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クラブ経営について63

2014-09-13 00:08:34 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
少し前ですが、昨年のJクラブの経営状況が発表されJ1・J2各クラブの経営情報が開示されました。あるコラムで、「Jリーグ健全経営ベスト3、稼ぐチームはここが違う」というタイトルのものが出ました。その中でのJ1浦和の経営内容が素晴らしいという話になっています。まずは健全経営ベスト3クラブから抜粋して紹介。
   
【Jリーグ健全経営ベスト3】
 クラブライセンス制度に対して、3期連続赤字となるクラブは、名古屋、栃木、群馬、神戸、福岡の5クラブ。債務超過となるクラブは、横浜FM、鳥栖、大分、札幌、栃木、群馬、岐阜、神戸、福岡、北九州、熊本の11クラブ。さらに、両者を満たすのは、栃木、群馬、神戸、福岡の4クラブ。
 Jクラブの決算が公開されるようになった'05年度以降、債務超過ではなく、黒字決算である経営的に優秀なクラブとして、9年連続の黒字決算のJ1川崎とJ1甲府があり、Jリーグで営業収益1位のJ1浦和があります。
【J1川崎】
 J1川崎の昨年度の決算は増収減益。営業収入が'09年度の3,604百万円をピークにマイナス基調へと転じる中、営業費用を圧縮して黒字を堅持。人件費は、5年間で394百万円も削減。人件費削減はチーム成績の低下につながりやすいが、'11年度11位、'12年度8位、'13年度3位と成績は徐々に向上。しかしながら、J1川崎の営業収益のうち、広告料収入が53%もあり、その多くが親会社(富士通グループ)からの収入。したがって、今後安定的な収益を確保するためには、親企業以外のスポンサーの開拓や入場料収入、グッズ販売を伸ばしていく事が必要。川崎の入場料収入およびグッズ販売収入は、'15年に等々力陸上競技場の改築が終わって席数が増えるため、増加が今後は期待。
【J1甲府】
 J1甲府は'98年に債務超過となり、かつては深刻な経営危機に直面。'00年に山梨日日新聞社から来た海野社長がチーム存続に成功させ、'01年から'02年以降、黒字額は広告収入と共に増加。J1甲府は徐々に地域社会へ定着し、'04年には平均観客数がクラブサポーター会員数より多い状態に。'06年のJ1昇格以降も甲府の営業収益は増加を継続。「ヴァンフォーレ甲府経営委員会」の開催によって、クラブ経営の安定化を推進。出資者である山梨県、甲府・韮崎両市役所などと経営危機への対応や協力関係について協議。
【J1浦和】
 昨年度のJクラブの経営状況の中で、浦和の入場料収入は2,132百万円で、J1(18チーム)の中で断トツ1位。2位の横浜FM(1,069百万円)の2倍に到達。J1(18チーム)の入場料収入の平均は、693百万円で、営業収益に占める入場料収入の割合が、浦和は37%、J1の18チーム平均が23%と、入場料収入の占める割合が非常に高いことがわかります。観客動員数は浦和が68万人(1位)、横浜FMが51万8,000人(2位)と2倍も差が無いのですが、入場料の単価が、浦和が3,132円(1位)、横浜FMが2,064円(9位)と1.5倍もの差があります。浦和の入場料収入の多い要因は、観客動員数が多く、定価にほぼ近い入場料が得られているからだと予測。
 また、入場料単価がJ1(18チーム)中1位であるのは、浦和がチケットの割引販売や無料配布をほとんど行っていないため。このように入場料収入の多い浦和は、ファン、サポーターに経営を支えられているサッカークラブであると言える。ファン・サポーターを増やすには、チームが地域密着型になることが重要であり、'05年にクラブは地域のみんながスポーツを行うための総合スポーツランドとして「レッズランド」をオープン。また、浦和には「サッカーを通して技術ではなく心を育むプログラム」として「ハートフルクラブ」があり、子供たちの思いやりやコミュニケーション、工夫する力などを養い育む活動を推進。
【まとめ】
 J1川崎には富士通グループからの広告料収入というアドバンテージがありますが、身の丈にあった経営で黒字を維持。J1甲府は地域に密着し、ファンを増やして黒字を確保。J1浦和は入場料収入やグッズ販売収入の構成比を高め、広告料収入に依存しない経営に成功。
サッカーキング該当ページ:http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20140903/228497.html

 続いて、「20億円超え!浦和レッズ J1ダントツの入場料収入に見るプロモーション戦略」というコラムがあります。入場料収入が多く、そのプロモーションの上手さについて触れています。以下、抜粋して紹介。

