7/15の第53回原子力安全委員会で、原子力安全・保安院の考えるストレステストの内容の報告がなされた。
7/16の各紙でその概要が取り上げられているところであるが、以下、原本にあたっておきます。
同時に、第53回原子力安全委員会で、様々な意見要望が出され、原子力安全・保安院側(山田原子力発電安全審査課長)が、「検討します」と答弁されています。
次回、それらがきちんと「検討」される中で、ストレステストの内容がわかりやすく充実され、原子力安全委員会に回答されますことを期待致しております。
脱原発であるべきではありますが、一医師としては、万が一事故が起きた場合の地域住民を守る体制の整備(SPEEDIの周知体制、ヨウ素剤配布体制、医師養成も含め医療供給体制等)がきちんとなされていることも評価のひとつとして是非とも入れていただきたいと考えます。
福島第一原発での過ちを少しでも是正していただきたいと考えます。
*****原子力安全委員会 資料より*****
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan053/siryo1.pdf
東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用 原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画
平成 23 年 7 月 15 日
原子力安全・保安院
平成 23 年 7 月 6 日付け 23 安委決第 7 号において原子力安全委員会から求め られた、東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設 の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計 画について、以下のとおり定める。
1.評価対象施設
全ての既設の発電用原子炉施設を対象とし、建設中のものを含める。ただし、 東京電力福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所及び廃止措置中であっ て燃料が発電所内に存在しないものは除く。
核燃料サイクル関連施設については別途実施を検討する。
2.評価対象時点
評価は、平成 23 年 7 月 31 日時点の施設と管理状態を対象に実施する。
3.評価対象事象
東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえ、以下の事象 を対象とする。
・自然現象: 地震、津波
・安全機能の喪失: 全交流電源喪失、最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
4.評価実施方法
事業者は、以下の方法に基づく評価を行い当院に提出する。当院は、事業者 の評価結果に対する評価を行うとともに、原子力安全委員会に対し、当院の評 価結果の確認を求める。
事業者による評価は、一次評価と二次評価により構成する。なお、いずれの 場合も、東京電力福島第一原子力発電所事故の後に緊急安全対策等として実施 した措置について、明示すること。
(1)一次評価
I.評価手法
安全上重要な施設・機器等について、設計上の想定を超える事象に対して どの程度の安全裕度が確保されているか評価する。評価は、許容値に対しど の程度の裕度を有するかという観点から行う。また、設計上の想定を超える 事象に対し安全性を確保するために取られている措置について、多重防護 (defense in depth)の観点から、その効果を示す。これにより、必要な安全 水準に一定の安全裕度が上乗せされていることを確認する。
(2)二次評価
設計上の想定を大幅に超える事象の発生を仮定し、評価対象の原子力発電所が、どの程度の事象まで燃料の重大な損傷を発生させることなく耐えるこ とができるか、安全裕度(耐力)を評価する。また、燃料の重大な損傷を防止 するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示すとともに、 クリフエッジ効果を特定して、潜在的な弱点を明らかにする。これにより、 既設の発電用原子炉施設について、設計上の想定を超える外部事象に対する 頑健性に関して、総合的に評価する。
(3)評価の進め方
評価において、事象の進展過程については、イベントツリーの形式で示すこととし、イベントツリーの各段階において、その段階で使用可能な防護措 置について検討し、それぞれの有効性及び限界を示す。評価に当たっては、 以下の点に留意する。
・ 起因事象発生時の状況として、最大出力下での運転など最も厳しい運転条件を想定するとともに、使用済燃料プールが使用済燃料で満たされるなど最も厳しいプラント状態を設定する。
・ 想定する自然現象は、地震及び津波とする。さらに二次評価においてはこれらの重畳についても想定することとし、設計段階での想定事象に限らず、 最新の知見に照らして最も過酷と考えられる条件や、さらにそれを上回る 事象をも考慮する。
・ 事象の過程の検討においては、事象の進展や作業に要する時間をあわせて 検討する。
・ 原子炉及び使用済燃料プールが同時に影響を受けると想定する。また、防 護措置の評価にあたっては、合理的な想定により機能回復を期待できる場 合を除き一度機能を失った機能は回復しない、プラント外部からの支援は 受けられない等、厳しい状況を仮定する。
・ 二次評価においては、事業者が自主的に強化した施設・機能や、耐震B・ Cクラスの構造物・機器であっても合理的な推定によって機能維持が期待 できるものについては、評価に含めることができる。
・ 喪失する安全機能として、全交流電源喪失及び最終ヒートシンクの喪失を 想定するが、二次評価においてはこれらの重畳についても想定する。
・ 複数号機を有する発電所については、複数号機間の相互作用の可能性につ いて考慮する。
・ 決定論的な手法を用い、過度の保守性を考慮することなく現実的な評価を 行う。
5.一次評価実施事項
以下に示す事項について実施する。
(1)地震
1地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、耐震Sクラス及び燃料 の重大な損傷に関係し得るその他のクラスの建屋、施設・機器等が損傷・ 機能喪失するか否かを許容値等との比較若しくは地震PSA(確率論的 安全評価)の知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計 の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(2)津波
1津波高さが、土木学会「原子力発電所の津波評価技術」(平成14年)を用いて評価した設計想定津波の高さ(設計津波高さ)を超える程度に応 じて、安全上重要な建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かを 設計津波高さ等との比較若しくは津波PSAの知見等を踏まえて評価す る。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点 を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(3)全交流電源喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所 在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(4)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
