CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

光る君へ  月夜の陰謀

2024-03-10 20:57:46 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
最近は、流れで見ているとちゃんと見られないと録画を見直したりしてるんだが
ふわっとしているようで、演技演出の端々に色々な予見、予感が潜まされていて
まぁ面白いことこのうえない
今回のは、わりとわかりやすく陰謀をなしていったけど
後からみたら、細かい示唆があるんじゃないかとちょっと楽しいのである

さて、晴明は、完全に悪の軍師だなと思いつつ
とても頼もしく見ているんだが、あの頃の呪術がどの程度信じられていたのか
それがよくわからんところながら、リミットを切られるという
なかなか恐ろしいそれだったわけだけども、あの時間が一番成功しやすいと
そういう意味でもあったんだろうかと、そのあたり、ちゃんと見たらわかりそうだと思うところ
ともあれ、その賭けにしっかりと乗るパパの力強いこと、頼もしいことと
腹違いの弟まで合流しての一家による策謀というのが、大変面白かった
訝し気でも、姉上もちゃんと合流していて
とりあえず、表面上はそれでよいという流れになったのも
一流政治家だなと思わされるばかりである
その中で、ふらふらしている道長の頼りないというか、若さともいえる情けなさが実によい
その陰にあるまひろとのそれこれが、独特の魅力で貴族っぽさもあって
凄くよかったんだけど、主人公が完全に道長だなと思ってしまうところ
あえて、まひろが物わかりの良い女というポジションをとるというのが
まひろを主人公として考えたら選択であり、
男を引っ叩いて導いているでもありそうなんだが
ここ数回の流れは、完全に道長だなと思ってしまうのである
二人で主人公なんだろう

あとは、可愛そうな帝が、ちょっとずつ不審を覚えたりもするけど
あんまり考えずで、結局ああなったというのが
なかなか残酷極まりないけど、19歳で、あんな感じに育った人では
いや、多分、自分が19歳でも、立場さりとてあんな感じになるだろうなと
あっけにとられるでもないが、政治に生きていくにはもろ過ぎたと思わされたりしたのである

政変といっても差し支えない暴挙ながら、
この後、藤原権勢がどのようになっていくか
これまた楽しみが続くのだが、
とりあえず3月末くらいで、一度、まひろが道長から離れるといった展開なんだろうと
思ったりしているけど、はたして、
楽しみが続く、戦闘はないが、戦争シーンだと思わされる毎回の
静かな狂気がよい、とてもよい

【読書】作家刑事毒島

2024-03-09 21:08:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
作家刑事毒島  作:中山七里

シリーズの続編を先に読んでいたので、
ようやく一作目を読むことができました
最初はちゃんとといっていいのか、作家刑事らしく、出版関係のあれこれを扱った事件が多く
非常に面白くというか、これは、ある種の内輪ネタというやつなのかと思いつつ
世にもひどい文壇の世界をのぞき見する内容でありました
まぁ、実際はそうでもあり、違ってもありだろうけど
魑魅魍魎が跋扈する界隈であるのは間違いなかろう

毒島の毒のある感じはにやにや読めるところなんだが、
容疑者たちのひどさが際立っていて、
話しは、はじめからパターン化されているようなミステリ小説だけど
その容疑者たちの悪の強さが見所と思われ、
まぁ実際にこういう人たちがいっぱいいて、
かつ、出版社に押し寄せてるんだろうなと思うほど
世をはかなみたくなる感じで仕方ないのが、二週くらい回って面白かった
どれもこれも、本当にモデルとなっている人がいて、
それの合体悪魔みたいなものだったんだろうと思うわけである

作家を目指すことと、それを批評すること
このどちらもが、現在とてもやりやすくなっているというのが
根幹の問題なのか、少しばかり、そのあたりにも踏み込んだ会話があって
ともかく憂さを晴らすとか、承認欲求を満たすとか
その手段として、小説を書く界隈を利用する人間がなんと多いか、
そして、その人たちの思考の自分勝手さが見事なまでに犯罪者のそれと
根底では一緒というのが白眉というか、暗たんたるというか
ともかく、そういう人ばっかりなので、ミステリとしては
誰が犯人でもよくない?と、身もふたもない私怨怨恨を生む内容なのも面白いわけだけど
ミステリ小説としてどうなんだと思わなくもなかったのである

小説としてはずいぶん前のものだけども、
実際にここで扱われているのと似た事件が最近起こっていたのが興味深いところで
当の事件において、被害者が毒島のようでさえあればそうではなかったのか、
また、この小説ではそこで味方となる編集のひとがいたりするのも物語的であるわけで
現実との乖離というか、より悲惨であるということが、
関係する業界の澱のようなものを見たように思うのであった

トリックはそれなりであるものの、やっぱり動機の方が面白くて
案外被害者の方にも問題があったりという、犯罪の酷い部分がいっぱい出ていて
そこを文壇を利用して、面白い話に見かけ上変えているのが
よかったのだろうと思いつつ読んだのであります

