一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・船戸陽子女流二段⑪

2010-09-25 00:44:11 | LPSA金曜サロン
6月11日のLPSA金曜サロン、2部は船戸陽子女流二段の担当だった。きょうの船戸女流二段も魅力的である。フワ~ッといい香りが漂う。
そんな船戸女流二段には、昨年11月28日に埼玉県蕨市の将棋大会で指導対局を受けて以来、久しくその機会がなかった。しかし5月28日の金曜サロンで半年ぶりに指導対局を受けたあと、6月7日のマンデーレッスン、きょう11日と続き、通常のペースに戻ったようだ。ありがたいことだと思う。
この日は船戸女流二段から、「FRaU」最新号に道端ジェシカのセミヌードが掲載されたという情報を得た。女流棋士会スーパーサロンでは絶対に出ない話題である。指導対局にちょっとオシャレな会話を入れて、リラックスした気持ちで指すか、スーパーサロンのように厳めしく指導対局に没頭するか、むずかしいところである。
6月7日は、マンデーレッスン講師としての船戸女流二段に初めて臨んだが、60数手で終わってしまった。短手数でも濃密な将棋はあるが、物理的にふたりが対面している時間が短く、若干物足りなかった。では今回の指導対局はどうなったか。
対局開始。私の☗7六歩に船戸女流二段☖5四歩。早くも中飛車の意思表示である。この約1ヶ月後の7月17日、船戸女流二段はマイナビ女子オープン予選で、清水市代女流王将戦と対局する。このころの船戸女流二段は指導対局で中飛車を連採しており、対清水戦でも中飛車を採用すると推量された。そこで私も清水女流王将になったつもりで、指し手を進めた。
船戸女流二段は☖9二香と穴熊を目指したが、☗2五歩に☖1三角が趣向。のちの端攻めには、☖5七角成~☖1五香の二枚換えを見ている。そこで私は☗4六歩と、その狙いを消す。振り上げた拳の下ろし場所に困った船戸女流二段は☖2二角と引くが、私は飛車先の歩を交換できて、やや指しやすさを感じた。
その後私も明確な有利を求めて小刻みに動くが、船戸女流二段の猛攻が始まった。ここで切り合ったら相手の思うツボだ。私はじっくり指して、船戸女流二段の捌きを封じる。押したり引いたり、組んずほぐれつの戦いになった。
棋譜ノートは1頁150手までが記入可能だが、2頁目に入った。しかし指し手はまだ続く。結局終局時は、190手を越えていた。7日のマンデーレッスンの、実に3倍の手数である。
俗に「棋は対話」というが、本局は本当に船戸女流二段ともみあうというか、濃密に将棋を堪能した、というのが実感だった。
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金曜サロン・松尾香織女流初段⑫

2010-09-24 00:28:26 | LPSA金曜サロン
 四連休
   二日働き
     また四休

去年のシルバーウイークは北海道を旅行していたから意識しなかったが、今年のそれも休みが多い。一日中家でダラダラしていると、人間として堕落しているなあ、と思う。
充実した人生を送っている人なら、この休日を有効に使うのだろうが、私は何もしない。こんなただれた人生を送って、幸せになれるわけがない。いつかバチがあたる。

6月11日のLPSA金曜サロン、1部は松尾香織女流初段、2部は船戸陽子女流二段の担当だった。きょうは松尾女流初段とのやりとりを振り返る。
松尾女流初段とは、「倉敷藤花戦トーナメントでベスト4進出ならマッカラン贈呈」という約束をしていたが、ベスト4は厳しかろうと、条件をベスト16まで引き下げていた。
しかし松尾女流初段はこの直前の6月7日、甲斐智美女王に惜敗し、それはならなかった。女流棋界序列1位の甲斐女王・現女流王位に勝てば大殊勲だったが、負けては仕方ない。ちなみにこの将棋は「将棋世界」9月号の「名局セレクション」に、貞升南女流1級の解説で掲載されている。日本将棋連盟発行の専門誌に、タイトル戦以外でLPSA所属棋士の全棋譜が載るのは初めてではないだろうか。よく発行人がこの選局を認めたものだと思う。
さて松尾女流初段は残念だったが、「懸け」はまだ続いている。
すなわち、「松尾女流初段が私との指導対局で今年全勝したらマッカラン進呈」というものである。今年はここまで3戦して私の全敗。松尾女流初段、マッカラン獲得の夢は続いているが、私にだって意地がある。いくら女流プロでも、多面指しで年間全勝はむずかしいだろう。そこで私はこの日、条件の引き下げを提案した。
「私が今年、松尾先生との指導対局で『2勝止まり』だったら、マッカランを進呈します」
12月までの対局で、私が2勝以下だったら松尾女流初段にマッカランを贈呈、3勝以上だったら、お疲れ様でした、ということである。
松尾女流初段は細部まで聞いていなかったようだが、何局か猶予ができたことは理解したようだった。
さて指導対局――。6月7日のマンデーレッスン・大庭美樹女流初段戦から、LPSA棋譜ノートは2冊目に入っていた。1冊目は今年初めから使い出したから、ほぼ5ヶ月で1冊を使いきったことになる。ちょっとペースが早い。
☗7六歩☖3四歩☗6八玉。ここで松尾女流初段得意のゴキゲン中飛車を封じたのはいいが(☖5四歩なら☗2二角成☖同銀☗5三角☖4四角☗同角成☖同歩☗4三角。☖5二飛なら☗2二角成☖同銀☗6五角☖3三角☗7七桂で下手よし)、以下矢倉模様に進み、ちょっとイヤな将棋になった。
松尾女流初段は「松尾矢倉」の呼称を持つくらいに矢倉も得意としているが、私は矢倉が好きではないのだ。私は早囲いを目指すが、どうも指し方がぎごちない。
ここで中盤の局面の符号を記す。

