その発端が、7/6の第50回原子力安全委員会であり、私も、なぜ、「ストレステスト」を言い始めたかを知りたく、記者会見を読んで見ました。
そして、その背景が理解できました。
記者の皆様は、よく勉強されて質問されているのではないでしょうか。
これからも、どうかよろしくお願い申し上げます。
ポイントは、
*7月5日担当の細野大臣から日本の原子力発電の安全性を評価する要請があったため(指示ではなく)、もともと原子力保安院に求めていながら回答がなかったストレステストについて、正式に回答をもらうようにした。
*回答は、1週間から10日ぐらいを原子力保安院からもらいたい。
*いままでいってきた総合的評価=ストレステスト
*津波、地震やその複合の場合を求める。竜巻、洪水などは地域の特性で判断。航空機墜落は基準があり、求めない。テロも求めない。
*合格、不合格ではなく、「余裕」を見たい。ただし、定量的評価はもとめていない。
*「もんじゅ」も含める。再処理施設は含めない。
*保安院から出されてきた回答をもとに、個別の原子力発電所の評価は、ダブルチェックではない形の評価。
*「今一番重要だというふうに考えているのは、福島第一発電所の事故を踏まえて、こういう、原子炉施設の安全性の基本的な考え方を再構築することだというふうに思っています。」
*****原子力安全委員会ホームページより*****
http://www.nsc.go.jp/info/20110706_b.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年7月6日(水)17:22~18:40
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久木田委員長代理、水間課長
○NHK岡本記者 NHKの岡本と申します。
3点伺いたいんですが、まず今朝、海江田大臣がストレステストについてするように実施を求めて、それでなぜ、原子力安全委員会の側から、こういったことをやってほしいという報告を求めたのか。つまり、なぜ保安院側から説明があって、それに対して何か評価という形ではなくて、原子力安全委員会側から、なぜこういう形でやってほしいという指示が出たのかという、まず、その経緯について伺いたいことが1点。
それから、あと、この資料の中で、設計上の想定を超える外部事象に対する頑健性に関して総合的に評価することを要請とありますが、総合的に評価というのをもうちょっと分かりやすい言葉で説明を補っていただきたいということが2点目。
それから、あと3つ目として、具体的な今後のスケジュール、いつまでに報告を求めるのか、その3点についてお願いします。
○班目原子力安全委員長 まず、最初のご質問ですけれども、実は昨日、細野大臣から私の方に、日本の原子力発電所の安全性を確認するため、原子力安全委員会にそれを総合的に評価してもらって、見解をしっかり示していただきたいという要請がございました。我々は独立してございますので、指示は受けないのですけれども、要請を受けたということから、あえて、こういう形で報告聴取を経済産業大臣に対して求める、という形をとったわけでございます。
内容的には、常々、保安院に対して、我々が求めていた安全性に関する総合評価ということなのであって、特に、新しいことではないんですけれども、ずっと求めていたところ、なかなか回答がないという状態であったこと、それから細野大臣の方からも、そのような要請があったということから、本日、こういう形での報告徴収をしっかりかけるということにした、ということでございます。
それから、2番目の頑健性の話は、ちょっと、むしろ場合によっては、久木田委員の方にも補足していただきたいと思いますけれども、原子力施設の安全確保の大原則は、多重防護ないし深層防護、いわゆるDefense in Depthという考え方でして、分厚く守っている防護層、何重にも壁を設けるということじゃなくて、防護対策が幾重にもなされている、ということが基本中の基本でございます。
したがって、たとえ津波が想定を超えたからといっても、それだけでだめになってしまうようなものではあってはいけないわけで、想定を上回っても、その先の防護対策がまた用意されている、これが幾重にもなっている、というのが基本中の基本であります。しかしながら、その原則で作られていたところ、実は、今回の福島第一原子力発電所の事故で、そのはっきりと脆弱性が露呈してしまったということで、それに対して他の発電所というのは、どれだけ頑健性を持っているか、robustnessを持っているか、というのを調べていただきたい。これは実は、海江田大臣なんかも触れていたと思いますけれども、いわゆるヨーロッパだとかIAEAが求めているところのストレステストそのものと似たようなものだ、というふうに考えてございます。
