CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】教養としてのラーメン

2022-05-09 20:58:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
教養としてのラーメン  著:青木健

タイトルの通り、ラーメンについてその学術でもないが、
文化的に歴史や、周辺について語った本でありました
ラーメンの基礎知識というか、一般教養としての書物を目指しているだけあって
平易にというか、日本におけるラーメンとはというところに
まめやかにアプローチしていて面白かった

正直、そんなにラーメン好きでもないので
こんなにあれこれあるのかと、驚いてしまう内容だったのだけども、
系統立てたり、歴史があったりというあたりが、
今まさにうごめいているところも含めて面白いのだろうと
読んでいて、その熱量に圧倒される
某漫画で語られている通り、一種の情報を食べる状態になるというのも、
この細かなというか、色々なストーリーを読んでいると
わからんでもないと思わされるところでありました
そういう意味で、ラーメンという食べ物なのか、
なんか、食べ物を売るというマーケティングの総合格闘的なものなのかと
考えさせられるところでありました

文章を読んでいて、おいしそうと思う、
様々なご当地の特色紹介なんかもあるんだが、
名店とか、そういうのを紹介する本でもないので、
その土地土地、また、客層のあれこれとかにも言及していて、
この本にあるのと、また違った意味で敷居が高いというか、
身構えてしまう内容だったようにも思う
さほどにラーメン好きでもないから、なんか、気後れしてしまうような気すらある

とはいえ、最近では1000円超えるのも、いよいよ当たり前になってんだそうで、
あんまりラーメンだけを食べに行くということがないので
なかなかピントこないのだけども
日々精進して、新しい世界を開拓している業界の面白さと、
同じこをと続けていることが、変わらない味とは異なるという
ある種の哲学問答的なものについては
深く考えさせられるところがあったと思うのでありました
常に変化しているのだから、それにあわせて動いていると
まるで動いていないように見える的なやつかしらと思ったが、
そういう話でもない

今流行というのがわからないけど、
すっきりというか、綺麗なスープのラーメンが主流になりつつあるそうで
久しぶりに食べてみたいかもと思ったりしたのである

鎌倉殿の13人  壇ノ浦で舞った男

2022-05-08 21:09:39 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
結構あっさりというか、割と想定通りみたいな感じだったけど、
ながら見してたから、本質を見抜けなかった気がする
梶原と義経の関係が、未だかつてないほどいいのかと思ったら、
結局、そういうやつかよという感じで
銀英伝の義眼野郎みたいなこと言い出したなと思ったんだが
あれはあれで、筋が通ってるとみるべきなのか
なんだかな

法皇との関係やら、あれこれが、
かなりダイジェストで流れていくので
ちょっと見逃してると、細かい芝居が入ってたりして、
意図に気づけないことが多い本作なんだが、
とりあえず、大将を誰がやる問答のところの
ちょっとしたプロレス感は、ながら見してるだけじゃ気づけなかったので、
なんというか、梶原との関係は、ちゃんと見ていかないとなと
反省ばかりするのであった

さておいて、死が近づくと、途端にいい人っぽくなるという
よくない予兆がでてきておりまして、
梶原に、さんざんぱら、人の心がないとか言われていた義経が、
さらっと、宗盛親子を合わせてやったりとか、
現地の人と芋食う約束守ったりとか、
そのあたりの話を今もってくるかという、この底意地の悪さというか、
先の展開がしんどくなることばっかりで
なかなか大変でありました
義経もどうしたものかという人間で描かれていたのに、
ちょっといいところを見せられると、途端に情がわいてしまうというのは
振り回されてるなと思うのとともに、
不良が猫拾う話と一緒だなと感じてしまうのである
そういう物語に、凡人は弱いのである

頼朝の偏狭さというのが気になってきてるんだが、
案外、大人物というひとほど、ああいったものなのか、
政子の前で見せた姿がまた、謎というか、
お前サイコパスなのかと思わされるようなところもあったりしつつ、
大江と小四郎の前だからこそ、非情でいようとしてんのか、
複雑な人間模様を眺めていくのでありましたとさ

