森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「ミッドナイトスワン」を見てきました。

2020-09-29 17:35:48 | 映画

映画館で予告編を見ていた時から、見たいと思っていた「ミッドナイトスワン」を見てまいりました。

母親のネグレクトから凪沙の所にやって来た一果。これはその少女一果の成長とトランスジェンダーの凪沙の物語。

一応、ネタバレなしで書いています。

 

この映画を二回目と言う友人とご一緒しました。その友人と映画を見た後にお茶した時に、彼女が「☆はいくつ?」と聞いてきました。

映画の評価に☆をつけるのは苦手です。だけど聞かれたので「敢えて言えば、三つ半かしら。」と言うと「じゃ、普通ね。」と彼女は言いました。

ああ、だから星をつけるのは嫌なんだと思いました。

「うん、普通に良い作品だったね。」と私は応えましたが、本当に心に残る良い作品だったと思います。またいろいろな事を考えさせられました。

考えさせられたと言うのは、主にトランスジェンダーの偏見や生活についてでしたが、かなりの衝撃を受けたことは間違いのない事でした。家に帰ってから思わず「性転換手術のリスク」なんてことも調べてしまいました。

 

それからまた映画サイトを訪問してみると、最近あまり見た事のないような高評価でした。

星が四つとか五つとか、躊躇なく付けられていたのです。

 

なんとなくつけてしまう気持ちが分かります。

それは草彅剛の演技によるものだと思うからです。

私も友人に言いました。

「何はともあれ、私的には草薙君のお芝居を観る事が出来て幸せだったな。彼は以前はドラマでは常に主役をはっての枠を持っていたものね。私はなにげに彼のドラマが好きだったのよね。今日見ても、やっぱ好きだなぁって思ったのよね。」

映像マジックも上手く効いていて、一果のバレエも美しく見応えがありました。映像マジックと書いたのはごまかしと言う意味ではありません。新人の服部樹咲は4歳からバレエを習い、実際に数々のコンクールで賞を取っている実力派だそうです。本当に手足が長く、彼女は美しきバレリーナでしたね。

 

この映画を見る前に、ご一緒した彼女に一回目の感想を聞きました。

彼女曰く。

「なんとなく雑な描き方だと思った。でも決められた時間内で収めようとしたら、それは仕方がない事だと思う。でもところどころついていけなくて置いてけぼりを食ったような気がしたわ。」

見ていて、なるほどなぁと思いました。彼女の感想は、けっしてずれているわけではなかったのでした。

お茶の時に初見の私が二回目の彼女に、あそこはこうであそこはこうと、聞かれたので思った事を言いました。

途中で、思わず

「今言ったのは、別に正解じゃないよ。そうかなと思いながら見ていただけだよ。」と言いました。

この映画は「テネット」張りに想像力が、実はいるなと思いました。あっちはさっぱり分からないだけで実は正解があり、こちらは難解には思えないが正解はないのです。

自分がこうなんじゃないかなと思った通りに信じて突き進むしかないような気がしました。

 

いつも通り、真夜中にこの感想を書き始めて、どんなところをそう思ったのか、彼女に何を聞かれたのかを考えていたら、☆の評価が、3,5から3,4になり、また3,3と減っていくような気がして嫌になり、書くことを止めて寝てしまいました。

朝になって、また考えました。

この映画は、あちらこちらに作者(監督)のツボに嵌る罠が仕掛けられていたなと思いました。そこに至る経過は微細に過ぎず、拘らないのかと思いました。

ラスト1歩手前の、そのツボにはまる罠・・・・・。

誰もがその靴音に耳を澄まし、その後ろ姿を魅入った事でしょう。

凪沙をこれでもかと言うくらい歩かせたのは、そこに意味があったからなんだと思います。

すべてがそこに至る道だったのかと思いました。

 

心が女性でも、だからと言って男性の愛を求めるわけでもなく、社会の片隅でひっそりと暮らしていた凪沙。一果と出会って誰かの大切なひとりになった事は間違いのない事だったと思います。

 

上の文までを、朝書く時間が無くて出掛けました。

自転車をこぎながら、また考えました。

見ていた時から、私はたぶん一果のような少女がすこぶる苦手なんだと思ったのです。

才能とは怖いものだと思うのです。

近づいた者に与える影響力は半端がないじゃないですか。

凪沙も友人のりんも、バレエ教師も・・・・。

友人のりん役の上野鈴華(うえのりんか)も良かったです。彼女の内面はバレエの苦悩ばかりではなかったんじゃないかと、また正解のないあれやこれやを考えてみたりもするのです。

 

なんだかネタバレもしていないのに、長々と書いてしまいました。

でもあれやこれやと日をまたいで、また考えたりできる・・・・・

それこそが映画好きにはたまらない一作なのかも知れません。

 

原作も読もうと思います。

 

なんとパンフレットが電子版で !!

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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