CLASS3103 三十三組

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【読書】悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い

2022-05-18 20:51:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い  著:ステファニー・ストラスディー

タイトルが完全なネタバレなんだけども、
抗生物質がきかない耐性菌の中でも特に強力な、スーパーバグと呼ばれるそれに取りつかれた夫を
死の淵から救う物語でありました
二人が学者であるということが、僥倖となる場面が多いんだけども
その悲惨な病床の実録が生々しく、読んでる最中に何回もタイトル読みなおして、
この夫、本当に助かるのか?とか思ったりしながら読んだのでありました
耐性菌超絶怖い

ものすごく悪化していく体調と、遠い国での発症から、
少しずつヨーロッパへと緊急搬送で近づいてきて、
その度に小康状態と危篤状態をいったりきたりして、
子供を呼び寄せては返しといった感じが、オオカミ少年状態になったりとか
割と、そこかしこで見られそうな困った感じもさることながら、
その厄介さ、さっぱり解決しそうもない絶望感がともかくすごい
人類には勝てないんじゃないかというくらい
この耐性菌の厄介さ、そして症状の悲惨さがありあり描かれていたのであります

結局それをなんとかしようと、ほぼ治験に近い方法で、
人体実験と変わらない、新しい方法を自ら試していくという突破に向かう
アメリカでの医療試験というのも興味深い内容であるけど、
それを推し進めるために、様々な人たちが助けてくれるという
この学者ネットワークみたいなのが、非常によかったなぁと思わされるところ
だんだんと、ファージを使った治療のプログラムが組まれていく様とかが、
行き当たり場当たりなのに、頭のいい人たちが考えることは
すごいんだなと思わされるばかりでありました
途中、この方法もまた、とてつもなく危険であるということをわからせるために、
ものすごく長い誓約書にサインを求められるんだが、
その誓約書内容を、おそらく原文(訳してあるんだから、原文とはいえないが)で記載されていて、
何が起きても自分で理解して選びましたと、
改めて文字で示される恐ろしさも感じられた李したのでありました

ま、そういうのが、最終的に成功すると思っているから読めたわけだけど、
実際どっちに転ぶかわからないときにそれをというのが
なかなか残酷というか、大変なことだったろうなと思わされるばかりであった
ともかく、すげぇドキュメンタリーだなと読み終えたのであった

最終的には抗生物質に頼る世界への警告みたいなのになるわけだが、
それでどうにかなるようなものでもなさそうだよなと
病気とのいたちごっこの怖さと、
そういうものが割とあふれている世界というものを
知る本となったように思うのであったとさ