6.二次評価実施事項
以下に示す事項について実施する。
(1)地震
1地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が 損傷・機能喪失するか否かを地震PSAの知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計 の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(2)津波
1津波高さが、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かについて、津波PSAの知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(3)地震と津波との重畳
1設計上の想定を超える地震とそれに引き続く設計上の想定を超える津波 が発生した場合において、燃料の重大な損傷に至る事象の進展を地震・津波PSAの知見を踏まえて同定し、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
2特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(4)全交流電源喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃 料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の 全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失 への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所 在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(5)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失 1内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。 21において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。 3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(6)全交流電源喪失と最終ヒートシンクの喪失の複合
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失と最終ヒートシンク 喪失の複合事象を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を 明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失と最終ヒートシンク 喪失の複合事象の継続時間を明らかにする。
21において特定された過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリ フエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(7)シビアアクシデント対策
1現在備えているアクシデント・マネージメント対策におけるクリフエッジ効果を明確にするとともに、シビアアクシデントの発生からそこに至るまでの時間を評価する。
2クリフエッジ効果を防止するために実施可能な措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。その際、ハードウェアのみならず、手順 書、組織体制の整備などソフト面について考慮する。
II.実施計画
1.一次評価
定期検査中で、起動準備の整った原子炉に対して実施する。
2.二次評価
全ての既設の発電用原子炉施設(ただし、東京電力福島第一原子力発電所、 福島第二原子力発電所及び廃止措置中であって燃料が発電所内に存在しないも のは除く)に対して実施し、事業者からの報告の時期は本年内を目途とするが、 欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一原子力発電所 事故調査・検証委員会の検討状況を踏まえ、必要に応じ見直す。
建設中の発電用原子炉施設については、起動までに本評価を実施する。 評価は、発電所単位で実施する。
3.当院の対応
(1)一次評価
当院は、一次評価の提出を受けた場合には、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。
(2)二次評価
当院は、提出された報告について、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。 なお、当院は、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島 第一原子力発電所事故調査・検証委員会の検討状況も踏まえ、必要に応じ、二 次評価実施事項を修正し、修正後の実施事項に基づいて評価を実施するよう事業者に対し改めて指示を行う。
*****以下は、その時の原子力安全委員会議事録抜粋*****
○班目委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまご報告がありました件につきまして、是非、ご意見、ご質 問等をお願いしたいと思います。
久住委員から。
○久住委員 幾つかちょっと確認させていただきたいんですけれども、まず、1 ページ目のところのIの2.で評価対象時点ですけれども、これは一次も二次も 7月31日の時点だと。一次は最後の方には起動準備が整ったらと書いてありま すが、これはどういう意味なのでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 設備については、事業者が次々と改 善努力をしてまいりますので、どこかの時点でフリーズと言いますか、確定して 評価にかからなければいけないと思いますので、その時点をバラバラにするので はなく、7月31日ということで設定してはどうかという考えでございます。
○久住委員 そうすると、最後の7ページ目に書いてある一次評価の起動準備が 整った炉というのは。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 起動準備が整った炉が提出してまい りますが、その時の評価は7月31日でのスナップショットということでござい ます。
○久住委員 ちょっとよく分かりませんが、ちょっと次に進めさせてください。
一次と二次の評価の違いが、要するに一次の方よりも二次の方がかけるストレ スが大きいんだというように分かりやすくは考えたらいいでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) どこまで安全裕度があるかということの確認をする、その程度が二次の方が先まで行うということでございます。
○久住委員 設計上の想定を超える事象という書き方と、設計上の想定を大幅に 超える事象という書き方になって。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) どこまで行くかというので、ちょっ とそういう表現をさせていただきました。