それから、3番目のご質問ですけれども、今日、こういう形で求めましたが、できれば1週間以内には、少なくても今日、求めたところの総合的評価手法と実施計画を原子力安全委員会の方に、保安院の方から報告していただきたいな、と思っているという次第でございます。久木田先生の方から少し補足をお願いします。
○久木田原子力安全委員 総合的評価という言い方をしましたけれども、事故というのはある物理的な因果関係を持って拡大したり、あるいは収束したりするわけですね。委員長も触れられた多重防護というのは、因果関係に基づいて事故が、あるいは、異常状態が発展していく、その因果関係をどこか途中で絶つといいますか、そのことを効果的にやろうという考え方であるわけです。
今回、保安院の指示によって行われた措置の中でも、例えば、原子力発電所の外部の電源系の信頼性を高めるというのは、停電によって原子力発電所に対して影響が及ぶことを防ぐ、つまり、異常状態が発生することを防止するという観点からのものですし、タングステンを入れた防護服とか、あるいは原子炉建屋の上に穴を開けるとかといったのは、そういった防止策がうまくいかなくて、事故が相当拡大してしまった後の対策であるわけですね。
そういった、それぞれの対策がどの段階で効果を持つことを期待しているのか、それから、既にある設備とか、運転手順とかといったものと組み合わせて、どれぐらいの効果が発揮できるのかということを表現するやり方、というのが安全性を立証する場合には、いろいろな手法がある。我々としては、そういったものをイメージして、そういった手法を用いて、安全上のさまざまな措置の効果といったものについて、そういうものを含めて、評価していただきたいというふうに考えているところです。
○班目原子力安全委員長 もうちょっと、つけ加えさせていただくと、今回の資料の中に余裕という言葉が入ってきます。ややもすると、我が国のいろいろな安全審査だとか、検査のあり方というのでは、要するに合否しか求めてないというか、要するにチェックだけして、「はい、合格です」で終わらせていたと。そうではなくて、テストをしてくださいと。むしろ80点なのか、90点なのか、あるいは、ぎりぎりの合格点なのかまで調べてください。これがストレステストのテストの意味だということで、まさに余裕をちゃんと把握してください、というお願いだということでもございます。
○NHK岡本記者 2点、今の追加で伺いたいんですが、まずストレステストという言葉が出てきたのがいつなのか。いつ、そういった話で、これまで保安院側にそういった安全を求めてきたのか、ということについて伺いたいのと。
あと、総合的にというのは、つまり多重防護対策については、総合的に検討するということですか、それとも、起きる津波や地震とか、そういったものが総合的にということですか、対策を総合的に評価するのか、それとも、起きる事象について、複数同時に起きたりとか、そういったことを評価するのか、どちらですか。
○班目原子力安全委員長 実際に何らかの起因事象といいますけれども、地震だとか津波だとか、あるいはその複合だとか、そういうのが、もともとの原因になって、次々と事象が進展していって、最後は例えば、シビアアクシデントに至るという、ある種のシナリオがあるわけですね。そこの間に、それを防御するための防護対策というのが、幾重にも用意されているはずであると。
その辺を明確にしてくださいというのが、このストレステストの目的でして、ストレステストという言葉自体は、最初に言い出したのはヨーロッパのWENRAという組織ですけれども、IAEAなどでも強制力はないんですけれども、是非、各国でやってもらいたいというように要請が出ているところでございます。
○NHK岡本記者 前半の質問で、ストレステストという言葉がいつから出てきたのかということについてはいかがですか。
○班目原子力安全委員長 国内でですか、国際的には。
○NHK岡本記者 原子力安全委員会として、保安院に求めたのか、あるいは、そういった言葉が使われた上でやりとりがあったのか。
○班目原子力安全委員長 今回も別に特に、ストレステストという言葉になると、これは最初に使ったのが、Western European Nuclear Regulation 何とかだったか、WENRAという組織がやっているものでして、WENRAにはWENRAのストレステストの定義というのがございます。
我々としては、WENRAが定義しているストレステストをそのまま実施していただきたいというわけでは必ずしもないので、ある意味では、総合的評価ということでお願いしたと。ただ、世の中的には恐らく、今日、海江田大臣なんかもストレステストという言葉をしきりに使われていましたから、そのストレステストと非常に近いものになるのであろうというふうには理解しています。
