CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】首折り男のための協奏曲

2014-04-23 20:23:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
首折り男のための協奏曲  作:伊坂 幸太郎

話題作を読みました
久しぶりの伊坂さんだと、楽しみにして読んだのですが、
まさかの短編集で驚きました
てっきり、長編のフラグ回収が楽しいそれが読めると思ったのに
と、ちょっと期待と違いましたけども、
短編でもきらりと光る、周到な伏線と回収を
堪能できたのでありました

タイトルのとおり、「首折り男」なる犯罪者というか、
殺人犯が出てくる短編がいくつかなんですが、
正直、こいつが何というわけでもないといいますか、
むしろお前なんなんだよと、
ほとんど「首折り男」がなんなのかわからないまま終わるというか、
終わりもしないといいますか
ともかく、そこは重要じゃない、
そこではないところで、いろいろと起きて、
あれとそれが繋がっていて、
驚いたり、楽しかったり、過去へ未来へいったりきたりしてと、
遊園地で遊ぶような気分で、
あちこち振り回される小説ばっかりでありました
面白かった、いや、楽しかった

あくまで、読書体験として楽しいと
そんな風にも思えるようで、
内容や、いわんとしているテーマみたいなのは、
やんわりと見えるけども、それではなく、
ただ、読んでいて面白いか、
そんなことに挑戦しているかのような印象でありました
なかでも合コンの話しが面白くて、
内面の声と、実際の会話をクロスさせながら、
色々な方向に話しがふられて、内容は実にくだらない
それなのに、最後のオチ部分で、
ああ、そうか、そこを拾ってきてこうまとまるのかと、
アハ体験的なフラグ回収を楽しめたのであります
これが、短編の最後を飾っていて、
かつ、ハッピーな気分になれるので
抜群におすすめでありました

その他も、まぁ、理解というか共感できる正義の話しが
あれやこれやと盛り込まれていましたが、
そういうものに憧れながら、人間的に駄目であるという
その生き様を描いている短編がいくつかあって、
それも、読んでいるとしみじみと楽しくて
いい本を読んだと納得なのでありました