事例紹介コラムです。
先日の日経新聞「中国経済」欄に「サッカー場計画 見えぬゴール 広島中心部2候補地併記どまり」というタイトルで、J1広島向けの新しい専スタ計画の事が載っていました。造る機運は盛り上がっても、それだけではなかなか前に進まない事がよくわかりました。以下、抜粋して紹介。
広島市等が官民で設置したサッカースタジアム検討協議会は、年内にも最終報告を提出。検討に約1年半かけたが、新スタジアムの具体的な姿は煮え切らず。候補地は、旧広島市民球場跡地と、宇品港前の広島みなと公園の2ケ所の併記にとどまる見通し。
11月21日の最終回の協議会での争点は候補地選びに集中。議論は最後まで平行線で上記2ケ所で優先順位を付けずに併記する最終報告をまとめる事で、協議会会長が引き取り協議会は閉会。
【前提考慮が不足】
J1広島が元々希望していた旧広島市民球場跡地は、その活用法を巡ってまちづくりの議論が絶えない場所であり、建設資金の一部を自治体が負担する可能性で、収益見通しにも厳しい視線。
実際の議論は様々な面で食い違い、建設費用では旧市民球場が194億円、みなと公園が143億円と試算していたが、スタジアムの収容人数規模や候補地の既存施設の代替地確保費用等前提条件が考慮されていないとして合意されず。他にも交通アクセス面や複合施設化の実現性などの11項目を検討。
当初の9ケ所からは絞り込めたが、最終的に1つに決めれず。外部コンサルが作成した評価結果も報告に盛り込むべきでないという意見もあったとか。「どこ」に焦点が当たり過ぎ、思いやコンセプトの議論が少なかったという面があり、新スタジアムがサッカーファンの利便性向上以上に何をもたらすのか、試合以外の日のにぎわい作りや、機能、コンセプト等の具体的議論が少なかった模様。
【県など継続協議】
今後は最終報告を受け取る県、市、会議所、県サッカー協会の4者が協議を継続。建設の是非、事業主体自体がまだ未解決の状況。
加えて、松井市長が来年4月に任期が切れるため、それまでに方向性を打ち出す可能性は低いとか。具体的な施設像づくりが進展しなければ、早期のサッカースタジアム実現の道のりは遠いと締めくくっています。
【サッカースタジアム検討協議会】
'12年のJ1広島の優勝を機に、県協会、クラブが専スタの建設を要望。県、市、会議所と県協会が’13年6月に協議会を設置。委員は有識者11名。
という感じでした。広島さんのこの話は相当長いと思います。昔ビッグアーチにJ1の試合を観に行った時に署名運動が始まっていて、最近のEスタでは具体的な構想も展示していたと思います。サッカー専用スタジアムを作ろうと口にするのは簡単ですが、他スポーツとの兼ね合い、立地条件、商業施設の併設案、オフシーズンの利用方法など課題は多いでしょう。
日韓W杯で全国に造られたスタジアムで、実際はサッカーの大きな試合で全く使われていないスタジアム、柏の葉のようにサポーターの反対運動を気にせず、いったんはホームスタジアムを移転させたが、旨くいかなかったケースなど、この手の話は実はいくらでもあります。それはいわゆる「箱もの行政」という事で、地域の負の遺産と化してしまうのかなと。