東京電力による津波が福島原発に与えた影響に関する報告書が、経済産業省原子力安全・保安院へ提出されたため、こちらでも見ておきます。
なぜ、原発建設の際、土盛りをして津波に備えなかったのかと、悔やまれます。(参考記事 参照)
あと、水密性や電源1系統2回線などがなんとかなっていれば…
津波が来るまでの30分で、電源をなんとか復旧出来なかったのだろうか…
******参考記事*******
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011053001000169.html
東北電、90年に大津波の論文 福島原発に生かされず
東日本大震災との関連が指摘される平安時代の869年に起きた貞観地震(じょうがんじしん)による津波について、女川原発(宮城県)の2号機増設の調査をしていた東北電力が1990年、津波が残した砂などの分析から、原発近くの仙台平野では海岸線から3キロ程度が浸水する大規模な津波だったとの調査結果をまとめていたことが30日、分かった。
当時、論文をまとめた阿部壽・東北電元常務は「原発でこうした調査をした例は、当時は聞かなかった」としている。女川2号機の津波想定はこうした調査などから高さ9・1メートルとされた。 東北電は、今回の地震で高さ14~15メートルの津波(小坂注、浸水深は約1.5~5.5m)が直撃した東京電力福島第1原発の近くの福島県内に浪江・小高原発を建設する計画を68年に発表。ここで津波の調査をすれば、福島第1原発などの危険性も判明した可能性があったが、地元の反対が強いことなどから実施していなかった。 貞観津波は古文書に「(多賀)城が壊れた」「千人が溺死」「数千百里が海になった」などの記述がある。相当な誇張と考えられていたといい、専門家は「貞観津波に目を向けるきっかけとなる貴重な研究成果だった」としている。 阿部元常務によると、直径3センチ程度のボーリングでは津波の痕跡を見つけることが難しいことから、面的な広がりのある「坪掘り坑」という手法を採用。地層の砂やその上下にある年代測定試料などの分析で、古文書の貞観津波の年代と矛盾しないかを調べた。 その結果、仙台平野の浸水域は海岸から約3キロで、津波の高さは河川から離れた平野部で2・5~3メートル、海岸部ではさらに数メートル高くなったと推定。標高の低い平野は壊滅状態で、夜間という悪条件では千人が死亡しても矛盾はないとしている。
******参考記事、以上******
******東京電力資料の該当箇所 概要版より******
3.浸水による福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所への影響の分析
(1) 福島第一原子力発電所
【建屋の浸水状況】
O.P.+10m の敷地にある主要建屋の周辺では、ほぼ全域が津波の遡上を受け浸水したと考えられますが、主要建屋の外壁や柱等の構造躯体に有意な損傷は確認されておりません。
浸水によって、主要建屋の地上の開口(建屋の出入口や機器搬入口(ハッチ)、給排気口(ルーバ))や、敷地の地下に埋設されたトレンチやダクトに接続する開口(ケーブルや配管の貫通口)の一部が建屋内への浸水経路になったと考えられ、1~4号機タービン建屋の東側(海側)を中心に、開口に取り付けられた扉やシャッター等の一部が津波により損傷していることを確認しました。建屋内では、通路や階段室等を介して地下の広い範囲が浸水したものと考えられます。主要建屋内への浸水経路になったと考えられる開口の位置を図 5 に示します。
【浸水による耐震安全上重要な設備への影響】
耐震安全上重要な設備のうち、非常用電源盤、非常用ディーゼル発電設備(D/G)及び直流主母線盤について、調査可能な範囲で浸水の範囲及び影響を調査しました。概要を以下に示します(詳細は表 1 参照)。
非常用電源盤:6号機の電源盤を除き、1~5 号機の全ての盤で浸水。
非常用ディーゼル発電設備D/G :D/G(6B)を除き、D/G本体または関連機器の浸水により使用不可。
直流主母線盤:1,2,4 号機の直流主母線盤が浸水。3,5,6 号機の電源盤には浸水なし。
また、屋外ヤードエリア設置の非常用海水冷却系設備については、点検中で取り外していたポンプを除き、いずれも津波を受けた後も据付場所に自立しており、ポンプ本体が流 出したものはありませんでした。図 6 に、6 号機非常用海水冷却系設備の状況を示します。
しかし、設備点検用クレーンの倒壊、漂流物の衝突等によるポンプならびに付属機器の損傷、および電動機軸受潤滑油への海水の混入も確認しました。
なお、D/G(6A)冷却系海水ポンプでは、津波により被水したものの、3月18日に冷却海水ポンプ電動機の健全性を確認し、翌3月19日に D/G(6A)の確認運転を行いました。
******東京電力ホームページより*****
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11070802-j.html