【入場料収入の多い浦和レッズ】
 昨年度のJ1浦和とJ1平均の営業収益およびその内訳は以下の通り。J1浦和は、他のチームに比べて入場料収入が多い事が顕著。入場料収入は 2,132百万円で、J1(18チーム)の中で断トツ1位。営業収益に占める入場料収入の割合が、J1浦和が37%、J1(18チーム)平均が23%と、J1浦和の入場料収入の占める割合が非常に高いことが顕著。
[浦和レッズ 2014年1月期決算]      (単位:百万円)
営業収益                     5,786 (100%)
広告料収入                  2,319 ( 40%)
入場料収入                  2,132 ( 37%)
Jリーグ配分金                 258 (  4%)
アカデミー関連収入             15 (  0%)
その他収入                  1,062 ( 18%)
[J1(18チーム)平均]                   (単位:百万円)
営業収益                     3,078 (100%)
広告料収入                  1,417 ( 46%)
入場料収入                     693 ( 23%)
Jリーグ配分金                  219 (  7%)
アカデミー関連収入            158 (  5%)
その他収入(グッズ収入含む)590 ( 19%)

【浦和レッズの入場料収入の多い要因】
 J1浦和は、ファン、サポーターに経営を支えられているサッカークラブであり、営業費用のひとつであるチーム人件費が2,016百万円と、入場料収入 2,132百万円よりも少ない数字となっており、選手の報酬・人件費を入場料収入で賄っている事を象徴。J1平均では、チーム人件費は入場料収入のおよそ2倍なので、いかにJ1浦和が健全なチーム人件費と入場料収入の割合となっているかがわかる。
【浦和レッズのプロモーション戦略】
 J1浦和は、チームにお金をかけることにより魅力あるチームとなり、それにより入場料収入が増加。そのお金を再びチームに投資する事により魅力あるチームへとつながるサイクルが理想的に回転。また、営業収益の内、入場料収入やグッズ販売の構成比を高め、ファンやサポーターからの収入を増やし、広告収入に頼らない収益構造にすることを目指している。J1浦和の営業収益の内、広告料収入40%、入場料収入37%、グッズ販売を含むその他収入18%となっている一方、J1平均では、広告料収入46%、入場料収入23%、グッズ販売を含むその他収入19%という状態。広告料収入が46%に対して入場料収入が23%しかありませんので、景気が悪くなると、企業の広告宣伝費が削られ、サッカークラブの経営に大きなダメージが及ぶことになる。このようなJ1浦和の基本的な考えから、入場料収入やグッズ販売を増やしていくプロモーション戦略が立案され、実行。
【浦和レッズのプロモーション活動のうまさ】
 他のJ1チームに比べ、J1浦和には収容人数の多いスタジアム(埼スタ)を使用できる優位性があり、入場料収入とグッズ販売が拡大する「器」が存在。華のある選手を抱え、良い試合を行えば、必ずファン・サポーターは来てくれるはずだという信念が存在。ファン・サポーターを増やすには、チームが地域密着型になることが重要であると考えている。
「経営者online」該当ページ:http://keieisha.zuuonline.com/archives/2538

 Jリーグで営業収益1位のJ1浦和の他に、9年連続黒字決算でJ1川崎とJ1甲府が出てきました。3チームとも当ブログの「Jクラブの付加価値」で評価するクラブであり、売上・利益追求だけでなく、しっかりと選手による地域・社会貢献活動もしっかりされています。例えば、商業主義だけを追求していたら、一時の出来事にはなってもこの3クラブほど発展継続はしないという事か。浦和さんはレッズランド、川崎さんは選手との地域貢献契約、甲府さんは特に強い地域貢献活動と、しっかり地域に密着した事業をされています。全くうらやましいですね。
 少し遠回りになっても、まずは公共財として地域に密着し、選手による貢献活動を行っていれば、結果的に経営も発展してくると思います。地域と距離を置き、目先の売上・利益だけに走っていると、今は良くても何かトラブルがあった時に、あっという間にファン・サポーターに去られる事態になります。昔から言う例えですが、見てくれは立派でも根が張れていなければ、大風が吹けば倒れるのはあっという間。逆に見てくれは地味でも、しっかり根を張っていれば、大風が吹いても地域がしっかり守ってくれるという事でしょう。
 では、「地域に根を張る」とは具体的にどういう事なのかという点ですが、わかりやすく事例を挙げると、甲府さんのように県民クラブとして、県下市町村とくまなく連携が取れている事、新潟さんのように地域の後援会がくまなく組織できている事や、山雅さんのようにいくつもの地元ホームタウン行政から出資をもらっている事などでしょうか。読者の皆さんの地元クラブはいかがでしょうか?
J1浦和関連:26 / 25 / 24 / 23 / 22 / 21 /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  

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