上手・松尾女流初段:1一香、1三歩、2一桂、2二王、2三歩、3二金、3三銀、3四歩、4二角、4三金、4五歩、5四歩、8一桂、8二飛、8三歩、8四銀、9一香、9三歩 持駒:歩2
下手・一公:1七歩、1八飛、1九香、2五歩、2九桂、3六歩、4六歩、5六歩、6五銀、6六銀、6七金、6八角、6九金、7八玉、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩2

☗4六歩と突きあげたところだが、次の手を軽視していた。
ここで松尾女流初段は☖7二飛。これでシビれた。☗8八玉は☖6四歩☗7六銀☖7五歩で銀損。☗7六歩も☖6四歩で銀損。☗7五歩はよろこんで☖同銀と捌かれる。
私は☗7四歩と突っ張ったが、☖6四歩☗7六銀☖7四飛と無条件に歩損をしては、形勢を損ねた。以下は完敗。
自分から言い出したこととはいえ、松尾女流初段へのマッカラン贈呈を阻止するためには、残り半年で3勝しなければならなくなった。やや苦しい。
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金曜サロン・中倉宏美女流二段⑩

2010-09-23 00:18:41 | LPSA金曜サロン
きのう22日のフジテレビ系「スーパーニュース」の特集は、「石垣島でのサメ退治」だった。この中で、サメとまったく関係のない「石垣島ラー油」を販売している辺銀食堂が出てきたが、ネットや通販ではこの「石ラー」が1年待ちだという。その噂は何となく聞いてはいたが、本当だったようだ。
しかし、たかだかラー油に1年待ちとは…。外国人が聞いたら大笑いだろう。

6月4日のLPSA金曜サロン、2部の担当は中倉宏美女流二段だった。この日の中倉女流二段はノースリーブの服にパンツという、初夏を思わせるいでたち。中倉女流二段はわりと地味な服装が多いが、もっとパーッとはじけたコーディネートをしても、十分似合うと思う。
この日は櫛田陽一手合い係のデビューでもあったが、前週の植山悦行手合い係ファイナルで会員が集まり過ぎた反動か、会員は少なかった。必然的に中倉女流二段とも早めに指導対局が組まれ、2部というのに明るいうちでの対局となった。これでは「夜のナカクラヒロミ」にならないが、やむを得ない。
将棋は私の居飛車明示に、中倉女流二段の三間飛車。中倉女流二段は居飛車も指すが、振るなら三間飛車である。藤森奈津子女流四段は完全な三間飛車党だが、藤森女流四段がスキあらば石田流に組んで軽い捌きを目指すのに対して、中倉女流二段のそれはじっくり型だ。
私は天守閣美濃に囲った。いつもは急戦策を採ることが多いが、今回は時間もあるので、じっくり教えてもらうつもりであった。しかし悠然と駒組みを進めたのがマズかったか、中倉女流二段に浮き飛車に構えられ、のびのびと指されて作戦負けを自認した。
ここで中盤の局面を掲げる。