当社福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所における津波の調査結果に係る報告書の経済産業省原子力安全・保安院への提出について
平成23年7月8日
東京電力株式会社
平成23年3月11日午後2時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震により、当社
福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所に到達した津波の調査結果として、
それぞれの浸水高や浸水域等についてお示しするとともに、福島第一原子力発電所
への津波の影響は、福島第二原子力発電所のものに比べ、大きかったことについて
経済産業省原子力安全・保安院にご報告しております。
(平成23年4月9日お知らせ済み)
また本報告に対し、同院より、福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電
所における津波の詳細な分析および評価を求める旨の指示文書*を受領しておりま
した。
(平成23年4月13日お知らせ済み)
その後、当社は、この指示文書に基づき、福島第一原子力発電所および福島第二
原子力発電所に到達した津波について、敷地内外における津波調査、津波の特徴お
よび発電所への浸水による影響の分析等を実施いたしました。
両発電所の検潮所設置位置における津波の高さは、津波の調査結果および数値シ
ミュレーション結果から、福島第一原子力発電所が約13m、福島第二原子力発電所
が約9mと推定いたしました。
この差異の要因については、宮城県沖および福島県沖に想定されるすべり量の大
きい領域からの津波のピークの重なり度合いが異なることによる影響と考えており
ます。
また、この津波による両発電所の原子炉建屋、タービン建屋等の主要建屋および
耐震安全上重要な設備への影響についてとりまとめました。
これらの内容について、本日、同院へ報告いたしましたのでお知らせいたします。
以 上
添付資料:
福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における平成23年東北地方太平
洋沖地震により発生した津波の調査結果に係る報告(その2)【概要版】
(PDF 1.60MB)
*指示文書
「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における平成23年東北地方
太平洋沖地震により発生した津波の調査結果を踏まえた対応について(指示)」
平成23・04・11原院第1号
平成23年4月13日
本年4月9日、貴社から、福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所にお
いて平成23年東北地方太平洋沖地震(以下「今回の地震」という。)により発生し
た津波の調査結果に係る報告が提出されました。
当該報告によると、両発電所内における津波痕跡調査から、福島第一原子力発電
所においては、原子炉建屋、タービン建屋等の主要建屋が設置されている区域のほ
ぼ全域が浸水高14メートルから15メートル程度、福島第二原子力発電所においては、
敷地の東側では浸水高6.5メートルから7メートル程度、同南側では浸水高14メー
トルから15メートル程度であったと推定されています。
原子力安全・保安院(以下「当院」という。)としては、今回の津波に係る貴社
の上記調査結果を踏まえ、両発電所における津波の再現計算等により津波の詳細な
分析及び評価を行うことが必要と判断しました。
このため、当院は、貴社に対して下記の事項について分析及び評価を行い、平成
23年7月8日までに報告することを求めます。
なお、下記の事項を実施するために必要な調査・検討に際しては、放射線による
作業員への影響等について十分留意して実施される必要があります。
記
1.敷地内外の詳細な津波痕跡データ等の整理
今回の地震による津波の特徴及び両発電所への影響の分析を行うため、津波痕
跡データ等を可能な限り正確に記録及び整理すること。具体的な内容としては、
以下のとおりとする。
・津波高さ及び浸水域の推定精度の向上
・敷地前面の海底変動
・敷地の地盤変動(地盤沈下)
・漂流物の状況(大きさ、重量、移動量等)
・建屋、土木構造物等の被害状況(水の侵入を含む。)
2.津波の特徴及び両発電所への影響の分析
津波の再現計算を実施するとともに、その結果を踏まえ、今回の地震による津
波の特徴及び両発電所への影響を分析すること。具体的な内容としては、以下の
とおりとする。
・津波の到来方向並びに敷地内における浸水経路及び浸水過程に関する分析
・敷地を遡上した津波が施設に与えた影響(押し波及び引き波による影響並びに
漂流物による影響等)の分析
・原子炉建屋、タービン建屋等の主要建屋へ水が侵入した場合の経路及び耐震安
全上重要な設備への影響の分析