【読書】言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか

2022-05-07 20:55:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか  著:川添愛

言語学の読み本だと思ったけども、
プロレスの与太話をごたまぜにした、
なんかわからんけど面白い読みものという感じだった
完全に先入観に騙されたというか
勝手に勘違いしてたんだが、話題選びからして、同年代かちょっと上くらいのおっさんだなと
作者のことを想像していたんだが、
どうやら、同年代からちょっと上なのは間違いないが、女性だったようで
割と衝撃を受けたのでありました
そんな年齢層で、ガチのプヲタ的な人というか、いや、ガチからすると
やや柔らかい感じというか、だいたい自分と同じくらいという
撫でた感じでプロレスを愛好しているというのに
なんとも衝撃的だったのでありました

さて、本としては、言語学とはなんぞという
たいそれた話をだいぶうがった感じで、柔らかく、てけとーに説明すると
そういう話なので、あんまり骨格がないのだけども
プロレスのあるある話でもないが、それこれを楽しみつつ
言語とは何かについて、はっとさせられるというか、
面白さに気づかされる内容になっていてよかった

タイトルにある通り、AIにお約束が理解できるかという題目は
今もって、かなり高度なそれなんだというのは想像に難くないわけだけども
それは、そもそもどういうことから成り立つのかというあたりを
学術的ほど詳しくなく、わかりやすく分解しているのがよくて、
言語とは何かを考えるきっかけを与えてくれる内容でありました
宇宙人の言語とは、一般的な何かに収れんするのか
このあたりも興味深い内容である

知識として得るものは、プロレスの話しかない本だったけども、
言語について考えるきっかけを与えてくれる本であったのは間違いなく
なかなか楽しく読めたのでありました

【読書】死ぬより老いるのが心配だ

2022-05-04 21:04:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
死ぬより老いるのが心配だ  著:ドナルド・ホール

アメリカの詩人である著者が、老成につれ思うところを
散文としてしたためた作品
エッセーとされているんだが、エッセーとは何か、
散文とは何か、詩とはと、
そういう文化的根本を考えさせられてしまった
そういうあたりに教養と素養がないのを突き付けられたようなんだが
ともかく読んだのである
なんというか、読みにくかった

書かれていたことから、印象的と思われた一節が抜き取られ
それがタイトルとなった、タイトルから書かれたものではないだろうと
そういう感じで、自由にあれこれ、これまでのことと詩作について思うところを書き
己の在り方というものをやや自虐的に書いていると
そんな風に読めたのでありました

死について、過去よりいくつも書いたし思ってきたが、
老いた今は、そこに気が向かない、ただ、今、ぎりぎり明日、
そういうところにいるというあたりで、
老いていくということを自覚する話がいくつも出てきて
タイトルにつながる一節が出てくるわけだが、
詩人としての成功があり、妻との別れがありというのが
やはり人生の多くというか、ほとんどであるかのように
いくつかのエッセーで、同じように繰り返され
それでも、それぞれの言葉が違うというあたり
描こうとするものは同じだが、アプローチが違うものを選んでいるんだろうなと
それが最後の仕事というか、詩作なのかもと
わかったようなことを書いておくのである

変人であるのは間違いないようだが
風貌がなかなか独特なようで、それについてのほほえましいエピソードがいくつかと、
女性に対するあれこれが意外と多くて、いや、詩人なんてモテるもんだし寂しがり屋だから
そういうものなのかと思ってしまうんだが、
年取ってからも介護の女性とのエピソードなんかもあったりして
車の運転ができなくなり、ジムのトレーナーのような、話し相手のような女性と会えなくなるとき
半泣きになったという話の赤裸々というか、ありそうな話しに
いかにも詩人的だなと感じたのでありました
古今東西を問わず文化人というか、こういう人が、そういう感じであると
狭い知識では、山頭火とか、啄木とか、なんかそういう人を想起させるものだなと
思ったのでありました
安い知識で語るのは恥ずかしいな

この本を編まれてからか、その日の目をみたのかわからないけども
亡くなってしまっているとのことで
遺作や遺言というには、あまりに普通というか、気負いのない文章だと思ったのであります

【読書】かくして彼女は宴で語る

2022-05-02 21:06:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
かくして彼女は宴で語る  作:宮内悠介

