■百年と少し昔の航空巡洋艦
日本初のヘリコプター搭載護衛艦は護衛艦はるな、1973年竣工です。さて、この最初を知りますと興味が湧くのは世界で初めて航空機を搭載した軍艦は、という。
世界初の航空機母艦は、こう疑問を示しますと日本の鳳翔や改造艦のラングレーにイギリスの、と各国の航空母艦を思い浮かべる方が多いのかもしれません、しかし航空機の母艦といいますと、第一次世界大戦中、日本の水上機母艦若宮やイギリスの特設軍艦エンガダインなどが先行しています。共に青島要塞攻防戦やジュットランド沖海戦に参加した。
ヴィンディクティヴ。しかし若宮は運送船若宮丸に水上機を4機搭載した特設軍艦に近いものでしたしイギリスのエンガダインはドーバー海峡鉄道貨物輸送船を徴用し水上機母艦に改造した、こちらも特設母艦に近いものでした。すると、軍艦で航空機の母艦、といいますとイギリス海軍の巡洋艦ヴィンディクティヴ、1918年の改装が最初なのかもしれない。
カヴェンディッシュ。イギリス海軍が建造した大型軽巡洋艦で基準排水量9996t、19cm単装砲を7門搭載した巡洋艦として建造されました、しかし建造途中に海軍部内での航空機に関する認識が変わり、長射程での対艦艦砲射撃に際して航空機による着弾観測を実施する用途に着目されました。一方、その艦載機をどう運用するかが大きな課題だったのです。
ヴィンディクティヴはカヴェンディッシュの建造中、19cm艦砲の内で一番砲と三番砲のみを残し、艦砲を撤去した位置に航空機甲板とクレーンを設置する、航空巡洋艦への改装が決定します。こういうのも、当時の艦隊決戦では、敵艦の砲撃を確認すると同時に艦隊は陣形を解き回避行動に移ります、敵砲弾が照準した未来位置から自艦を離隔させるという。
航空巡洋艦となったヴィンディクティヴは、要するに艦隊決戦に参加する戦艦などに観測機を搭載しますと、敵の砲撃が開始されると共に回避行動に之ノ字運動へと移りますので、要するに水上機を発進させる事が難しくなります、落ち着いて発進させるために直線に航行して被弾しては無意味だ。この為、専用艦から観測機を発進させる方式が採られました。
1918年に世界初の航空巡洋艦として完成したヴィンディクティヴは、先ず艦橋前に本来2門並んだはずの19cm単装砲のうち、2番砲の位置にクレーンが設置されました、旋回砲よりも軽量であり、廻る動作は同じです。そして艦橋まで前部に格納庫、実運用では艦載機は甲板係留を行う為、整備施設というべきでしょうが、前に格納庫が配置された構図です。
ヴィンディクティヴに煙突は二本あり、煙突との間に3番砲が維持されていますが、左舷側が前部と後部の航空機用通路として採用、また後部の艦砲は全て配置されず航空機甲板となっています。艦載機定数は6機、旧海軍の軽巡洋艦大淀や軽巡洋艦利根の発想に繋がりますが、1918年のヴィンディクティヴ、当時としては画期的な巡洋艦といえましょう。
しかし、第一次世界大戦が終わりますと、発艦技術の発達から航空巡洋艦よりも軽巡洋艦にカタパルトを搭載し分散搭載する方式に移行し、ヴィンディクティヴは1923年に軽巡洋艦への復帰が決定します。ただ興味深いのは当初設計の19cm艦砲7門ではなく、19cm艦砲6門に加え76mm高角砲を配置、更に後部区画の一部に艦載機4機を搭載できました。
1928年にはヴィンディクティヴは東洋艦隊に所属する事となり香港とシンガポール周辺海域での任務に当っています。そして1930年には予備艦となりますが、クレーンの運用能力が高く、第二次世界大戦では工作艦に転用され、苛烈な世界大戦を生き抜いているのですね。ちなみにイギリスは少し遅れて、軽巡洋艦フューリアスも航空母艦へ改装しています。
北大路機関：はるな くらま ひゅうが いせ