○NHK岡本記者 このタイミングで出てきたということは、つまり、佐賀の玄海原発が今、運転再開するかしないかという判断が、かなり迫っている状況にあった中で、今、こういう話が急に細野さんから昨日、そういった話が出たということだったんですけれども、今こういうことを求めたら、運転再開に判断を迷っている自治体なんかが、さらにこのテストの結果を待つとか、あるいは運転の再稼働がさらに遠のくとか、そういった影響が出ないかどうか、それについてはいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 これについては、我々の側で考えることではなくて、これはあくまでも政治的な判断だというふうに考えております。我々としては、玄海の発電所の再開問題が持ち上がるよりもはるか前から、こういう総合的評価を求めていたところ、なかなか原子力安全・保安院の方から報告が上がってこなかったというので、ずっと待っていたという状況だったわけです。それに対して、昨日細野大臣の方から、むしろ原子力安全委員会の方でそういう求めている総合的評価というのをしっかりと提示してほしいという要請があったので、それも受けて今日こういうようなことを非常にはっきりした形で原子力安全・保安院に求めたということになります。
○NHK岡本記者 1点だけ最後に、そのはるかに以前からというのは、具体的にいつごろからですか。
○班目原子力安全委員長 最初にちょっと正確に覚えてませんが、3月30日ごろか何かに、緊急安全対策か何かを原子力安全・保安院の方から報告を受けましたっけ。日付まで分かりますか、3月30日辺りのときからも、緊急安全対策というのを原子力安全委員会として、大変結構ですというふうに答えています。こういう対策を打つことによって、安全性が向上することは、これは明らかだと。しかしながら、こういうある意味では、明らかに穴があいていたところをふさいだというだけでは説明不足でしょうと、対策としてはいい方向ではあるんだけれども、しっかりとした評価をしないと説明不足ではないですか、というふうに申し上げていたところでございます。
○NHK岡本記者 つまり3月の末からということで、末からということで。
○班目原子力安全委員長 最初に緊急安全対策が出たのが、そうだとしたらそうだと思います。
○水間課長 ちょっと事務局ですが、3月30日が最初ですけれども、その後、4月9日、4月15日、4月25日、5月6日、5月11日、5月19日と6月9日ということで、こういう指示を出しましたとか、それから、それに対しては、こういう報告を受けましたとか、それについて保安院からこの原子力安全委員会の場でご報告をいただいている。日付は、ちょっと保安院側の日付ですので、その後の原子力安全委員会のタイミングでということでございますけれども、そういったことについて、その場、その場でご報告を受けていて、恐らくそのときの速記録を見ていただくと分かりますけれども、原子力安全委員の方から、そういったものを個別の対策についてのみでなくて、どういうふうに繋がりがあるのかとか、それに対してどういう効果があるのか、ということを総合的に保安院なりの分析をして、報告をしてほしいというのを再三にわたってお願いしているというふうに思います。
それから、WENRAですけれども、先ほど委員長は何の略ですかということですが、Western European Nuclear Regulators Associationです。それがWENRAということで略されています。
○日経新聞原田記者 日経新聞の原田です。
ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、昨日、細野大臣からどんな形で伝えられた、電話があった、何時ぐらいに電話があったと。
○班目原子力安全委員長 細野大臣は、原子力安全委員会の担当大臣なんです。例えば、予算とか、そういうこと、原子力安全委員会は独立した機関ではあっても、予算等々まで勝手に決められるわけじゃないので、担当大臣がいらっしゃる。細野大臣が担当なので、要望があって、4時ぐらいにこちらから細野大臣の部屋、この建物ですけれども、伺っております。
○日経新聞原田記者 そのときに、これは大臣だけじゃなくて、総理の意向でもあるというのは、ご説明はありましたか。
○班目原子力安全委員長 そうですね。要するに、内閣としての意向だろうというふうに、私としては理解してございます。
○共同新聞竹岡記者 共同通信、竹岡と申します。
2~3点確認をお願いします。
先ほどの1週間以内に報告を求めたいということだったんですけれども、これは、その期限としては、法令などによる何か義務とか、そういうものはないんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 それはございません。1週間というのはないですよね。ざくっとした数値で1週間なのか10日なのか、これは、原子力安全・保安院の方の作業次第だというふうに考えています。