【読書】火花

2024-03-06 21:05:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
火花  作:又吉直樹

話題となった作品でありました
以前にドラマの方を見て、結構面白いなーなんて思ったのだが、
その時の印象が強くて、読んでいて、役者がそのまま浮かんでくる感じだったんだが
ドラマの通り、いい青春物語で楽しく、そして、少しだけ切なく読み終えたのでありました
芥川賞作品ではあるんだが、ちょっと毛色が違わないかと感じたのも確か
さわやかすぎる、そう感じたのであった

若い芸人の毎日を描いているのだけども、
芸人であるということが主軸でありながら、
そこで語る言葉が、普遍的になっていて、お笑いのことを語りつつ
それが人生訓めいてもいる、そして、その姿が青春そのものと
まぁそういう感じだなと読んでいて気持ちがよいのだけども、
ちょっと露骨にすぎるなと思う部分もあり、
本当に、心を食って見事に表現しきれているところもあってと
内容の不安定さが、絶妙でよかったと偉そうな読み方をしたのでありました

笑いに関する哲学めいたところのやりとりで、
人間の成長でもないが、抗っている日常と、
その姿を映しているのはよくよくわかるんだが、
それよりも、先輩芸人を師匠と呼んでなついている、
その二人の関係と空間、そこにまつわるすべての粒子が、実に青春でいいなと
ここが強烈に響いたと思ったのでありました
人間関係、それも、友情とも違う、
もしかすると日本特有かもしれない、先輩後輩というものを書いているのかもと
思ったりすると、とてもいいなと感じたのでありましたとさ

明るくすがすがしく終わるので
よい気分になれる小説でありました

【ドラマ】お別れホスピタル

2024-03-05 20:53:54 | ドラマ映画テレビ感想
重い…
思わず呟きながら、でも、ずっと魅入られていたように
食い入るように、見入って、沈むように受け止めていた
いや、一方的に殴られたに近い感じで、ともかく、ずっと受けていた

医療ドラマであるのも間違いないのだけど、
そこの中でも死を扱うばかり、人間ドラマでもあるんだが、
孤独と死と、しがらみとが描かれていくばかりで
本当にほのかに、ささやかに笑いもあるんだが、
それは悲壮を際立たせるスパイスでしかないようでもあって
まぁ、ともかく重く、さりとて、目が離せない作品でありました

人間ドラマなのは間違いないんだけども、
あんまり扱われない部分というか、見たくないものを見せてくるようでもあり
死や、最期というところで目を背けたいところをクローズアップするかのようでもあるが
露悪的ではない、とてもまじめに作られているからこその重さが
なんとも、身に応えるようで面白かった

死を迎える人に、当然のように色々な人生があって、
死の淵の入り口から死まで、その間にみるみる弱っていくというのが
ただ見ている画面ではそうと描写されない、そこではない問題に目を向けているんだが
その間に、明らかに病状なり、症状なりが進んで死んでしまう
この刹那を切り取るばかりで、重い意味をいくつも考えさせられて
いつか自分にも訪れる、看取る側と看取られる側の両方が見えたように思うのでありました

死は誰のものかという問いかけも包含していたようでもあるし、
エピソードとして、とっかかりだからというドラマのメタ的なものも含めて、
古田新太さん演じる患者の死が、本当に強烈で、
死の種類についても考える要素があると知るのでありましたとさ
また、どの編においても、ここぞという場面の絵作りが上手すぎる
わざとらしいまでに、絵として作りこまれていて、画面にくぎ付けとなってしまうのが
本当、好きすぎるわと思った
人物の撮り方、構図、余白、間のすべてが計算されつくしているんだろう
一番演出的にキツいところに照準をあわせているようでもあって素敵すぎる

ゆりかごの時は、まだ救いがあったようにも思うんだが
今回は、その先というか、諦めや受け入れというものについてクローズしているのが
堪える内容であったと書いても書いても、何も追いつかないし
書くほどに深みにはまる分厚いドラマだったとメモっておくのである
死ぬのは怖いし、死なれるのも怖いし、
だけど、その前後はずっつ繋がっていて、
死ぬまで続いたものは、死んでからも続いていくんだと
それは救いではなく、やっぱり諦めというか、仕方ない物というのを学ぶようでもありました

【読書】変半身

2024-03-04 21:05:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
変半身  作:村田沙耶香

演劇脚本にもなっている合作なんだそうで、
別小説の信仰に通ずるものを感じながらも、
でもまったく異なるというか、いきなり振り切った感じになるのが
最高に楽しいと短編二作にどっぷり浸かった感じで読み終えた

どっちも、エログロというではないが、
下世話な話の消化の仕方というか、道徳とか常識とかに挑んでくる内容で、
でもそれがとても大切なことのように錯覚させられる
真摯な変態は、なんか尊敬してしまいがちに近い
なんともいえない憧れのようなものすら惹起する感覚がとても楽しい
どんな話でも、誰かにとっては、とても大切な話である可能性も示唆されて、
笑いとばせないというか、なんか居心地悪い感じになるけど
やっぱりただの下ネタだよなとも思わなくもない
この絶妙な匙加減が見事だと思いつつ読むのでありました

