「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

特別支援教育の充実に向けて

2007-08-23 17:25:32 | 教育
私は、すべての子ども達の心と体が健やかに育つことを目指し、
小児科医、中央区議をしている。

『特別支援教育の充実』は、マニフェストにも書いているが、
私のテーマである。

本日8/23、教育委員会の担当部門の方に
お時間をつくっていただき、説明を受けてきた。
その内容を、踏まえつつ、
中央区の特別支援教育のあり方を考えたい。



まず、学校教育基本法等の一部を改正する法律
(平成18年6月公布、平成19年4月施行)で、
名称の変更がなされているので、確認までに載せる。
(変更前)⇒(変更後)
特殊教育⇒特別支援教育
盲・ろう・養護学校⇒特別支援学校
特殊学級⇒特別支援学級


特別支援教育の対象となる児は、
これまでの心身障害学級の児(盲・ろう・肢体不自由・知的障害)とともに、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、高機能自閉症、発達障害などの特別な支援を必要とする児も含まれる。


本年度平成19年度4月から、中央区も特別支援教育をスタートさせた。
平成18年5月から、医師、学識経験者、都立養護学校長、区立学校長、関係部長などで構成された「中央区特別支援教育検討委員会」が設置され、その中で検討をなされてきた報告に基づきスタートに至った。


特別支援教育で大切なことは、
私が思うに、
その児が、
①人間関係豊かな子ども時代を過ごし、
②個性が生かされ、
③社会に自立(就労も含め)できるようになることである。
一貫性のある指導・教育・支援を、
各関連機関が連携しながら行わねばならない。


小学校・中学校では、
特別支援学級で学ぶか、
通常学級で学ぶことになる。


現在、中央区には、
通常学級に在籍する園児・児童・生徒のうち、
特別な教育的支援が必要と思われる児の割合は、
平均して在籍者数の1.9%である。

平成18年9月1日現在
幼稚園 在籍者数1082人中27人 2.5%
小学校     4479人中90人 2.0%
中学校     1149人中9人  0.8%
合計      6710人中126人 1.9%
(中央区における特別支援教育のあり方について 報告書 平成19年1月)

*この統計は、担任や養護教諭の判断によるもので、
医師らの診断を経たものではない。

*総数はわかっても、どのような内容で、
特別な支援が必要なのかの、
資料はない。

なお、全国平均は約6.3%
(平成14年 文部科学省 実施
「通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要と思われる児童・生徒の全国実態調査」より)

東京都平均は、約4.4%
(平成15年 東京都 実施
「通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要と思われる児童・生徒の実態調査」より)

全国や東京都の結果から見て、中央区平均1.9%は低い。
3%と仮定するなら
幼稚園児  約30名
小学校児童 約135名
中学校生徒 約35名
合計    約200名
通常学級に在籍している可能性があると、
報告書は述べている。

通常学級とのからみで、
“約200名への対応!!”が必要なのであり、
特別支援教育の重要性がご理解いただけると思う。


特別支援の必要な子が、
通常学級で学んでいけるようになることをはじめ、
特別支援教育のシステムがうまく働くには、どうあるべきか。

教育委員会の説明を理解し、
私が考えるには、

①教員の資質の向上、研修会の充実
②教育相談員(スクールカウンセラーの小学校での呼び名)/
スクールカウンセラーの介入
③教育補助員のサポート
④児童、PTA、地域など周囲の理解/ 理解啓発の促進
⑤教育センター、福祉センター、医療機関、子ども家庭支援センター、教育委員会などの連携
⑥学校が一丸となってとりくむ(特別支援教育コーディネーター、学校委員会)
⑦個別指導計画・個別の教育支援計画が、対象児ひとりひとりにきちんと作成される
⑧特別支援学校との連携
中央区の場合、江東養護学校(知的障害)と墨東養護学校(肢体不自由)
⑨副籍制度の導入検討
⑩あたらしく九月にオープンになる子ども家庭支援センター“きらら中央”の相談機能の充実や、関連機関の間に立っての調整機能の充実
⑪特別支援教育専門員(教育委員会、非常勤、一名配置)や特別支援教育アドバイザーのサポート
⑫就学相談・就学時健診の充実
⑬教育相談の充実
⑭幼稚園・保育園児からの支援の開始
⑮乳幼児健診などからの早期発見、早期の支援