○共同通信竹岡記者 それと、確認なんですけれども、総合的評価ということについては、委員長もこれまで言及されていましたけれども、今日になって、経産大臣が言ったストレステストと今回の総合的評価は、同一のものと考えてよろしいんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 限りなく近いものだろうと思っています。
というのは、ストレステストという言葉自体を使い出したのは、WENRAが最初なんですが、私の理解では、IAEAの閣僚会議なんかの場でも、天野局長辺りが是非、このストレステストというのを世界中でちゃんとやってほしい、という要請をしていますので、そのことから考えると、我々が考えているものと、大変近いものだろうというふうに理解しています。
○共同通信竹岡記者 そうすると、保安院の方で、今回の総合的評価とは別に、ストレステストをやるということはないんですか。
○班目原子力安全委員長 それはないです。要するに、ストレステスト、イコール、我々が言っているところの総合的評価だとお考えください。
○共同通信竹岡記者 分かりました。
最後に1点、玄海原発の関係で、先ほどもちょっと話があって、確認なんですけれども、今回のこのストレステストをクリアすることが原発の再開の要件ということについては、安全委員会の所掌ではないという。
○班目原子力安全委員長 安全委員会としては、これは玄海原子力発電所のためにやるものではなくて、全発電所について是非、やってほしいという立場でございます。
○朝日新聞高山記者 朝日新聞の高山といいますけれども、今日、午前中の経産省のブリーフィングでは、既に、緊急安全対策で、国としては安全性は確保しているけれども、いわゆるストレステストでは安心を担保するためだ、という趣旨の説明だったんですけれども、今のこの安全委員会の文脈で見ると、総合的に見ないと安全かどうかということは、まだ評価できないというふうに読めるんですけれども、それは安全委員会としては、現時点では、そういうスタンスだということなんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 安全ということに対して、常に100%はないわけですよね。保安院の今までの報告を受けている限りは、ぎりぎり合格なのか、十分余裕を持って合格なのかが、こちらとしても判断できないので、是非、しっかりとした総合評価を求めたいということです。したがって、多分、それほど違いはないんじゃないか。だけれども、我々は安心を求めているのではなくて、安全性がどれだけ余裕があるかということを知りたいということです。
○朝日新聞高山記者 今のご説明では、直感的に言うと穴のあいたところをとりあえずふさいだのが緊急安全対策というイメージだとしたら、それは全体を見て、それが本当に十分機能するかどうかというのは、そういう意味ではまとめてみないと、果たして、今おっしゃったようなぎりぎり合格かどうかすらも、結局は分からないのじゃないか、というふうにも思えるんですけれども、逆に言うと、このテストをした場合、例えば、ぎりぎり不合格ということが理屈としてはあり得るということでしょうか。
○班目原子力安全委員長 それは逆にないというか、今までの例えば、安全審査をやっていて、それには合格しているわけですよね。それで、今回、しかし安全審査でいろいろと、実は穴があるところが分かった。そこはふさいでいただいているというので、ぎりぎりなのかどうかは分からないけれども、安全性はとにかく向上の方向に行っているだろう、というふうに理解しています。ただ、説明性は不十分だったのではないか。これは前から申し上げているんですが、なかなか理解しにくいのではないか、というふうに考えていたところです。
○毎日新聞青野記者 毎日新聞の青野です。
EUのストレステスト、リリース等を見る限りでは、その対象として、自然災害の中にも津波とか地震とかだけではなくて、例えば、非常にとても寒いとか、あと豪雨とか、何かそういうものが入っていたり、さらには航空機のクラッシュとか、あとテロもその対象として入っているんですけれども、そういう点については、今、おっしゃったようなストレステストに非常に似たものということですけれども、それについては、どうお考えなのかというのが1点です。
○班目原子力安全委員長 まず、悪天候については、例えば竜巻とか、いろいろ考えられるとは思うんですが、そこまで含めるかどうかというのは、これは保安院側にお任せしようと思っています。特に、ヨーロッパなんかの場合には、ほとんど冷却系が川からとっていますから、津波というよりは、むしろ洪水とか、そちらになっているので、その辺は、地域の事情が反映したものだと思っています。
