森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

それでもナンバー2

2014-11-28 22:58:34 | 梢は歌う(日記)

先日ラッタ君と一緒に横浜の実家に行った時、そろそろ帰りの時間が近づいてきた彼に

「何か面白い話を一つ二つしてから帰りたまえ。」と私が言うと、

「うーん、・・・えーと、・・・・・・これと言ってないなぁ。」とラッタ君。

「なーんだ。」と、また私が言うと

「じゃあ、あなたは何か面白い話と言われてすぐに出来るのか。」とぬかす。

なに言ってくれちゃうわけ、おばさん、なめるなよ。

 

まあ、面白く感じるか否かは人それぞれだけれどね。

 

「この前ね、埼玉埼京線の与野本町と言う所にお芝居を見に行ったのね。その帰りの話なんだけれど、与野本町から大宮に出るのは二駅なの。

それでそこから次の駅の北与野で結構な人が降りたのね。

その時私は三人掛けのシルバーシートの真ん中に一人で座っていて、そしてお向かいの席にも若い女性が一人で座っていたの。しかもその女性はかなり綺麗な顔をした人だったんだ。服も派手すぎず地味すぎずってところ。

他の人はたまたまみんな遠く離れて座っていて、いわばガラガラの状態でとにかく傍にいたのは私と彼女だったわけ。

それで北与野から大宮までは3分ぐらいで着くのね。

 

北与野でドアが閉待って電車が走り出したら、向かいに座っている女性が、『あっ、そうだ。』みたいな表情になったの。

すると彼女、つつつつとその体を倒して、そのシートに体を横たえちゃったんだよ。足まで乗せてまるでソファにと言うかベッドに横になるみたいに寝ちゃったの。」

 

「よっぽど眠かったのか?」とラッタ君。

 

「ううん。彼女は横たわっただけで眠らなかったの。本当に眠くても、普通は椅子に座って寝るようにそのままコクリコくりとすればいいだけじゃん。しかも3分無いんだよ。

それにその彼女、両手を合わせてほっぺの下よ。

そしてね、目を瞑り、凄く幸せそうな顔をしてふっって微笑んだの。さらにね、頬を手にスリスリって『うーん、幸せ~』って言う感じ。」

 

「カメラ!? お姉ちゃん、どっかでカメラが回ってなかった?」とそれまで黙って聞いていた妹が言った。

「あっ、ドッキリってやつ?ううん。でももしそうでも詰まらないからボツだね。だって私、チョーポーカーフェイスだったもん。

衝動はあったよ。スマホを取り出して思わずツイッターに書き込むかってチラって思ったよ。もちろんやらないけれどね。

でも心の内側では、お目目二倍のお口あーんぐりよ。だって酔っ払いでもないのに若い女性がそんな事する?

だけど私、ちょっとむっとした。

だってさ、彼女、誰もいないからやってみたかったことをやってみたって言う感じがしたのよね。

誰もいないわけじゃないじゃん、私がいるじゃん。真ん前だよ。

見えないのかって。

もう私、電車の椅子と同レベルですかって。」

「違うよ、それ、おねーちゃん!」と妹。

「彼女には観客が一人必要だったんだよ。誰もいなかったら、やってみてもそんな幸せそうな顔はしなかったと思うな。」

 

うーむ。

微妙に分からないでもない。

いや、やっぱりわからない。

微妙だ、微妙・・・・・・

「だけどさ、やっぱりその人の『幸福な横たわり事件』は私的には衝撃的なシーンだったわよ。電車の中で見かけた変な人ナンバー2です。」

 

「ナンバー2なんだ!?」

「うん、ナンバーワンはね・・・」って、それはまた別の話です。

 

 

 

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