CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】蔦重の教え

2014-04-07 21:34:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
蔦重の教え  作:車浮代

あの蔦屋を扱った小説ということで
楽しみにして読みました、驚いた、確かに蔦屋の話しでもあるが、
どっちかというと、江戸ルポ的な物語でありました
現代からタイムスリップでその時代にいき、
蔦重のところで下男として働きながら、
その人となり、そして、江戸の風俗なんかを体験する
そういった内容であります

割と、ライトな江戸入門みたいな具合でもありまして、
読みやすく、物語自体は激動といった様相ではなく、
割と淡々と、蔦重がやっていたことをやんわり、
そして、その手法について重ねて書いていて、
ビジネス書のような教訓めいたところもしばしば
肩の力を抜いて、あまり難しく考えずに読めるという点で、
非常にお手軽な小説であります

蔦屋が、どうやって本を作り売っていったか、
その様々な逸話を掘り下げながら、
今となっては有名にすぎる名だたる浮世絵師を次々とプロデュースし、
その面倒見のよさから、差配人の凄さというか、
これこそが管理職といったような具合で描かれて
面白く読めたのでありました

もっと、蔦重の仕事について掘り下げてというか、
いくつも書ける節があっただろうに、そんなに多くなく、
そのあたりちょっと物足りないという感じでしたが、
蔦重入門書といったらいいのか、
江戸における、版元とか、庶民の生活みたいなのに触れられて
なかなか楽しい本でもありました

続編が出る内容ではないため、
もっと蔦重の仕事について知りたいと思うものの、
なかなかどうして、江戸中期という時代は
これで非常に面白いと、目を啓かれたようで
満足したのでありました
非常におとなしくて、事件性が少なく
ほのぼの読める小説でした