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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

COVID-19全米非常事態宣言と欧州感染爆発,日本景気悪化と先見えぬ自粛要請と休校措置

2020-03-16 20:16:41 | 国際・政治
■新型肺炎,予断許さぬ小康
 COVID-19は数日単位で情勢が大きく変化する為に予断を許さない状況が進んでいます。

 政府は非常事態法制として、新型インフルエンザ特別措置法に新たにCOVID-19を期間限定で加える法改正を行いました。これで病院が満員となった場合はホテル旅館からマンションに商業施設まで行政命令で病院転用へ接収できますし、火葬が追いつかないほどの死者が出た場合は土地を接収し仮埋葬できる。そうならないことを祈りたい。

 全米非常事態宣言の発令、アメリカは国防権限法による医療器材生産への国内製造業注力も視野に非常事態宣言を発令しました。また、アメリカへのイギリスを除く欧州からの入国禁止措置は、更にイギリスとアイスランドがアメリカへの入国禁止国へ加えられ、欧州全域からの入国が禁止されました。我が国でもほぼ全欧が渡航自粛要請に。

 イタリアでは感染死者数が1800名を超え、本日中に2000名を超える事は避けられない状況です。イタリアは1957年アジア風邪の際での観戦者数は200万、日本の300万よりも総数として抑えることが出来ましたので、支社1800名を超える現在のこの状況は1919年スペイン風邪におけるパンデミーを超える、極めて憂慮せざるを得ない状況といえましょう。

 スペインでの感染拡大とともに、懸念するのは現状、一週間さきが読めない、文字通り見知らぬ明日、という状況に陥っていることです。潜伏期間がインフルエンザと比較して異様に長いこのCOVID-19コロナウィルスは、無感感染者の自由な移動により政治の判断が24時間遅れることで、24時間当たりの死者数が簡単に一桁上がるほどの危険性がある。

 自粛要請にも限界がある、この視点は様々な産業分野から指摘されるところですが、これは社会がどの程度の犠牲を織り込めるかで、正当性が左右されるでしょう。罹患者の致死率が2%以下となっていますが、300万名が感染し5700名が犠牲となった1957年アジア風邪新型インフルエンザ流行と比較しますと、世界での致死率はCOVID-19が遙かに上です。

 全くなにも対応しなかった場合、重篤患者が多数発生し医療崩壊となるのは必至で、例えば重篤患者が大量発生しているイタリアでは15日時点での致死率は13.6%となっています。十万や二十万は平気なのか、国民の3%以上が死亡した太平洋戦争程度までならば平気なのか、という程度で国内の合意形成が必要です。個人的にはこれ以上増えてほしくない。

 ワクチン開発ですが、通常の手続きを省略し早い期間に開発されることで新しい懸念が生じます。通常、ワクチン開発は動物実験と被験者実験を経て安全性を確認した上で各国が認証しますが、非常時、ということで安全性よりも迅速性が優先され、新しい薬害に繋がる懸念があるのです。特に免疫過剰反応があれば生死に関わる問題となるのですが。

 ワクチン開発が急がれることは確かなのですが、現在、新型インフルエンザ対策特別措置法改正によりCOVID-19がこの対象となりました。そして条文をみますと明示されているのが、ワクチンの強制接種、という一文があり、薬害の懸念を平時手続きを省略し量産した上で強制接種とした場合、取り返しがつかないことにもなりかねません。

 薬害防止の観点から、ワクチン、予防薬が開発された場合でも安全性が確認されるまでは広範な接種ではなく、リスク受容の許諾と同意を得た上での自己責任により接種する否認可薬品として安全確認を進めるのか、多少対応が遅れてでも認可するまで実験を行うのか、過去多くの薬害と現実のCOVID-19脅威とを、秤に掛ける政治の責任があります。

 WHO世界保健機関によれば、感染者確認の国と地域は147 に達し、感染者数は15万名超、死者すは5735名とのことです。日本国内の感染者数は804名となっていまして、この数には検疫で発見したクルーズ船乗客を含みません。クルーズ船とチャーター機帰国者を含めた感染者数は1515名、死者数は国内感染者24名とクルーズ船乗客7名の計31名という。

 PCR検査が遅れている為に日本国内の患者総数が見過ごされているのではないか、こうした懸念はあり、実際PCR検査体制の拡充を望む声もあるようですが、NHK1930時からの特集において医師会始め総論として“新型肺炎と通常の肺炎の共通点は肺炎症状の有無である”とした上で“肺炎症状の地域的な大流行兆候は現時点でない”とのことでした。

