北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上輸送能力を如何に確保するか

2005-07-29 09:49:45 | 国際・政治
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 韓国海軍の新型輸送艦『トクト』が注目を集めている。基準排水量14000t、満載排水量19000tの大型輸送艦で、所謂LCACではなく小型のエアクッション揚陸艇を搭載し、その他10機のヘリコプターを搭載するという。
 日本のマスメディアは韓国が同艦によって対馬や隠岐にでも侵攻しそうな論調が見受けられるが、現代の揚陸戦の苛烈さを考慮すれば効した主張はナンセンスであり、両国の国際関係を傷つけるだけであろう。
 さて、東ティモールでは900名規模、イラク派遣では3000名規模の部隊を派遣する韓国軍にとり、独立した作戦展開能力は是非とも必要であるが、空中機動の中枢たるヘリ搭載艦が、『クワンデドデワン』級3隻、『チュムンゴンイスンシン』級3隻(建造中のものも含む)で、リンクス級の哨戒ヘリを最大で6機運用できるだけであった。これでは水上戦闘艦を応急のヘリ母艦とするには心もとない。そこで、状況を打破すべく大型ヘリ輸送艦の建造に踏み切ったものであると言えよう。
 一方で、海上自衛隊は3機搭載可能の『はるな』型2隻、『しらね』型2隻、最大で2機搭載可能とされる『たかなみ』型5隻(建造中のものも含む)、『むらさめ』型9隻、『あさぎり』型8隻(練習艦に区分変更のものも含む)、1機を搭載する『はつゆき』型12隻(練習艦に区分変更のものも含む)で、合計68機の運用能力が存在する。また、3隻配備されている『おおすみ』型輸送艦も、大型ヘリ等5機程度を運用可能であることは、インド洋津波災害派遣の際に実証された。同任務ではローターを取り外していたが、SH-60のようにローターを折畳める機種であればそのまま戦車格納庫に収容も可能であろう。
 しかしながら、やはり輸送艦は数である。韓国海軍は従来型の輸送艦である『ウンポン』級揚陸艦(4100t)を12隻程度保有するものに加え、今回の新型間建造に至った訳である。
 日本もスーダンへのPKO派遣が想定される中において、多数の輸送艦が必要となろうが、やはり大型艦とはいえ『おおすみ』型3隻では心もとない。例えば、デンマークの多目的支援母艦(3000t級、フリゲイトや機雷敷設艦、兵員輸送艦、ミサイル艇母艦等にモジュールを換装するだけで転用可能)のような艦艇を10隻単位で建造する必要があるのではないだろうか。
 船体を海上保安庁の巡視船のように商船規格とし、速力を20ノット前後に抑え、乗員の半分以上を予備自衛官により運用させ、地方隊に配備しておけばコストは最小限に抑えられる。ちなみに、参考までに海上保安庁の3000t級巡視船の建造費はミサイル艇と同程度のものである。
 新防衛大綱に国際貢献任務の位置づけを従来より高めたのであるから、相応の能力を整備し、責務を完遂するべきであろう。

HARUNA

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自走迫撃砲への一意見

2005-07-29 03:39:47 | 国際・政治
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 96式自走120㍉迫撃砲について、PANZER誌上でも批判があった。本文の趣旨ではなく、写真のキャプションに書かれていたことであるが、『もともと機動性のある迫撃砲をわざわざ自走化した』と言う非難である。しかしながら、直掩火力として第一線で運用される迫撃砲は、当然敵歩兵にとっては鬼門であり、狙撃銃やロケット、砲兵を動員してでも制圧を試みるであろう。
 事実2003年のイラク戦争では、市街戦において120㍉迫撃砲は非常に重要な地位を占めた装備品であったが、市街地である為街路やビルの窓や屋上から盛んな狙撃に曝されたという。この場合に、M-113装甲車から発展した自走迫撃砲が非常に有用であったと言う事だ。
 現行の運用方法であれば、数発(30秒以内)で射撃を切り上げて移動をしなければ砲兵により手痛い反撃を被るであろう。こうした中で、装甲化されたキャビンから迫撃砲を運用できる96式のような装備品の有する意義は大きい。特に完全に装甲化された第11普通科連隊にあっては機械化されていなければ随伴すらできず、肝心の直掩任務が不可能となる可能性がある。96式自走迫撃砲について批判する唯一の点は、馬力不足であり、89式装甲戦闘車の車体を利用するべきであったと言う事は言える。しかし、自走迫撃砲の意義そのものに疑問を呈すると言う事は、市街戦の厳しさを全く意識していないのではないかと言わざるを得ない。キャプションをつけた方には大いに反省していただきたい。
 また、新防衛大綱の施行により特科火砲が制限される中で、迫撃砲の数量は含まれなかった為(欧州通常兵器削減条約では迫撃砲含む100㍉以上の書き全てが対象となった)、質的向上は重要なテーマとなろう。