☖5六歩と垂らされたところ。上手に持駒はないが、盤上の駒に勢いがある。対して下手は玉が固いだけで、ほかに主張するところがない。☗1八香など苦しい手待ちで、私の将棋では出ない手だ。
ここで私は☗4七歩と打った。こんな手、負けても指したくないが、☖4六歩と伸ばされたら手も足も出なくなる。泣きたくなるような辛抱だった。
以下は☖8四角☗2六飛☖4六歩に☗同角が強手。☖同銀☗同飛で駒損になるが、上手は歩切れで下手の飛車成りが受けにくい。これで互角の勝負形に持ち込めたようだ。
ところでこの日はLPSAのイベントでよく見る方がいらして、私とも一局指した。この方、先日行われた「LPSA将棋ツアー2010in名古屋」にも顔を見せたようだ。
中倉女流二段が目当てだったかどうかは知らぬが、彼が関東在住であることはたしかである。遠くの地でもイベントがあれば、万障繰り合わせて出かける。まさにLPSAファンの鑑のような人である。私が言うのもおかしいが、ファンとはありがたいものだと思う。
(注・どうもこのファン氏は、現在関西方面に在住しているらしい。となると、上数行の文章に意味がなくなってしまうが、このまま修正せずにおいておく)
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長い1日⑤・将棋ペンクラブ大賞贈呈式二次会と、木之内みどり

2010-09-22 00:25:45 | 将棋ペンクラブ
「スクワール麹町」近くの、ビル地下1階にある居酒屋が、二次会会場である。そこへ足を運ぶと、もう席がないとのこと。事前に予約はしていたらしいが、満席になったという。会員の参加が思ったより多かったのだろうか。
あぶれた私たち数人は、隣の居酒屋へ入った。メンバーは、湯川恵子さん、そのお友達である「女子将棋音楽隊」のおふたり、ペンクラブ幹事のA氏、H氏、一般将棋ファン氏、それに私。
一応4人掛けのテーブルを3つ抑えたが、ひとつは離れている。その後H幹事、W幹事らが加わり、9人になった。まだふたつのテーブルで大丈夫だ。しかし隣の居酒屋で飲んでいた湯川博士統括幹事も来て、腰を落ち着けてしまった。
これで2テーブルの使用ではキツイので、私は離れたところのテーブルへ移動した。A氏、H氏も一緒である。酒は気の置けない連中と飲むのがいい。この3人で分かれたのは正着だったろう。
私たち3人は、5月に行われたペンクラブ大賞の一次選考会で、新聞観戦記の推薦を担当した。それぞれが任意の棋戦を担当し、数時間かけて1年分の観戦記を読みこみ、1~2本を推すのだ。結果、私たちの推した作品は、最終選考まで残った。
H氏が、
「私の眼は確かだったようで、安心しました」
というようなことを言った。その気持ちは私もよく分かる。そんなH氏は贈呈式の準備などで力を使い果たしたのか、疲労困憊であった。
H氏は幹事の中では若手だが、LPSA金曜サロンでの会員の勧誘や、贈呈式での写真係など、実によく働いている。いまや将棋ペンクラブに欠かせない存在といえる。
しかし将棋ペンクラブは、言葉はわるいが将棋好きの同好会のようなものだから、その活動に一切ギャラは出ない。それでもみんな嬉々として、活動に励んでいる。いつも傍観している私は、頭が下がる思いである。
A氏が私に
「『文才』って、なんですかね」
と言う。金曜の夜にそんな哲学的なことを訊かれても困る。
「多くの人に読んでもらえる文章力、でしょうか…」
と、私はテキトーに答える。
「なるほどねぇ…」
と感心したように頷くA氏。ここは居酒屋だが、この空間だけが、シャレたバーのようだった。奥のテーブルでは、先ほどまで怪気炎をあげていた湯川統括幹事が、深い眠りについている。
隣の居酒屋からM氏が加わる。このテーブルが、ますます文学色が濃くなった。4人でしみじみ語りあい、ゆっくりと時間は過ぎていった。
11時すぎに散会。中倉宏美女流二段、大庭美樹女流初段はやはり二次会に参加したようだ。しかし店が違うので、中倉女流二段の変貌を確認することはできなかった。
帰宅は11時25分。11時30分から放送の、「恋のから騒ぎ」が観られる時間である。同番組は土曜日11時からの放送だったが、今年の4月から金曜の11時30分に引っ越してしまった。いつも私はその時間、ジョナサンでバカ話をしているので、ビデオ録画したものを観ていた。それゆえ、リアルタイムで観るのは半年ぶりになる。
今回のテーマは「男と女 お互いに理解できないお金の使い方」。
私がマイナビ女子オープンへの懸賞金に大枚をはたいたことを一般女性が聞いたら、せせら笑うだろうか。今回8,000円を払ってペンクラブ贈呈式に参加したことは、どう思うだろうか。男と女のお金の使い方は、たしかに違う。
ゲストは竹中直人。奥さんは元歌手・女優の木之内みどりである(「木内みどり」ではない)。ドラマや映画では「刑事犬カール」「野球狂の詩」、歌では「横浜いれぶん」「無鉄砲」が印象に残っている。ただ誕生日が6月10日というのがちょっと引っかかる。私も軽くファンだったが、そんな木之内みどりが竹中直人と再婚したという報を聞いたときは、あまりのミスマッチに頭が混乱した。
男と女の間は、本当に分からない。
きょうの説教部屋は、星真里奈。男友達がキャバクラに金を落とすのを否定したから、が説教部屋行きの理由だったが、意外な人選に思った。
番組を観終わって、日付は18日に変わった。実に長い1日が終わった。
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長い1日④・将棋ペンクラブ大賞贈呈式に参加する

