11月12日に読了。
「君の名は。」に続いて話題性の高かった「天気の子」をwowowで見ました。
その時、ツイッターである事を呟いたら、小説の方に書いてあると教えていただいたのです。その「ある事」と言うのはネタバレになってしまうので、書かない事にしますが、その事だけを知りたくて読み始めました。
この映画の小説版があるのは、作品が本屋の映画で戦略的なものだからなのかと思いました。
ちょっと前に「王になった男」のドラマと映画の感想を書きましたが、その時、映画が原作のドラマであって、やはり映画を先に見たかったということを書いたのですが、何か表現の媒介が複数ある時、どれと一番最初に接するかは、時には大事なポイントになる場合があるかと思います。
だけどこれはどちらが先でも同じような感じがしました。ただ小説を先に読む方が、小説自体を面白く感じたように思います。なぜなら新海誠氏によって書かれたこの小説とアニメはほとんどが同じだからです。アニメを先に見ていると、文字を追いながら映像が脳内で再び再生されました。
実はワタクシも、途中まで、これをアニメを見直すかのように読むことに意味はあるのかと感じてしまったくらいなのです。パラパラとめくって知りたかった事だけを確かめたらいいのではないかとさえ思ってしまったのでした。
ところがです。途中からちょっと思う事が変わってきました。なぜなら、上にも書いたことですが、小説コラボは戦略かも知れませんが、これの完成はアニメの後ではなかったのです。如何にこの新海氏が脳内で作り上げた世界が、忠実に映像になったかが分かると言うものです。
また新海氏もあとがきに書いている事ですが、アニメならいらない事を、小説では言葉として必要な事を文章として書いてあるのです。やはり私が知りたかったことは、その文の中にありました。
更に小説版の方は、登場人物のひとりひとりの心情が丁寧に描かれていて、物語に深みを与えています。特に私は夏美の独白のシーンが好きです。また彼女がバイクで穂高を助けるシーンで、アニメでは、私にはひたすらカッコいい峰不二子のような女性に見えたのに、バイクが水の中に嵌って、彼女が言った
「私はここまでだよ。」に、二重の意味があるとは思いもよらず、誰かと関わる事によって成長していったのは、主人公たちばかりではなかったのだと感動しました。
解説をRADWIMPSの野田洋次郎氏が書いているので、そこもお得な感じです。
ところでこの物語の感想ですが、発想が凄く斬新ですね。だけど、もう大勢の他者の為に自己を犠牲になんかする必要はないと言う発想が、新しく感じるということ自体はどうなんだろうかと、様々なザワザワ感を自分の中で感じるのでした。
なんたって「宇宙戦艦ヤマト」に滂沱の涙を流して育った世代なので。
だけど、もしも自分の子供や愛する人が、自己を犠牲にして「世界」と言う名の他人の集まりを救おうとしたら、その手をガシッと掴み、「いいから、行かなくて !!」と言うかもしれません。
ただもしも私が、過去の巫女の魂だったら、またはその家族だったら、私が信じた正義とは何だったのかとさめざめと泣くでしょう。
気持ちがザワザワして、非常にかったるい気持ちになるので、もうこの物語はリピートはしないと思うのですが、RADWIMPSの音楽は繰り返し聞いてみたと思っています。
「大丈夫」って言葉が大好きですから。
作中で穂高が言う「僕たちは大丈夫だ。」っていうのも凄く良かったと思いました。
[天気の子] Weathering with you 「大丈夫」
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