HARUNA

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潜水艦イ57降伏せず

2005-07-29 03:22:50 | 映画
 7月22日発売のDVD『潜水艦イ57降伏せず』は、1959年度作品と古いながらも、日本映画史に残る珠玉の作品である。
 監督は松林宗恵氏で、同氏は第二次世界大戦中予備学生として海軍陸戦隊予備将校を務め、戦後は僧侶の資格を得ている。これは私見だが、戦争の実態を知りまさに使命感から映画としているように感じる。他には『太平洋の嵐』『世界大戦争』『太平洋の翼』『連合艦隊』等を製作。ちなみに存命で、小生も可能ならば一度お会いしたい所存である。
 音楽は団伊玖磨、特技監督は円谷英二で、松林作品には欠かせない逸材である。
 内容は、ポツダム会談を日本に有利に進めるべく、数少ない外洋型潜水艦イ57を以って、マレー半島ペナンから遥か大西洋カナリア諸島まで中立国の外交官を輸送するという任務である。最後の勝利を信じるからこそ、又は先に散った戦友の志を継ぐために回天を以って決死の特攻作戦に従事していた潜水艦乗組員は、和平、言い換えれば降伏の片棒担ぎともいえる任務に憤りを感じる。また外交官の娘として乗り込んできた女性に対し戸惑いを隠せない。潜水艦の航海は過酷であり、ストレスを乗員に向けるが、彼女は潜水艦が帰りの燃料を犠牲にしてまでも任務を完遂しようとする姿に心打たれる。喜望峰近くでイギリス駆逐艦の攻撃を受け止む終えず撃沈、その所在が露呈してしまう。カナリア諸島に到達するも3隻もの駆逐艦に包囲され、当初の任務を完遂するべく白旗を掲げ外交官を下船させるが、潜水艦は降伏か戦いか、その時、ペナンから任務復帰を命じられる。降伏の選択肢は消えた、駆逐艦からの呼びかけに対し『日本潜水艦イ57は降伏せず』と艦長は述べ『総員死に方よーい!』の号令がかかる。そして壮絶な最後の戦いへと向かっていった。
 艦長を演じる池部良の厳格な軍人と、演技がそこと無くぎこちなくて逆に軍人らしく見える三橋達也、そしてイタリア領事館の女史で映画初出演(唯一の出演作)のマリア・ラウレンティとバラエティーに富んだキャストが贈る日本映画史の一幕、諸兄に是非鑑賞を薦めたい。

HARUNA

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90式戦車

2005-07-29 03:00:53 | 写真
 第七師団記念式典における写真。

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第七師団創設50周年

2005-07-29 01:57:44 | 国際・政治
 去る2005年6月5日、陸上自衛隊唯一の機甲師団である第七師団(司令部 東千歳駐屯地)の創設50周年式典が千歳空港に程近い東千歳駐屯地において執り行われた。
 機甲師団とは戦車部隊を中心とした作戦単位であり、人員6900名、戦車286輌、装甲車300輌、火砲88門を運用している。

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横須賀地方隊催事2005

2005-07-29 01:46:05 | 国際・政治
 海上自衛隊では毎年夏期に横須賀・呉・佐世保・舞鶴・大湊の各地方隊によって、マリンフェスタという催しが実施されている。これは、体験航海などを通じて、海上自衛隊の任務や装備状況等を一般国民に周知広報する目的で行われる。
 去る2005年7月23~24日には、横須賀地方隊が主催する『伊勢湾マリンフェスタ』が名古屋港・四日市港を基点に伊勢湾において実施された。
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 地方隊とは沿岸警備任務を担う部隊を示し、旧海軍でいうところの鎮守府を意味し、旧海軍で言う連合艦隊は、自衛艦隊を示す。ミサイル護衛艦や潜水艦、大型輸送艦は自衛艦隊隷下の護衛艦隊や潜水艦隊に所属している。
海上自衛隊は2002年より今日に至るまで、9.11同時多発テロを契機とするインド洋対テロ派遣任務に恒常的に艦艇を派遣しており、リムパック環太平洋合同演習への参加艦艇縮小や集合訓練の事実上の参加艦艇半減など厳しい状況下でありながらも、今回のイベントには護衛艦8隻、輸送艦1隻、潜水艦2隻、その他特務艦艇3隻が参加し、礼砲発射や降下物除去装置使用、揚陸艇発進、哨戒ヘリコプター飛行展示などが実施された。
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 参加艦艇の詳細は、護衛艦隊旗艦であるミサイル護衛艦『たちかぜ』、『こんごう』型ミサイル護衛艦4番艦の『ちょうかい』、『たかなみ』型2隻、『むらさめ』型1隻、『はつゆき』型3隻で、加えて輸送艦『しもきた』や『はるしお』型潜水艦2隻、『すがしま』型掃海艇1隻と、避航呼掛け支援の為に参加した多用途支援艦『ひうち』型1隻で、特に『ちょうかい』は遥か佐世保基地より駆けつけ参加をしていた。
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 参加者は普段目にする事の出来ない潜水艦やイージス護衛艦に興味津々であり、特に炸裂音響く空砲発射には各艦から歓声が上がっていた。
 1000時に名古屋港を出航した艦艇は、1610時に名古屋港ガーデン埠頭へ帰港したが、一般参加者は興奮醒めぬまま、帰路についていた。本来であれば、体験航海には事前申し込みが必要であるがキャンセル券も相当あったようで、急いで当日申し込みをする市民の姿も多く見受けられた。
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海上自衛隊伊勢湾マリンフェスタ

2005-07-29 01:32:55 | 写真
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