以下、いつも勉強をさせていただいている勉強会のお知らせ。
この度のテーマは、ロタウイルス。
どなたでも参加可能ということですので、こちらでもお知らせいたします。
*****ご案内*****
第47回 感染・免疫懇話会 講演会
冬の小児の下痢の原因として有名なロタウイルスは、レオウイルスに属し電子顕微鏡で見ると車軸状に見えることからこの名前がついたとされていま す。
さて、どの医療機関でも、シーズンになれば米のとぎ汁状の下痢を主訴としたロタウイルス感染症の患者で溢れます。
ところが最近、ロタリックス (GSK社)とロタテック(MSD社)という2つのワクチンが開発され、前者は既に厚労省から製造販売の承認を取得、まもなく発売予定。後者も現在、審査を受けており承認されれば日本でも発売されることになっていると聞いています。
その一方で、かつてロタシールドというロタワクチンが米国 で発売されたときは腸重積が多発し市場から撤退した記憶もあります。
そもそも、日常茶飯なこの病気にワクチンは必要なのでしょうか?
しかし、重症 化すると6月13日の第212回青戸小児科医会で、慈恵医大青戸病院が提示した「ロタウイルス胃腸炎を契機に劇症1型糖尿病を発症した10ヶ月男 児例」のような症例が身近にあることを知ると、やはりロタワクチンは必要か?と、心は動きます。
ロタリックスの販売を控え、ロタワクチンの講演会 も多く開催されているようですが、当会では、ロタウイルス自体に軸足を据えた講演を微生物学の基礎の先生であられる長崎大学の中込教授にお願いして講演会を企画しました。
そもそもロタウイルスとは何か?を、基礎の「キ」から勉強しなおすことによって、ワクチンも含めたロタウイルス感染症と いうものについて理解を深めたいと考えています。
なお、中込先生は、30年以上にわたりロタウイルス研究に取り組み“Lancet” などにロタに関する論文を多数発表、また英国の医学生の教科書であるGreenwoodの“Medical Microbiology”の「レオウイルス」の章の執筆者やわが国の医学生の教科書である「標準微生物学」の編集者でもあられます。
入場無料。どなたでも参加できます。多くの方のご参加をお待ちしております。なお、今回も、講演終了後、講師を交えた食事会(会費制)を行います。(文責松永)
感染・免疫懇話会世話人
プレトーク・症例呈示
「ロタウイルス胃腸炎を契機に劇症1型糖尿病を発症した10ヶ月男児」
東京慈恵医科大学附属青戸病院小児科 和田美穂 斉藤義弘
ロタウイルスと
ロタウイルス感染症
-ワクチンに関するよくある質問への基礎として-
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座 教授
中込 治
平成23年7月25日 月曜 午後8時~
会場 葛飾区医師会館 3階 講堂
東京都葛飾区立石5-15-12
ロタウイルス感染症は非常にコモンな感染症である。成人の散発性急性胃腸炎の原因の10~15%はロタウイルスに起因しているが、臨床的重要性は 乳幼児期の急性下痢症にあることは、先進国と発展途上国とを問わない。
今までワクチンが開発され、使われてきた感染症には、致死的な症例があり、 回復しても重篤な後遺症を残すことがあり、根治的な治療法がない(なかった)などの特徴があった。
このような考え方は誤りではないが、こういう見方を固持すると、ロタウイルス感染症は、致死的な症例はめったになく、後遺症を残すことなく回復し、死亡の原因となる脱水症に対するきわめて有効な治療法があるため、あえて、ワクチンはいらないということになる。
また、一方で、命にかかわるような重篤な病気にならなければ、よい免疫ができるので自然感染しておいた方がよいという考え方も根強く存在する。ロタウイルスには、すべての小児が感染するが、その大部分は、医療介入を必要としない軽症の下痢症に終わり、わが国では、脱水治療のために入院しているのは、5歳になるまでに15~50人に1人である。
このような重症下痢症 による入院(疾病負担)を予防することがロタウイルスワクチンの目的である。講演の骨子の1つは、ワクチンに対する考え方を変える必要はないかという提案である(米国でロタウイルスワクチンに対する考え方が180度転換した背景に、この疾病負担の認識とその減少という到達目標があった)。
講演のもう1つの骨子は、発症を防御する免疫機構は何か、なぜ生ワクチンなのに複数回接種が必要なのか、なぜ、米国では初回接種を6~15週に限定して行っているのか、任意接種と集団接種でどのような違いが出てくるのか、日本での臨床試験の結果はどうなのかという「よくある質問」に対し て、微生物学の基礎に立ちもどって、回答させていただくことである。
日本医師会生涯教育制度・・・2単位 3カリキュラムコード カリキュラムコード 1、11,94
感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会
以上
この度のテーマは、ロタウイルス。
どなたでも参加可能ということですので、こちらでもお知らせいたします。
*****ご案内*****
第47回 感染・免疫懇話会 講演会
冬の小児の下痢の原因として有名なロタウイルスは、レオウイルスに属し電子顕微鏡で見ると車軸状に見えることからこの名前がついたとされていま す。
さて、どの医療機関でも、シーズンになれば米のとぎ汁状の下痢を主訴としたロタウイルス感染症の患者で溢れます。
ところが最近、ロタリックス (GSK社)とロタテック(MSD社)という2つのワクチンが開発され、前者は既に厚労省から製造販売の承認を取得、まもなく発売予定。後者も現在、審査を受けており承認されれば日本でも発売されることになっていると聞いています。
その一方で、かつてロタシールドというロタワクチンが米国 で発売されたときは腸重積が多発し市場から撤退した記憶もあります。
そもそも、日常茶飯なこの病気にワクチンは必要なのでしょうか?