などなど
これらが、うまく機能することであろう。

(羅列して書いた、順不同)

これらシステムは、中央区も備えて、
特別支援教育はスタートさせている。
ただ、システムがあっても、
人がそれで動くには、難題がいくつもあるのである。
そのシステムの裏にある、
難題、課題は、今後明らかにし、
その解決を考えて行きたいと思う。

そして、
システムとしての機能の充実が、
うまくいったとしても、
一人ひとりの個々のケースがうまくいっているかは、
これまた別問題である。

システムの充実を計るとともに、
個々のケースの問題点の解決も、
その子にあった解決法を探して行きたいと思う。

実際、小児科でかかる患者さんに、
時々相談を受けているので、
その相談になんとか答えて行きたいと考える。
小児科医として、区議として。


謝辞:
丁寧にご説明下さった、教育委員会の担当の方には、
非常に感謝しています。ありがとうございました。
特別支援教育の充実に向け、ともにがんばって行きたいと
考えています。
今後、各学校、福祉センター、教育センター、子ども家庭支援センター
など、現場に足を運びたいと考えています。
その節は、どうかご指導の程、
お願い申し上げます。









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主体的に生きることと、マキアヴェリ『君主論』

2007-08-23 12:03:35 | シチズンシップ教育
かつて、何年も前の朝日新聞のコラムで読んだことで、
頭に残っていることがある。

「夏休みの課題本として、小泉首相さん、
マキアヴェリ『君主論』を読んでみてはいかがですか?」と
コラムでは、そんなことを書いていた。
それ以来、マキアヴェリ『君主論』は、私のテーマ本である。
一度、読んだけど、なんか具体例が多くでるのだけど、
その具体例のイメージがなかなかつかめないため、
内容自体が頭に入りにくかった。

今、岩波新書『社会認識の歩み』内田義彦著を読んでいて、
マキアヴェリ『君主論』の
主題の一つをうまくまとめていた箇所にであったため、
それも踏まえながら、書きたい。



マキアヴェリは、いっている。
人は、運命に縛られ、支配されている。
どうあがいても、運命の定めから抜け出せ得ないと。
うまく生きていけるかは、たまたま運命が幸運であったから。
運命は、人間に絶えず襲い掛かってくる存在なのである。


しかし、自身の努力で、運命を切り開くことが、
出来る部分もある。

人生の、
運命に定められている部分が、半分。
運命を切り開くことができる部分が、半分の割合。


運命を切り開くことは、
それは、ひとつひとつの行動において、
「賭け」をしているということ。
ダンテが言っているという。
人間の最低の条件は、
「自分の責任において自分の行動をきめること」。
=「自分を賭ける」という行動。


「賭け」をしている行動こそ、「主体的に生きている」部分。

賭けに勝つかどうかは、
競馬でも、株式投資でも、情報を分析する。
行動を決めると言う自分を賭ける場合にも、
事実の客観的な認識が必要である。
歴史から学ぶ部分も多い。
事実を客観的に認識し、それから、
賭ける先を決めて生きていくのである。


マキアヴェリは、自分を賭けたら、
果敢に行動しろといっている。

人間いかに生きて行くべきか考えている間に、
人の生きている実態を見落としてしまってはならないと。
人間いかに生きるべきかを常に考えていなければならないが、
そのために、現実を無視すると言った形で考えてはダメ。


マキアヴェリ曰く、「私は、用意周到であるよりはむしろ果断に進むほうがよいと考えている。....(運命を)征服しようとすれば、うちのめしたり、つきとばしたりすることが必要である。運命は、冷静な行き方をする者より、こんな人たちに従順になるようである。」



主体的に生きると考えると、
わかりにくいけど、
「自分に賭ける」生き方とは、なんか判る気がする。

そして、人生の半分は運命に支配され、
主体的に生きないと、
すべて運命に支配されるかもしれないが、
半分ぐらいは、
果敢に行動することで、
切りひらくことができるかも知れないのである。


マキアヴェリに勇気付けられる!!気がしたのは、
私だけでしょうか?
コメント (1)
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