日本の文芸サロンとして、実際に存在したのか、
パンの会と呼ばれる、文人詩人画家など、芸術人が集まって、
うまいものを食べながら、あーだこーだと美を語るという集まりを舞台にした、
テーブル推理劇でありました
毎回、誰かが、どっからか聞いてきた不思議な事件の話をあげて、
あーだこーだと、文人たちが推理をひねり出しつつ
最終的にはその店の給仕の女性が、さらっと言い当てると
そういう組み立てでできているものなんだが、
もうちょっと、出てくる文豪なり、文人なりに知識があると
よりいっそう楽しめたのかもなと思うほど、
どうやら、かなり、当時のあれこれを調べて、
実際にその時分に、そういう会合で、そんな話ができたかもしれないと
作り上げられているらしいことが、あとがきめいたところでわかるのが
また面白いと思ったのでありました

推理劇自体は、しょせん他人事といってはあれなんだが、
そういう会での余興といった扱いなので、
割と悲惨というか、悲しい事件も取り扱われたりするんだが
それを肴に酒を飲んでいるなんていうことばかりで、
白秋やら、啄木やら、ニヒルというか、正直ヤなやつだなと思わせる
様々な文人たちが、自分なりの矜持とともに、
少しばかり楽しんでいく、そういう姿が見られるのが
なかなか魅力的な物語でありました

印象的だったのは、浅草のタワーの話で、
いだてんとかで、出てきてたなと思って感慨深く読んだんだが、
あのふもとあたりは、存外治安がよろしくなかったのか
その頃の市井描写が面白くて、文人サロンという
ちょっとした金持ちの余興めいたそれながらも、
実際の世相なんかの凝った描写が面白く、ガス灯の世界なんかを思い浮かべると
いい感じの楽しさがあると思えたのでありました

話としてのまとまりをつけるためにと言うと雅美がないが
社会風刺ではないけども、何かしらのそういった批評めいた目的が
事件に組み込まれているかのようでもあるのが、
最後の話につながっていくというのは
ややできすぎだけど、そういう風に考えたくなる、あるいは
考えなくてはならないというのが、あの頃の文人の使命のようにも思えて
違和感なく読み終えたのでありました

鎌倉殿の13人  助命と宿命

2022-05-01 20:58:55 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
酷い暗い話になるかなと思ったけど、
上総の介の時に比べれば、まだという感じになってしまった
多分、冠者殿の出番が、さほどでなかったことが要因なんだろうと
メタ的な感じで思ったんだが、それにしても、
なかなか悲惨なお話でありました
まぁ、あんな脱走劇やってたということが知られたら、
それこそ洒落にならんだろうに、それはいいんだというあたり
コメディにしようという苦心が見てとれたようにも思うのである

とりあえず、序盤にさらっと流されていたけど
のちにつながる暗い話の芽として、
義経のそれこれがあったわけだが、
法皇に篭絡されて、かつ、静とどうやら出会ってしまった感じが
まぁ、比企のそれと対比して、悪いことしか起こらない予感が
素晴らしい感じでふりまかれて
そういう序盤に大事なネタを仕込んでおきつつ
怒涛の冠者殿騒ぎでかっさらうというのがよかった
工藤が久しぶりに出てきて、もう殺されるかと思ったら
もうちょっと後なんだな、しかし、なかなかのクズ野郎っぷりで
かたき討ちの話も拾いそうで楽しみになってきたと思うところ

武田の処理もあんな感じだったんだと、
まぁ、だいぶ脚色はあろうけど、さらっと息子謀殺されてるし
源氏で争うことの恐ろしさが描かれて、
それが頼朝のせいであるというのが、なかなか残酷だけど
実際そうだったんだろうか、はてまた、
その悲劇性を描きたいがために
やたら、木曾がよい人に描かれてるのか
歴史は作られていくんだなと思いながら見るのでありました

巴がやっぱり眉毛繋がってるのに安心したんだけど
よく見たら、木曾の人はみんなそういうキャラ付けだったのか、
冠者殿もうっすらそんな感じにされていたように感じたんだが
顔立ちが綺麗すぎて、いまいちわからなかったのである
どうでもよさそうだけど、意外と重要なキーになりそうだな
どっかで、眉毛のつながった新しい人物が出てきたら
その界隈みたいな感じになりそうだ

次の餌食は義経のようで
それもまた、楽しみにしつつ、すごい勢いでキャラが処理されてくんだろうなと
まだ13人そろってもいないらしいんだが、毎回あれこれ盛っていくのは
大変だなと思うのである
ま、実際そうだったんだろうけども