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日本初のヘリコプター搭載護衛艦は護衛艦はるな、1973年竣工です。さて、この最初を知りますと興味が湧くのは世界で初めて航空機を搭載した軍艦は、という。
世界初の航空機母艦は、こう疑問を示しますと日本の鳳翔や改造艦のラングレーにイギリスの、と各国の航空母艦を思い浮かべる方が多いのかもしれません、しかし航空機の母艦といいますと、第一次世界大戦中、日本の水上機母艦若宮やイギリスの特設軍艦エンガダインなどが先行しています。共に青島要塞攻防戦やジュットランド沖海戦に参加した。
ヴィンディクティヴ。しかし若宮は運送船若宮丸に水上機を4機搭載した特設軍艦に近いものでしたしイギリスのエンガダインはドーバー海峡鉄道貨物輸送船を徴用し水上機母艦に改造した、こちらも特設母艦に近いものでした。すると、軍艦で航空機の母艦、といいますとイギリス海軍の巡洋艦ヴィンディクティヴ、1918年の改装が最初なのかもしれない。
カヴェンディッシュ。イギリス海軍が建造した大型軽巡洋艦で基準排水量9996t、19cm単装砲を7門搭載した巡洋艦として建造されました、しかし建造途中に海軍部内での航空機に関する認識が変わり、長射程での対艦艦砲射撃に際して航空機による着弾観測を実施する用途に着目されました。一方、その艦載機をどう運用するかが大きな課題だったのです。
ヴィンディクティヴはカヴェンディッシュの建造中、19cm艦砲の内で一番砲と三番砲のみを残し、艦砲を撤去した位置に航空機甲板とクレーンを設置する、航空巡洋艦への改装が決定します。こういうのも、当時の艦隊決戦では、敵艦の砲撃を確認すると同時に艦隊は陣形を解き回避行動に移ります、敵砲弾が照準した未来位置から自艦を離隔させるという。
航空巡洋艦となったヴィンディクティヴは、要するに艦隊決戦に参加する戦艦などに観測機を搭載しますと、敵の砲撃が開始されると共に回避行動に之ノ字運動へと移りますので、要するに水上機を発進させる事が難しくなります、落ち着いて発進させるために直線に航行して被弾しては無意味だ。この為、専用艦から観測機を発進させる方式が採られました。
1918年に世界初の航空巡洋艦として完成したヴィンディクティヴは、先ず艦橋前に本来2門並んだはずの19cm単装砲のうち、2番砲の位置にクレーンが設置されました、旋回砲よりも軽量であり、廻る動作は同じです。そして艦橋まで前部に格納庫、実運用では艦載機は甲板係留を行う為、整備施設というべきでしょうが、前に格納庫が配置された構図です。
ヴィンディクティヴに煙突は二本あり、煙突との間に3番砲が維持されていますが、左舷側が前部と後部の航空機用通路として採用、また後部の艦砲は全て配置されず航空機甲板となっています。艦載機定数は6機、旧海軍の軽巡洋艦大淀や軽巡洋艦利根の発想に繋がりますが、1918年のヴィンディクティヴ、当時としては画期的な巡洋艦といえましょう。
しかし、第一次世界大戦が終わりますと、発艦技術の発達から航空巡洋艦よりも軽巡洋艦にカタパルトを搭載し分散搭載する方式に移行し、ヴィンディクティヴは1923年に軽巡洋艦への復帰が決定します。ただ興味深いのは当初設計の19cm艦砲7門ではなく、19cm艦砲6門に加え76mm高角砲を配置、更に後部区画の一部に艦載機4機を搭載できました。
1928年にはヴィンディクティヴは東洋艦隊に所属する事となり香港とシンガポール周辺海域での任務に当っています。そして1930年には予備艦となりますが、クレーンの運用能力が高く、第二次世界大戦では工作艦に転用され、苛烈な世界大戦を生き抜いているのですね。ちなみにイギリスは少し遅れて、軽巡洋艦フューリアスも航空母艦へ改装しています。
北大路機関：はるな くらま ひゅうが いせ
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