∇「音。出会えて良かった」
「私も、あなたに出会えて幸せでした」∇
たまたま一緒に見ていた夫殿が呟くように言いました。
「『でした』って過去形なんだな。」
それがこの物語のラストシーン。もう病気で臥せっている音のシーンには戻りません。
若い二人ははしゃぎながら海に向かって走っていきます。
「エール」の最終回、ジワジワ泣けました。
正直に言うと、毎朝楽しみに見ていたと言うわけではありませんでした。だけどそのラストシーンを見終わると、このドラマのあれやこれやが本当に思い出されてきて、この二人の長い人生を、本当に見続けてきたように感じてしまったのでした。
子供時代のエピソードで断トツ好きだったのは、やはり大将との別れのシーンです。
いつかまた出会い、自分の人生に深くかかわっていく人になるとは、その時はまだ思っていなかった少年時代。その時から神出鬼没で不思議な少年を演じていた久志の存在も好きで、その後プリンス佐藤になって現れ、福島三羽ガラスになろうとは夢にも思って・・・・・いやそこは嘘で、まあ、たぶん知っていました。気になると、すぐに検索しちゃう方なので (笑)
そして、家の為に養子になり音楽の道を諦めようとしていた銀行マン時代。
(そんな時代があった事を、覚えていらっしゃいますか ?)
音との出会い。ファンレターから繋がっていくと言うのは、地味な感じでしたが斬新でしたね。
そして・・・・・・と、書ききれませんね。長い人生だったのですから。ただその時々、出会った人たちは皆魅力的で、それぞれが素敵でしたね。
その時々のエピソードに欠かせない人物を、それぞれの俳優さんが熱演していて惹きつけられました。「長崎の鐘」が誕生してくるまでのエピソードの、永田武(吉岡秀隆)と永田ユリカ(中村ゆり)、最初に出て来たオリンピック警備員の萩原聖人など。
キャストの事を言えば、この物語の俳優さんの多くは、本当に普段から歌を歌われる方が多く選ばれていましたね。
時々に差し込まれる劇中歌も楽しみでした。
私は野田洋次郎さんのファンなので、彼が出てくるのも嬉しかったです。
歌の上手なキャストさんたちには、皆それぞれの歌の見せ場がそれなりにあったのに、彼だけまったくなくて寂しいなぁと思ったら、昨日の歌のスペシャルで、皆を声量たっぷりの声で惹きつけ、ネットでの話題をさらったのは岩城を演じた吉原光夫さんでしたね。
「イヨマンテの夜」、見事でしたね。
彼に劇中で歌うシーンを作る事が出来なかった事を、悪いと作者も思っていたのでしょうか。ある時、音の母の光子の口から「岩城さん、歌がとっても上手いのよ。」と言うセリフが、意外と唐突に出てきていたのも印象的だったのです。最後の「エールコンサート」で彼の歌を皆に聞かせることが出来て、実は作者さんもホッとしていたのではないでしょうか。
あっ、そうそう。私的には「モスラ」の歌が聞けたのも嬉しかったです。
15分間の「エールコンサート」は録画して見ました。しばらくは消せそうもありません。
ドラマ「エール」は、ドラマを通して視聴者に向かってエールを送り続けてくれたのだと思います。だけど見ていた私たちも、この困難の2020年にドラマを作り続けた皆さんにエールを送り続けていたと思います。
だからコンサートの最後に、窪田正孝さんが言った
「皆さん、一緒に今を乗り越えましょう。」という言葉が胸に響きました。
最後に、ドラマ部分の最終回で思わず涙したのは、音とのラストシーンにばかりにではありませんでした。
小山田先生からの手紙に・・・・。
やはり誰でも思う事だお思うのですが、もしも志村けんが生きていらっしゃったならば、この和解のシーンは、いったいどのように描かれたのだろうと。
きっと違ったシナリオが書かれ、違った演出がされたのではないでしょうか。
偶然撮れていたと言う志村さんの可愛らしい笑顔。きっとその画像ありきのセリフが書かれたのではないかと思います。
「先生の前ではいつもしかめ面でしたが、笑顔は子供みたいにチャーミングでした。」
やはり2020年は世界中が大変な困難の時代でした。そしてそれは継続中。
皆さん、お気をつけて、一緒に乗り越えましょうね !!