2010-09-21 00:30:18 | 将棋ペンクラブ
駒込からは東京メトロ南北線に乗って四ツ谷へ向かう。東京の地下鉄は年々路線網を拡げているが、この南北線ができたときは、格段に移動が便利になり、とても重宝した。
四ツ谷には午後6時15分ごろに着いたろうか。将棋ペンクラブ大賞贈呈式の開場は6時30分だから少し早いが、まあほどよい時間である。
駅前にある「スクロール麹町」の5階へ上がって、受付を済ます。ヒトの受賞を祝うために8,000円という大金を収める。これなら船戸陽子女流二段に指導対局を受けていたほうがよかったんじゃないかの思いがよぎるが、贈呈式にも中倉宏美女流二段と大庭美樹女流初段が指導棋士として出席する。棋書ももれなくもらえるし、一般会員にも楽しみはある。自分の選択は正しかった、と言い聞かせるしかない。
今年は受賞者が多く、総勢9人もいる。ただし故人がふたり。これは珍しい。
控室へ出向き、湯川博士統括幹事に窪田義行六段からの書面を渡す。中倉女流二段、大庭女流初段はすでに着いていた。
T氏が見えたので、挨拶をする。まだ開会には時間があるので、雑談。
将棋ペンクラブ名誉会長の二上達也九段が、ただの九段というのはおかしいんじゃない? という話をする。二上九段は棋聖位4期である。あと1期獲得すれば永世棋聖を名乗れたわけだが、5期目で森雞二八段に敗れ、以後返り咲きはならなかった。
二上九段はタイトル戦登場26回、獲得5期。A級通算27期という輝かしい棋歴をもつ。日本将棋連盟会長も7期14年を務めている。現在78歳。日本将棋連盟もアマチュアに免状をバラまくのはいいが、もう少しプロ棋界のほうを顧みてもいいのではないか。
受賞者の早水千紗女流二段、湯川恵子さん、森内俊之九段、渡辺明竜王ら、錚々たるメンバーが到着する。私などは硬直してしまって、ボーッと遠くから眺めているだけだ。T氏は早水女流二段の大ファンだが、早水女流二段の受賞は、我がことのように嬉しかったろう。遠くから彼女を見るT氏の細い目が温かかった。
7時開会。乾杯の前に、選考委員の西上心太氏が選考経過の説明をする。受賞の決め手を簡潔に説明するくだりは興味深かった。
続いて木村晋介将棋ペンクラブ会長から賞状の授与。これは石橋幸緒女流四段の筆によるものだ。さらに受賞者のスピーチと続く。このスピーチ、受賞の喜びは会報に書かれているから、話すネタはないだろうと思いきや、けっこう皆さん、受賞作品について熱っぽく語ってくれた。
早水女流二段のスピーチのとき、T氏が私の前にいたのだが、彼の顔を見なくても、ニンマリしているのが分かった。
最後は北海道からお越しになった、新井田基信氏のお母さん。ニーダ氏の写真を胸に、静かに息子さんの思い出を語る姿には、会場のみんなの涙腺が緩んだ。
今回は井口昭夫氏の観戦記集も受賞した。故人になっても、作品が受賞される。素晴らしいことだと思う。
ちなみに井口氏の代理スピーチは娘婿さんが行った。ペンクラブ交流会でも何度かお会いしたが、ひじょうに礼儀正しい方だ。私のブログも読んでくださっていて、恐縮である。
ここまでで8時。なんだか今年は時間の経過が異常に早い。受賞者が9名と多かったからだろうか。ここでやっと乾杯となる。出されている料理に手をつけていると、幹事のA氏が見えた。ところでA氏の奥さんは先日、ペンクラブの会員になった。夫婦で会員になっても意味がないと思うが、どうも作家の考えていることは、凡人には分からない。
窪田六段からのメッセージが読み上げられる。きょうは順位戦B級2組の対局日。受賞者の阿久津主税七段や、贈呈式によく顔を見せてくださる青野照市九段も、そろって対局だ。大庭美夏女流1級は見えたが、ちょっとプロ棋士の一般参加が少なかったか。
中倉女流二段、大庭女流初段の指導対局が始まっているが、それぞれ3面を用意しているのに、対局者はまだひとりずつしかいない。中倉女流二段、大庭女流初段は、次週金曜サロン最後の担当者なのだが、とりあえず今は、もっと対局者がいなければ絵にならない。ここは私が指しに行かねばなるまい。
大庭女流初段に指導対局を受けようと大庭女流初段のナナメ前の席にすわったら、中倉女流二段と目が合い、中倉女流二段に教わることになった。
将棋は中倉女流二段の三間飛車に、私の天守閣美濃。中倉女流二段の三間飛車にはいつも急戦で挑んでいるのだが、どうもうまくいかない。そこで今回は玉を固める作戦を採ったが、中倉女流二段に巧みに捌かれ、敗勢となった。
ここで終盤の一場面を記す。