 PCR検査体制とともに、偽陽性と偽陰性の懸念もあるとした上で、新型コロナウィルス肺炎が水面下で大流行した場合、肺炎患者そのものが激増する事が当然有り得るのですが、現時点で不自然な肺炎の極致流行は無く、空港検疫等で見過ごされた地域でのクラスター感染が発生している状況で、クラスター感染は本日の時点で15カ所が確認されている、と。

 クラスター感染は厚生労働省発表によれば、北海道でライブバーや、展示会・夕食会を介した感染が2か所。千葉県でスポーツジムや福祉施設を介した感染が2か所。東京都で屋形船を介した感染が1か所。神奈川県で福祉施設を介した感染が1か所。新潟県で卓球スクールを介した感染が1か所。愛知県でスポーツジムや福祉施設を介した感染が2か所。

 クラスターは更に大阪府で複数のライブハウスを介した感染が1か所。兵庫県で医療機関や福祉施設を介した感染が3か所。和歌山県で医療機関を介した感染が1か所。大分県で飲食店を介した感染が1か所。以上はNHKにより報道されています。しかし、検疫を逃れた感染が新しいクラスターを生む為、予断を許さぬ警戒態勢持続が求められるのですね。

 経済対策について、特に消費税に重点を置いて。消費税減税、この試案については基本的に性急な実施には反対します。具体的には事態収束宣言の一週間後、というように考えるべきではないでしょうか。理由は幾つかありまして、最たるものは非常事態宣言により大規模商業施設が閉鎖される可能性の中、減税し多くの買い物客が商業施設殺到することは、逆に感染を激化させないでしょうか。

 非常事態宣言と同時に消費減税を行うとしましても、何処で買い物をするのか、という根本的な疑問があります。例えば映画館やコンサートなど、一時的に消費税が10%から0%となりましたらば、かなりの集客が見込めましょう、映画ですと1700円程度まで下がる。しかし営業自粛要請と重なれば、勝機を逃す、興行強行ならば感染助長となりかねない。

 自粛要請との両立は難しいでしょう。例えばイタリアやスペインのような施策、大規模商業施設を閉鎖しインターネット通販さえも物流途絶のおそれがある中、消費減税を行ったとして何処で買い物をするのか、インターネット通販や電話予約で事態収束後に受け取りとして、その非常事態宣言下での予約に減税するのが精々でしょう。

 10%の消費税を、例えば8%や5%に引き下げる、いっそ一時的に半年間0%とする、こうした施策も考えられるのですが、現実的に見ますとシステム組み替えが必要となります。簡単な事例でいえば鉄道運賃で、料金表は総額表示となっており、8%に引き下げるにしても5%にしても、もちろん0%の場合でも、運賃表示看板を掛け替えねばなりません。

 減税であっても増税時と同じシステム変更が必要となる。8%から10%への切り替えに際し、様々なシステム変更が必要となり、少なくとも一年間の準備期間を要しました。仮に明日から5%だ、と発表した場合は、システムエンジニア始め時差通勤やテレワークなどは不可能で徹夜作業が続き、逆に感染拡大を助長しかねません。時間が必要ではないか、と。

 終息宣言とともに一年間の消費減税を行う。あたかも学生時代に厳しい定期試験の後の長期休暇、という、一種やり遂げた達成感か、こうした気概を思い出すところですが、消費減税を行うならば、恐らく年度内ではなく来年度まで続く厳しい感染拡大とともに、その終息への努力、外出制限や興行停止の厳しい期間の先に政治は希望を示すべきです。

 経済影響とともに消費税率は官邸主導で、財務省の財政再建への責務を越えて示すべきで、例えば感染拡大による事態影響が何処まで長期化するかで、終息宣言にあわせGDP成長率が年率マイナス2%となるならば消費税率を2%から4%下げる、年率マイナス5%ならば5%から10%下げる、考えたくないことですが10%までの減税幅を検討すべきです。期間も。

 消費税率は3%から5%と8%を経て10%となりました。驚くべき事に消費税の無い時代を知る方が減っていることに時代の流れを感じるのですが。減税期間についても、二年単位で例えば0%まで下げた場合は二年後に3%、四年後に5%、六年後に8%、そして八年後に10%、とする施策で経済への衝撃を緩和させる施策を併せて示す必要があるでしょう。

 感染拡大、いつまで続くこの状況、と嘆息するのではなく、例えば最後の感染が国内で確認されてから二週間、空港検疫を通常に回帰させるなどをもって終息宣言の定義とし、感染拡大を抑え終息宣言が出すことが出来れば、途轍もない商機が始まる、としてテレワークでの準備に勤しむ方が、経済成長を再起動させ軌道に乗せる好機となるようにも、思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-03-19 23:53:38
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200319/k10012337771000.html

クルーズ船での自衛隊活動の情報補完用にどうぞ
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