思いがけない話の中で、過去のある出来事の大変さや想いなどが、分かってもらえたりそれに対して褒められたりすることってあると思います。
先日、姉の夫と共に姉妹と母とで出掛ける機会がありました。
その時の賑やかな車内での会話。
母が自分の歴史を語っていたのでしょうか。そこの所はすでに記憶喪失。
ただ母はこう言いました。
「花ちゃん〈一応、私の事〉が生まれて、それから半年後に今のところで家を買ったのよ。」
普通ならば24歳で家を買った母に称賛の声が溢れてもおかしくない展開です。でも我が家の場合はそうはならないのです。
「もちろん、今ある場所にあった家と言う意味で、その家はとっくにないイメージかも知れないけれど、実は私が結婚するまで住んでいたあの家がそうなのよ。」と私。
「えっ、だってなんか『出たー』と言ういわく付きだったって家でしょう。」と妹たち。
「そうそう。」と母。でも話は私たち姉妹のペースで母に口を挟める余地はすでになし。
今はもう無いその家にも歴史があって、私たち家族が住んだ後、父は庭を潰してもう一軒家を建て、その同じ敷地内の古い家は長い間借家として貸していたのでした。
だけれど私たちは四人姉妹。
今思えばと言うより、その時も随分わがままな話だと思っていたのですが、姉が6畳の部屋を二人で使うことを嫌い〈年が微妙に離れていたもので組み合わせが上手くいかなかったと言うのが原因だったのかもしれません。年頃の姉と私の二人では本と服で部屋は溢れかえり、確かに狭かったのです。〉、たまたま借家が空いたタイミングで、その家に二人で住むことになったのです。
私の了解もナシに・・・・・・・!
本当の事を言うと、その家はすでに古い相当のあばら家でしたが、姉と二人で暮らすには充分な広さで、古いながらも好き勝手に装飾も出来、実はかなりの快適ライフで楽しい想い出もいっぱいです。でもこういう話の流れでは、そこは言わないのがお約束。
「よくそんな家に住んで平気だったね。」
ずっとよそ様にお貸ししているくらいなのですから、平気に決まっています。
でもやはりそれも言わないで
「平気じゃないわよ。大変よ。だってしょっちゅう金縛りよ。それで良い歳をした娘がね、真夜中に枕を持って
『お姉ちゃん、怖い夢見ちゃった~。一緒に寝て~。』なんて事が日常茶飯事よ。」なんて情けない事を言う私。だけれどこの話は本当です。私の中では金縛り対処法マニュアル的なものがあったくらいです。
私は今では脳が覚醒しているのに肉体は睡眠状態の時に、それが起きるのだと言う説を支持しています。
だけどあれ、体は動かないし声は一言も出ないし、やけに眩しいし、誰かに体の上から押されているような感じがするし、時には冷たい手が顔や手に触れるような気がするので、かなり怖いのですよね。
「ほんとう~、まじで~。」と笑う妹たち。
「だけれどね、本当の恐怖はその先よ。だって、人の事を勝手にその家に引っ張っていっちゃったくせにね、結婚しちゃったんだからね、お姉ちゃんは。そして私はその家に2年も一人で住んでいたわけよ。もう怖い夢を見てもひとりで布団にもぐってブルブルよ。」
「・・・・・・・ !」
「花ちゃん!大変だったんだね。頑張ってたんだね。」
・・・・・と、言うわけで、何十年も前のワタクシの密かな苦労が、みなに分かってもらえたと言うわけなのです。
ところでリアルタイム解析もそうですが解析で良い所はいくつもあると思うのですが、その中で私が一番気に入っている点は、ふと私のブログに立ち寄った方が、過去に自分が書いた記事に再び私をめぐり合わせてくれるところなのです。
先日「真夜中に蜘蛛が出た」と言う検索で、私の「蜘蛛が来た」と言う記事にいらした方がいらっしゃいました。
どのような状況でこの検索を掛けたのか、そちらの方もかなり気になる所ですがそこだけは分かりようもない事です。
真夜中に蜘蛛の赤ちゃんがゾロゾロとかの対処法とかでしたら全く役には立たない記事ですが、読み直してみると、上に書いたような「出たー」と言う家が建っていた敷地内の家で育った私たちの、いかにも我が家らしい出来事。
元家族6人で出掛けた奈良旅行の前日深夜のお話だったと思います。
― あの男が役に立ったことなど・・・・
と、「あの男」呼ばわりされていた優しかった父は、もう今生の人ではなく、6人揃って出かけたのは、あれが最後だったのかとまたもしみじみと思いました。
面白おかしくその記事を読みながら、私はくすくすと笑いました。
そして最後に思い切り切なくなって瞼を濡らしたのでした。
その「蜘蛛が来た」は→こちらです。
読んだよと言う軽いお気持ちでポチりと押してくださると嬉しく思います。
↓