CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】パッキパキ北京

2024-03-30 20:58:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
パッキパキ北京  作:綿矢りさ

まるで私小説かのように書いているけども、
当然そうではなくて、でも、ものすごくリアルに、
コロナ厳戒下からこっちについては、まさにこういう状況だったのではと
中国の市井が見えるようで面白い小説だった

女性同士のよくある、マウントの取り合いなんていう
しょーもないやりとりから始まるが、
自分をまったく見失うことのない主人公の女傑っぷりというのが、
ある意味純真な感じで中国と付き合ってて、
あっという間にそこに馴染んで、なんだったら、悶着を山ほどこしらえてと
結局国境やら、状況やらは関係なく
自分がということを押し通せる強さの面白いこと、
そして、どこでどんなことであっても、人間同士なんて解決も問題も一緒だといわぬばかりに
通常とはいいがたいけども、日常が続いているというのが
嫌味でも、押しつけでもなく当たり前だと描いていて
非常に面白いと感じたのである

でも、文体というか、書かれていることは、やはり私小説風というか
いわゆる日記形式のようにも読めて、古典の〇〇日記とほぼ同じ
それでいて、観光ルポのようでもあるし、ドキュメンタリのようでもあるしと
高尚なブログといっても過言ではないような読み応えなんだが
銀座でホステスしていた経験と人生訓が
なんとも味わい深くささってきて、なんだかんだ深く読めてしまうのがよかったと思うのである

しかし、北京てのは、ずいぶん寒いところで、
とんでもなく冬がきつい地域なんだなと、改めて知るばかりであった
ともあれ、楽しむにはある種の才能が必要なようにも見えるけど、
それは、北京に限らず万事においてそうではないかと
そんなオチにもなってて、大変楽しく読み終えたのである

それはそれとして、自転ターの暴走は嫌だな