因習のなりたちに疑問というか、他愛のない推論を無理やりありがたそうにくっつけて
最終的に狂気を振り切って強引に走り去ったみたいな表題作と、
どうでもよい猥談めいた体験談が、一種の自身喪失みたいな話と混線して、
そこに共感と共有というものを絆として描くことで、なんか素敵に見せるもう一作とで、
読み終えてみると、ただのエロ話だろうと捨てきれない
さりとて、凄いもの読んだような気がするけど、騙されているのではという
一抹の不安を抱えたまま読書が終わるという体験が
とてもよかったと思うばかりであった

はたして、ちゃんとこの小説を読めたのか
まったく自信はないのだけども、やっぱり好きだなと
世界観に浸るというか、蹂躙されるみたいな感じが
とてもよいとメモっておくのである

光る君へ  遠くの国

2024-03-03 20:48:36 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了いたしました
まさか、散楽の人が殺されるとわ…
なんだかんだ、因縁とともに生きていくかと思っていたので
軽くショックだったんだが、弟の大学入りで明るい感じで終わったけど
なんとも後味の悪いというか、結構大きなエピソードだなと
節目はあと二週後くらいだろうけど
考えさせられたのである

とりあえず、おやじ殿の陰謀がやっぱり晴明との共作だったようで、
いや、どっちかというと、晴明の売り込みが正しいのか
ともかく、悪いやつらだなというのを見事に演じ切っていて
そして、そこによどみのない父親の姿が本当に
頼もしいというか、化け物だなと改めて思い知ったのである
あれでありながら、娘にもちゃんと声をかけるというか、
あれもまた、愛情とかそういうのではなく、
上昇のために必要なことといった感じが強くて
凄い人だなと、それを見守る、長男次男の誇らしげな顔といい
なんとも、おぞましいといっていいのか、
凄いものを見たと思うばかりである

これからのことは、からくりが先に明かされたので
あとは、それをただただ見ていくだけになるなと思いながら、
清涼剤のように、ロバート秋山が、日記に書くだの書かないだのと言っているのが
面白くて仕方なかったんだが、
多分全部書いてあるんだよなとメタ的に笑ってしまうのであった

散楽の始末の部分については、
ちょっとわかりづらい感じではあったけども、
そういうあざなえる縄とも異なる、思った通りになりそうでならない、
御曹司が所以のそれこれにからめとられるということが
実に象徴的になってて、いいイベントだと思ったんだが
あの死に触れることについて、貴族的にどうのこうのというのよりも、
そこで、じっと、泣くでもなく見ているまひろの在り方が
母の死の時に魂が死んだということの現れでもあるんだろうかなどと思ったりして、
死の受け止め方が、現代とまるでちがうというのを
そうと悟らせずというか、そこに違和感を持たないように、
その時代の死を描いていたようにも見えて、とてもよかったと
なんか、感じ入ったのでありました

次週さらになんかあって、その次くらいで、第一部完みたいな感じなのか
今のところとてもいい感じで楽しいので
このまま、突っ切ってもらいたいのである

【読書】台湾余香 15人のクリエイターによる、台湾ガイド的ショートストーリー

2024-03-02 21:05:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾余香 15人のクリエイターによる、台湾ガイド的ショートストーリー  著:青葉市子ほか

タイトルの通り15人のクリエイターが
それぞれの台湾話を交えつつ、コロナが緩やかになりつつあり
また渡台できることへの渇望と喜びをつづった本でありました

クリエイターたちが若いというか、
自分が知っているジャンルのそれこれじゃないので
はたして、どういう人たちかまったくわからないまま読んでいたんだが
誰もが、台湾で街に馴染んで楽しんでいたという過去、
そしてまた、それを楽しめるという未来への喜びがつづられていて
読むだけで行きたいと思わされる熱量があってとてもよかった

音楽のインディーズシーンとか、結構交流があるんだなと
知らないことがわかっただけでも楽しかったわけだが、
当然のように、台湾の若者たちの文化というものがあって
そこに日本の若者がクロスしているというのが
まぁ、羨ましくみられるといったらいいか
年齢関係ないと言い切れるほど若くないと思ってしまいながら読むのだけど
とても楽しそうに、それぞれの青春に台湾という国と人と町があるというのが
いいお話だと思うばかりでありました

しかし、読めば読むほど、台湾に知り合いができて
その人たちがお薦めの地元の店へといくというくだりが
羨ましくて仕方ないといった具合で、とても楽しそうで、
なにより美味しそうでと、いい塩梅であてられたように思うのである

それぞれの台湾での過ごし方というのも
楽しさにあふれているし、何かをしにいくというのではなく、
微住なんていうフレーズで表せそうな何かとか
大学生だったらやってしまいそうな危うさが実によいと
他人の旅行話も、大変面白いなと
肩ひじ張らずに読んで楽しめる一冊だった