上手・中倉女流二段:1一香、1三歩、2一桂、2三歩、2九竜、5一角、6一金、6三金、6四歩、7二銀、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9四歩 、持駒:金、桂、歩
下手・一公:1七歩、1九香、2五歩、3二竜、4七歩、6六歩、6九金、7五歩、7六銀、7七桂、7八銀、7九角、8六歩、8七玉、9六歩、9九香 持駒:銀、歩5
☖3九飛に☗3七飛と合わせ、☖2九飛成(桂を取る)☗3二飛成までの局面。
この手順はおかしい、と思われた方は有段者。☗3七飛では単に☗2二飛だった。本譜は先手の1手損である。
ここで中倉女流二段の放った☖8九金が驚愕の一手。0.1秒も考えなかった。☗4六角なら☖6九竜☗同銀☖8八金打☗9七玉☖9五歩で寄り、という読みだろう。☗8九同銀☖6九竜☗7八金は☖6八金がある。本譜も負けた。☖8九金がこの局面の最善手とは思わないが、中倉女流二段の柔軟な発想に感銘を受けた一局だった。
私の指導対局中に会員に棋書を配っていたので、私はもらい損ねた。局後A氏に直訴し、残った棋書の中から、「現代に生きる大山振り飛車」をいただく。この本も将棋ペンクラブ大賞の「大賞」を獲った名著だ。
T氏が早水女流二段と歓談している、T氏のこんなにニヤけた顔を見たのは初めてだ。私が船戸女流二段や中倉女流二段と話しているときも、こんなだらしない顔をしているのだろうか。もし山口恵梨子女流初段や室谷由紀女流1級だったら…いや、考えるまい。
これでもう9時である。やはり2時間は早すぎる。歓談の時間も考慮して、2時間半はほしいところだった。
駒や盤を段ボール箱にしまう。と、湯川統括幹事がいらっしゃる。
「キミの名前はなんだったっけ?」
まただ。いい加減オレの名前を覚えろよオッサン、とは口が裂けても言えない。
「大沢です」
「ああ大沢クンか、キミこれを1階に持って行って、宅配便で送ってくれ。キミは半分幹事なんだから」
湯川統括幹事は、千円札を出しながら、そう言った。
指導対局用の盤駒は、湯川統括幹事が用意したものだったのか。もっとシタの者に用意させればいいのに、自ら会場に配送していたとは知らなかった。
それはそうと、私は幹事という柄ではない。私のポジションは、困ったときの「ペンクラブなんでも屋」でいい。
このあとは二次会である。中倉女流二段や大庭女流初段は参加するのだろうか。私はどちらの女流棋士とも酒をご一緒したことがない。大庭女流初段は静かな酒と聞いたことがあるが、中倉女流二段のそれは分からない。かつてブログで禁酒宣言をしていたくらいだからかなりイケル口だろうが、飲むとどうなるのだろう。頬がほんのりピンクになるのだろうか。大庭女流初段のように顔色は変わらないのだろうか。松尾香織女流初段のように目がトロンとするのだろうか。このあたりは、妄想のしどころである。
私はドキドキしながら、二次会の居酒屋に向かった。
(つづく)
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