それから、航空機落下については、別途、保安院の方で既に基準が出ているので、あえて今回、我々の方から要求していない。最後に、特にテロなんですけれども、これについては、実は安全委員会の所掌では必ずしもないものですから、今回は入れてない、そういう事情でございます。
○毎日新聞青野記者 EUのもうひとつストレステストなんですけれども、そのプロセスとしては、EUの場合には、まず事業者にレポートを出してもらい、それを国が見てレポートとし、それをさらにピアレビューにかけるということになっているようですけれども、日本の場合には、それに準ずるようなプロセスを踏むというおつもりがあるのかどうかについて教えてください。
○班目原子力安全委員長 これについては、我々が決めることではなくて、原子力安全・保安院の方に、今日、こういう指示を出しましたので、これに基づいて、原子力安全・保安院の方でご判断されることだろうと思っています。
○毎日新聞青野記者 安全委員会からは、特に、その手法については指示を出さないということですね、助言もしないと。
○班目原子力安全委員長 ですから、安全委員会としては、こういう基本的な考え方を示しましたので、あとは実際の一種の規制行為になるんだと思うんですけれども、これは原子力安全・保安院の方で考えられることだ、というふうに理解しています。
○テレビ朝日村田記者 テレビ朝日の村田と申します。
先ほどのご説明の中で想像すると、班目先生は80点なのか、90点なのかまで調べてくださいというのが、ストレステストのテストの意味とおっしゃっていましたので、そうすると、今ある原発すべてをテストした場合に、90点はこの原発とこの原発、60点はこの原発、とこの原発という具合に総合評価ランキングが出てくると想像していいのでしょうか。
○班目原子力安全委員長 ちょっと、さっき言い過ぎましたかね。テストとは言いましたけれども、今日のこの文書の中にでも、たしか、必ずしも定量的でなくてもいいです、とどこかに書いてありましたよね。
○テレビ朝日村田記者 (3)の上ですね。
○班目原子力安全委員長 (3)の上の方ですね。
これは、本当の意味での定量的な評価をしろと言われると、これは、非常に難しくなりますが、何となく、どれぐらいの余裕があるのかな、というのは分かるようにしてもらいたい、ということなので、おっしゃるような形で80点とか90点とかという、そういう形ではちょっと出てはこないのではないかと予想しています。
○テレビ朝日村田記者 どんな形で出てくるんでしょう。S、A、B、Cでしょうか。
○班目原子力安全委員長 すみません、そこまでは、ちょっとまだこちらも考えてないというか、原子力安全・保安院の方で考えていただきたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
やり方が1週間以内に報告された後、実際の評価に入ると思うんですが、その評価結果が保安院から安全委員会に報告があったときに、それを安全委員会としてはどう評価するのかというのは、何かイメージおありでしょうか。例えば、ダブルチェックという形で、設置許可変更申請などのように、安全委員会が何らかの形で現地を見たりとか、そういうことまで考えていらっしゃるのか、その辺りを教えてください。
○班目原子力安全委員長 今日、正式に求めたのは、あくまでも総合的な評価手法、どんな方法でやるんですかということと、それからその実施計画をちゃんと定めてくださいねと、どんな感じでやっていくんですかねと、そこまでです。
したがって、1週間か10日か分かりませんけれども、報告があるのはそこまでだろうと思 っています。場合によっては、幾つかのプラントが例示的に挙がるのかもしれませんけれども、それはまた別の話だというふうに考えているということです。
したがって、個別のプラントの評価というところまでは、これはもし、原子力安全・保安院の方から何らかの形で上がってきたときには、何らかのコメントは差し上げるかもしれませんけれども、それはこれまでのダブルチェックみたいなものとは、ちょっと違うというふうにお考えいただきたいと思います。
○東京新聞榊原記者 分かりました。
あと、このストレステストというか、総合的な評価の進め方の流れなんですが、それを保安院がまとめてくるとは思うんですけれども、今、委員長としてはどのようなイメージを持っていらっしゃるのか、例えば、個別のプラントが評価を終わったものから、順番に安全委員会に報告されてくるようなイメージでよろしいんですか。
○班目原子力安全委員長 イメージとしては、そうなんでしょうかね。ちょっと、その辺りもこれもあくまでも、原子力安全・保安院の方にお任せしたいと思っています。
○東京新聞榊原記者 対象は原発のみでいいわけですか、再処理工場ですとか。