しかし、重症 化すると6月13日の第212回青戸小児科医会で、慈恵医大青戸病院が提示した「ロタウイルス胃腸炎を契機に劇症1型糖尿病を発症した10ヶ月男 児例」のような症例が身近にあることを知ると、やはりロタワクチンは必要か?と、心は動きます。
ロタリックスの販売を控え、ロタワクチンの講演会 も多く開催されているようですが、当会では、ロタウイルス自体に軸足を据えた講演を微生物学の基礎の先生であられる長崎大学の中込教授にお願いして講演会を企画しました。
そもそもロタウイルスとは何か?を、基礎の「キ」から勉強しなおすことによって、ワクチンも含めたロタウイルス感染症と いうものについて理解を深めたいと考えています。
なお、中込先生は、30年以上にわたりロタウイルス研究に取り組み“Lancet” などにロタに関する論文を多数発表、また英国の医学生の教科書であるGreenwoodの“Medical Microbiology”の「レオウイルス」の章の執筆者やわが国の医学生の教科書である「標準微生物学」の編集者でもあられます。
入場無料。どなたでも参加できます。多くの方のご参加をお待ちしております。なお、今回も、講演終了後、講師を交えた食事会(会費制)を行います。(文責松永)
感染・免疫懇話会世話人
プレトーク・症例呈示
「ロタウイルス胃腸炎を契機に劇症1型糖尿病を発症した10ヶ月男児」
東京慈恵医科大学附属青戸病院小児科 和田美穂 斉藤義弘
ロタウイルスと
ロタウイルス感染症
-ワクチンに関するよくある質問への基礎として-
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座 教授
中込 治
平成23年7月25日 月曜 午後8時~
会場 葛飾区医師会館 3階 講堂
東京都葛飾区立石5-15-12
ロタウイルス感染症は非常にコモンな感染症である。成人の散発性急性胃腸炎の原因の10~15%はロタウイルスに起因しているが、臨床的重要性は 乳幼児期の急性下痢症にあることは、先進国と発展途上国とを問わない。
今までワクチンが開発され、使われてきた感染症には、致死的な症例があり、 回復しても重篤な後遺症を残すことがあり、根治的な治療法がない(なかった)などの特徴があった。
このような考え方は誤りではないが、こういう見方を固持すると、ロタウイルス感染症は、致死的な症例はめったになく、後遺症を残すことなく回復し、死亡の原因となる脱水症に対するきわめて有効な治療法があるため、あえて、ワクチンはいらないということになる。
また、一方で、命にかかわるような重篤な病気にならなければ、よい免疫ができるので自然感染しておいた方がよいという考え方も根強く存在する。ロタウイルスには、すべての小児が感染するが、その大部分は、医療介入を必要としない軽症の下痢症に終わり、わが国では、脱水治療のために入院しているのは、5歳になるまでに15~50人に1人である。
このような重症下痢症 による入院(疾病負担)を予防することがロタウイルスワクチンの目的である。講演の骨子の1つは、ワクチンに対する考え方を変える必要はないかという提案である(米国でロタウイルスワクチンに対する考え方が180度転換した背景に、この疾病負担の認識とその減少という到達目標があった)。
講演のもう1つの骨子は、発症を防御する免疫機構は何か、なぜ生ワクチンなのに複数回接種が必要なのか、なぜ、米国では初回接種を6~15週に限定して行っているのか、任意接種と集団接種でどのような違いが出てくるのか、日本での臨床試験の結果はどうなのかという「よくある質問」に対し て、微生物学の基礎に立ちもどって、回答させていただくことである。
日本医師会生涯教育制度・・・2単位 3カリキュラムコード カリキュラムコード 1、11,94
感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会
以上