森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

麒麟がくる 第三十三回「比叡山に棲む魔物」

2020-11-24 00:05:00 | ドラマ (大河)

比叡山の延暦寺の天台座主・覚恕は、注いでも注いでも満たされない、そんな器のような人だと思いました。

天皇家の次男以下は、武家の次男以下の部屋住みみたいなことは出来ぬゆえに、多くは仏門に入れられるのは世の習いだったと思います。

足利の将軍家でさえ、同じ事をしていたのですから。

だけど覚恕は美しくないから父親に寺に入れられてしまったと思っていたと言いました。本当にそう思ったかどうかは不明ですが、世の習いとは彼の中では思うことは出来なかったのだと思います。なんとなくの推理ですが、よほど兄と比較されて育てられたのではないでしょうか。あからさまに、親以外の者にも言われてきたのかも知れません。

片方は生まれながら天子になるもので、片方は親元から引き離されて寺に捨てられる運命の子供なのですから。

ゆえに後にお金も力も手に入れて、生まれながら高き椅子に座ると定められていた兄に頭を下げさせても満足せず、そして天子が住む屋敷の塀が壊れても、見向きもしなかったのです。

彼は彼の世界で、自分の国を手に入れたのでしょう。

それ故、それを奪った信長を憎み容赦しなかったわけですが、摂津と信長を追い出したのちの京を語る時、「また良き時代が戻る。」と言いました。

 

自分たちだけが良いと言う「良き時代」ですね。

これを見ると、何一つ比叡山をかばう理由など無くなり、焼き討ちに強い説得力が出てきました。

ところが、いざそれが始まって見ると、容赦なく女子供も犠牲になっています。

ここまでの説得力を持たせたのに、比叡山に残る者を傍から殺害したことに、再三の下山を促したのにと言う信長のセリフひとつでは、信長側をかばいきれるものではないなと感じました。これは作者も狙っていた事だと思いました。なぜなら、ここに比叡山に売られた子供のエピソードを持ってきたからです。

どんなに下山を促されていたとしても、売られてきていた女子供に自由はなかったのでした。

やはり後の非難は免れない状況を作ってしまったと思いました。女子供も含めて焼き討ちしたのも事実であり、その時女子供を逃がしたと言うのも事実らしいです。

それが戦。戦争なのだと思います。

いずれにしても、あの妹を助けようとした少年が殺されてしまった事はショックで、なかなか気持ちが切り替えることは出来ませんでした。

 

ところで、私は今やっぱりこの「麒麟がくる」がドラマの中で一番面白く、好きだと感じるのです。なぜなら、あのセリフの演技合戦が見事なんですものね。

覚恕の春風亭小朝さん、見事でしたね。魔物っぷりを見せつけて、今回のお話の芯を作り上げましたよね。その兄の帝の坂東玉三郎さんの上品さも素敵でした。

そして宿敵筒井順慶の祝いの席に、罠のように同席させられた松永久秀の怒りのシーンでは、吉田鋼太郎さんが、演出の方にちょっと抑えてと言われたくらいの熱の入りようだったようですね。あのシーン、実は私はワクワクしていました。どうしてかって言うと、そこには舞台でシュークスピアのお芝居をしている時の鋼太郎さんがいたからです。

引き留めようとする光秀の正攻法の演技に、そこにやってくるどこまで遊ぶのかという演技の(褒めてます。)鶴ちゃんがやって来て、これでただ松永が去って行く重要でありながら、下手をしたらさほどと思われて軽くスルーされてしまうかもしれないシーンが、面白くないわけがないと言うシーンに出来上がったからです。

朝倉のセリフも良かったですね。

・・・一向宗と戦って分かった事がある。経を唱えるものとは戦ってはならない。倒しても倒しても地から湧き上がってくるように終わりがない・・・

のような言葉だったと思いますが、「それって、ゾンビ?」ってなことを思ってしまった人は、私だけではないと思います。いや、けっしてふざけているわけではないのでお許しアレ。

「死」と言うものが、戦いの終わりにはならないと言うところに、やはり聖戦の怖さはあるのかも知れないなと、少々真面目な事も考えてはいました・・・・って、後からね。( ̄▽ ̄)

 

と言うわけで、次回も楽し・・・いや、まだありました。

「帰蝶に笑われる」と言う言葉に反応する信長は可愛らしかったですね。

結局、帰蝶が一番強いんじゃないと思ってしまったり(笑)

その後の「極主夫道」でも、結局一番強いのは帰蝶(じゃないけど)でしたものね。

あっ、そうそう。菊丸も出てきましたね。^^

 

と言うわけで、今度こそ、次回も楽しみです !!


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