CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?

2022-05-14 20:50:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?  著:須黒達巳

同定に関する本でした
同定入門書というべきか、同定する楽しさ、その方法を著者の経験に即して
解説に尽くした本でありました
面白いことに興味を持つ、そういう一歩として大切な本だと
個人的には子供に読ませる一冊といった感じだろうと
思ったりした内容でありました
まぁ、読んだのは独身のおっさんなんだけどもな

かつて昆虫学に身を置いていた学士様という
ありがたいそれを背負っているので、昆虫の同定というのには
興味深いというか、あーなるほどなと思うところが多かったんだけども
この本は、昆虫とか植物とかに関わらず、
あらゆるものを同定する必要性、その手練手管の汎用性に注目しているのがミソで、
花や昆虫の名前はわかっても、鳥や魚はさっぱりわからんという自分にも
なるほどと思わされるところが多くて非常にためになった

基本的には図鑑で調べる方法、
同定する勘所をひたすら見て鍛えていくということに終始しているんだけども
その方法というか、道すがらが楽しそうで、
まずはここを楽しめるかどうかが、一つ目のチェックポイントだよなと思わされたりもする
とはいえ、特殊なそれというわけではなくて、
人間というのは何かに慣れてきたら、それに関する目の付け所というのが鍛えられるというのが
なんというか、しっくりくる話で、植物とか動物とかを見るだけでなく、
仏像とか、それ以外のところでも、習熟した人にしか見えない違いというのがある
それが面白いと思うというのは、この本の主旨とは少し異なるけど
個人的にはその違いや、それを得ることの楽しさというのは
同定の楽しみの一つではないかと思った

実際に図鑑をひいてみる実践があって、
正直そこのハードルが高いというか、
実際に魅せられて、やれるかというとしんどいだろうなという
ハエやシダの同定という過程が興味深かったのだけども、
このあたりも、個人的に好きな、ハチやクモの方が楽しめそうだと思ったりしたり
なかなか好き嫌いみたいなのが出るものだなと実感したのでありました

フォントの違いを探るとか、
結局マニア向けの話のようでもあるけど
楽しいことだと思うのでありました
後付けにあったけど、AIがいつかこれを肩代わりするんだろうが
これを楽しいと思う心というのは、いくつかの種類の人間に備わっているものだろうと
仕事から、趣味へと変貌していくのかもと思うのであった
いや、もともと趣味が高じて仕事のようになっていたもので
これ自体は人間の営みからなくなることはないのだろうと
思ったりするのであった