り」の必需品として、長い間使われていた。
使われていた時代というのは、フィルムカメラ全盛期の頃ということになるのだろう。
もちろん、「その場で撮って、その場で現像」という特性をいかし、一般向けカメラ+印画紙を発売していたのだが、後発?となる富士フィルムの「チェキ」は生き残り、本家ポラロイドは撤退ということになった。

そのころ盛んに言われたのは、携帯電話のカメラ機能にいち早く富士フィルムの「チェキ」は対応することができたが、それに対応することができなかったのが、ポラロイドということだった。
その後、ポラロイドも「チェキ」と同様の商品を売り出した様だが、「チェキ」ほどの認知度はないような気がする。

元々インスタントカメラを作っていたのだから、カメラの主要となる光学技術はそれなりにあったはずで、今回のウェアライブルカメラという市場に進出したことは、驚くことではないかもしれない。
ただ、すっかり聞くこともなくなっていた(と言っては失礼だが)名前を久しぶりに聞いたので、驚いたというのが本当のところだ。

しかし、この「ポラロイド」と日本のメーカー(この場合は、ソニーやパナソニックなどビデオカメラを得意としている企業)の発想というか、考えの違いに「なるほどな~」と感じている。
というのも日本のメーカーは、あくまでも「ウェアライブル」という、体に装着し撮影者の目線で写すことを考えているのに対して、ポラロイドは「手にもって写す」という発想の違いがあるからだ。
どちらが良い悪いではない。使い方の発想が違う、ということなのだ。
だからだろう、日本のメーカーは「ウェアライブルカメラ」という名称を使っているが、ポラロイドは「アクションカメラ」という名称を使っている。

その中で一つ感じたことは、ポラロイド社のトレードマークである、レインボーカラーをカメラのボディに使ってるのはポラロイド社の強いこだわりなのだろう・・・ということだ。


「高齢者移住」は、現実的なのだろうか?

2015-06-05 19:15:19 | 老親介護

今朝の新聞に「高齢者移住」という記事が、一面に掲載されていた。
朝日新聞:「高齢者の地方移住を」東京圏の介護需要、10年後45%増 創生会議提言

まず、なぜ10年後なのか?というと、団塊の世代の人たちが「後期高齢者」になるだけではなく、いわゆる「団塊ジュニア」と呼ばれる世代も、そろそろ現役を引退する時期に差し掛かってくるからだ。
高齢者になれば、当然様々な身体的衰えによる生活の不自由さだけではなく、病気にもかかりやすくなり、また治りにくいという状態になりやすい。

現在のように、東京に「一極集中」していることを考えると、創生会議が予測していることは現実としてあり得ることだと思う。
事実今でも「介護付き老人ホーム」などは、入居待ちという状態になっており、一人で複数の施設に入居希望を出しているために、本当に入居を必要としている人と入居希望者数が、合致していないのでは?という指摘があるほどだ。

ただ、創生会議が提言しているように「地方への移住」というのは、そんなに簡単な話ではないと思う。
一つは、受け入れる自治体にとって、「移住する高齢者を歓迎するのか?」という点だ。
ご存じのように日本の皆保険制度では、「等しく医療を受けられる」ことになっている。
しかしその財源は、地方自治体の財源に頼るところとなっている。
主だった産業もなく、高齢者ばかりが転居されても受け入れる側の自治体としては、決して快いものではないのでは?
「高齢者医療を支えるための財源確保」という問題を解決しなくては、財源の少ない地方都市では難しいのではないだろうか?

もう一つは「地域コミュニティー」という視点だ。
拙ブログでも書いたと思うのだが、今年1月実家の父が心筋梗塞で緊急入院をした。
実家がある米子市は、今回の創生会議で「移転先候補」として挙げられている。
確かに、人口に対して「急性期病院」の数は多いかもしれない。
それだけではなく、「急性期病院と町の診療施設等との連携(「地域包括連携システム」と呼ばれるようだ)」がしっかりと整っている。このことに関しては、名古屋よりも進んでいるのでは?と感じた点でもあり、驚いた点でもある。
「地域包括連携システム」というのは、「急性期病院(=高度医療を中心とした治療を行う病院)」で2週間~1か月程度の入院後、医療施設を持つ介護施設や自宅に移った後の医療や介護をスムーズに行うための、連携システムのこと。今高齢者医療を中心に各自治体が取り組んでいる。この「連携システム」により「急性期病院」での入院期間を短くすることで、医療費を下げ、患者のQOLの質も確保しようという狙いがある、といわれている。
特に、高齢者患者(介護施設への入所を必要としている人たち)のQOLという視点で考えると、「地域のコミュニティー」ほど重要なポイントはないと思う。
実際「ご近所力=地域のコミュニティー力」が、遠距離看護をしなくてはならなかった私にとって、とても心強かった。

この「ご近所力」だが、高齢者になりいきなり都市部から転居しても、発揮されるものではない。
長い間の地域内での活動や、コミュニティーへの参加などによる「力」なのだ。
団塊の世代の人たちが、現役を退く頃からブーム?になった「セカンドライフの田舎暮らし」というのは、そう甘いものではない。
むしろ理想と現実は、大きく違うという覚悟が必要だと思う。
何より「都市部の生活の延長としての地方での暮らし」などは、あり得ない。
交通が不便というのはある程度我慢ができても、「人との付き合い方の密度」というのは、都市部のようなわけにはいかない。

とすれば、むしろ都市部には都市部向けの「高齢者施設」という考え方が、必要なのではないだろうか?
今まで都市部で生活をしていれば、その生活そのものに「愛着」があるはずだ。
単純に「施設の数」などで「高齢者の地方移転」というのは、安直な気がする。