○班目原子力安全委員長 とりあえずは原子炉施設ということで求めたので、原子炉施設まで、というふうに今日の文書ではそこまでしか求めておりません。
○東京新聞榊原記者 「もんじゅ」も含めて。
○班目原子力安全委員長 「もんじゅ」も考えてみたら発電用原子炉施設ですね。
○読売新聞山田記者 読売新聞の山田といいます。
今のに関連して、バックチェックとは違うという、今回の理由は何になるのでしょう。要は、バックチェックもその耐震について、保安院でやったものを安全委員会としても、細かくというので、私も審議会を何回か見てきたんですけれども、それと今回のが違う、要は、安全委員会の方でダブルチェックというか、しないという、その理由は何になるんですか。
○班目原子力安全委員長 まず、原子力安全委員会の本来の仕事というのは、安全確保のための基本方針を示すことだと思っております。そういう意味からいくと、実は、法的には設置許可申請とかという基本設計みたいなところに関しては、これは安全委員会がダブルチェックをしなければいけないということになっています。
それに対して、耐震バックチェックというのは、ちょっと微妙な関係にありまして、耐震設計審査指針なるものが基本設計そのものにかなり関係しているというところから、それについての報告をしっかりと安全委員会としても聞いて、それで指針を補う手引きみたいなものを作るのに資するという、そういう理由があったということです。
今回のものというのは、もう少し、基本設計というよりは、運転段階に入ったもののものなので、どういう形になるか分かりませんけれども、もうちょっと個別の対応というのは、それほど立ち入らないことになるのではないか、というふうに考えています。
○読売新聞山田記者 今のお話で言うと、指針という部分で、地震の方も分かるんですけれども、今回もある程度の基準があって、それについて、各事業者さん、各機器について数字が出てくる。先ほど班目先生がおっしゃったように点数が出てくる、それについての評価というのは、基本的な考え方に近いようなものだと思うんですが、多少ちょっと違うのか。
○班目原子力安全委員長 ですから、基本的な考え方として、今までは、安全審査で合格か不合格かということしか見てませんでしたねと。それから、検査なんかも合格、不合格ばかりで見てましたねと、そこをあえて、ちゃんと余裕がどれだけあるかまで見てください、という基本的な考え方を新たに発出したと、そこが大きい話なんだと思っています。
○読売新聞山田記者 それと、あと余裕を見て、それについての出来、不出来というのは、保安院の方で示すとは思うんですけれども、それについては、安全委員会の方としては、報告を受けて、それがいいか悪いか、というのを判断しますと、そういうことになる。
○班目原子力安全委員長 そういうことになろうかと思います。
○読売新聞山田記者 分かりました。
あともう1点、先ほど今回、今日の臨時会に至った経緯をご説明いただいたんですけれども、安全委員会の独立性というものからすると、要請を受けたにせよ、政治的に今回、動いたという感は否めないかなと思うんですね。
それで、ストレステスト自身はすごくいいことだと思っています。その点について、政治的独立性という部分では、どういうふうに思われているのかというのが1点と、あと、いろいろ今までにも班目先生の方から保安院の方に宿題を出していると思うんですね。例えば、定義、冷温停止等、これについても、このような形で、今後というか、近く保安院の方に報告を求めたりというのはあるのかどうか。
○班目原子力安全委員長 ですから、細野大臣の方から指示は受けてません。あくまでも、要請です。要請を受けた内容が、たまたま原子力安全委員会としても、ずっと保安院に対して求めてきたことだったので、それなら少し正式な形でやりましょう、ということだったわけで、原子力安全委員会としては、政治的に介入されたとは思っていません。それが第1点ですね。
それから、例えば、冷温停止の定義について早く持ってきなさいということは、こういう総合的な安全評価が必要ですよということよりは、優先度が低いんではないか。これは、安全委員会設置法25条を使ってのかなり正式なあれになりますので、実は、今までも安全委員会としては、そこまでやるかどうか、迷っていたところはあるんですが、冷温停止にまで、そこまで立ち入る必要はないんじゃないかというふうに今は考えています。
○読売新聞山田記者 特に、例として冷温停止を挙げたんですけれども、他にもたくさんあるんですけれども、それについてはないですねという、そういうことで。
○班目原子力安全委員長 今一番重要だというふうに考えているのは、福島第一発電所の事故を踏まえて、こういう、原子炉施設の安全性の基本的な考え方を再構築することだというふうに思っています。
(次のブログに続く)