○久住委員 そういう意味だということなんですね。 それで複数号機の相互評価は二次についてのみ行うという理解でよろしいですよね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。
○久住委員 それとあと、具体的なイメージがよくつかめないのは、それぞれの ところで多重防護の観点からという、常に一次にも二次にも書いてあるんですけ れども、具体的には、これはどのような評価になると思ったらよろしいのでしょ うか。
例えば、津波が来た時に、多重防護の3層目はどのような機器が関係して、 どういうふうに確保されている、とかいうような具体的な説明になっていくと理 解したらいいんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 津波を例にとってお話しさせていた だきたいと思います。
まず、ある程度の津波であれば、敷地の高さに達しませんので、敷地の中には 影響が及びません。ですので、まず、敷地の高さというものが津波に対しては、 第一次の防御になるかと思います。
その次、敷地の高さを超えますと、敷地の中 が浸水してまいります。それで建屋まで浸水した時に、まず、通常の扉、その他 のものがございますので、建屋の中に水が入っていくということはないかという ふうに評価できます。しかしながら、ある程度の高さの津波がまいりますと、あ る深さで浸水いたしますので、通常の扉ですと恐らく建屋の中に水が入ってまい りますので、それを避ける上では、いわゆる浸水防止対策でパッキングをきちん とするとか、そういうことが行われるかと思いますが、それが、まず、次の防御 になります。
それから、更に高い津波がまいりますと、普通の浸水対策ではもたなくて、あ る程度、水密性をもった扉にしないと、中に水が入ってくるのではないかという ことが起きますので、そういうように浸水対策及び水密化対策をするというように、多層に防護する措置を津波に対してはとっていくことになるかと思いますの で、その対策を評価して、その多層性についてのそれぞれ、どの程度効果を持っ ているかということについての評価をしてもらいたいと考えております。
それによって設計を超えた津波が来ても、どの程度対策がとられていて、設計 を超える事象が起きたとしても、それ以上の重大な事象には至らないように防護 されているということが、明らかに示せるのではないかと考えてございます。
○久住委員 分かりました。例えば、津波の場合は、そのように何段階か防護さ れているということが、多重性という意味での考え方であって、原子炉そのもの が多重性をもって防護されているということで、どう関係するか、炉の安定性が それによって、どのように確保されているかというところまでの分析ではないと。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 今、途中までしか申し上げませんで したが、例えば、建屋の中に浸水していきますと、安全上重要な非常用DGとか、 電源設備が浸水いたしますと、それによって、安全機能の一部が失われてまいり ますので、そうすると炉心の冷却ができなくなるという形で、原子炉の安全性の 方に影響が及んでまいります。
したがいまして、非常用DGが水没しないように、高台にDGを備えておくと か、電源車を準備しておくとか、そういったような、それもまた多層性をもった 防護対策を設けていくということをやっておりまして、その辺のところの評価を したいと考えてございます。
○久住委員 分かりました。その辺、ひとつひとつ丁寧に総合的に評価して、多 重防護という思想がこのように活かされている、そして、この程度は安全が確保 されているという形が分かりやすいように、ご説明していただければと思いまし た。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) その効果を定量的にできるだけ示し たいと考えております。
○班目委員長 よろしいですか。
それでは、続いて小山田委員、お願いします。
○小山田委員 幾つかコメントと質問をさせていただきますが、まず、最初に4 ページ目のところに、6.二次評価実施事項というところで、下の方の(3)で 地震と津波との重畳というのが二次評価に入っています。それで、今回の福島の事象そのものが地震と津波の重畳であったわけで、にもかかわらず、これは二次 評価にしているという理由をご説明願いたいのと、それから一般的な意味での分 かりやすさということで考えると、これは一次評価の中に含めるべきではないか と思うんですが、それについては。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 私どもといたしましては、今回、こ の案で考えましたところでの一次評価で地震と津波の複合を書いてございません のは、この評価、イベントツリーを作って評価してまいりますが、地震のイベン トツリー、それから津波のイベントツリー、それぞれ一次評価で地震、津波のと ころで評価してまいります。
複合事象というのは、それぞれの両方を足したような形のものが、恐らく複合 事象で出てくるのではないかと考えてございまして、したがいまして、それぞれ をやっておけば、一次では十分ではないかということと、二次でも恐らく同じ評 価になるのではないかということで、一次の方でそれぞれやっておけば、あとは 確認の意味で、一次と二次で、地震と津波の複合をやっておけば良いのではない かということで、こういう形の整理をさせていただいたところでございます。
○小山田委員 技術的に意味するところは、それで分かるのですが、ただ一般に 説明する立場を考えた場合、それから説明を受ける人たちのことを考えた場合に は、地震と津波の重畳というのは、一次の側に含めるべきではないかと思います ので、それは検討をお願いしたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 分かりました。検討させていただき ます。
○小山田委員 それから次は、3ページ目の5.一次評価実施事項というところ で、(1)の1の3行目のところで、これは許容値等との比較という、地震動に 関してだと思いますが、許容値等との比較というところのこの許容値等というの が意味するところを尐し説明していただけませんか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 許容値につきましては、これはもう 安全委員の先生方には釈迦に説法かと思いますけれども、許容値に達したことに よって、直ちに機能が失われるわけではなく、基準にも余裕が含まれているとい うふうに考えてございます。したがいまして、基準に含まれている余裕について、 評価ができるのであれば、許容値そのものについて、その評価を加えた上で、その許容値を超えたことによって、起きる事象で、建屋、施設・機器の機能が喪失 されるかどうかということを評価してもらおうかということで、ここには等とい うものをつけさせていただいております。
○小山田委員 そういう意味なのだろうと思うのですが、許容値等という言葉で 意味するところというのを今ご説明にあったことも含めて、尐し丁寧に書かれて おいた方が良いのではないかと思います。
今、言われたように、地震動で特に機械系の機器が許容値というものをSs地 震動に対して、バックチェックの段階では許容値というものとの対比ということ で考えていますけれども、今、ご説明になったように、その許容値そのものが、 相当に余裕がある場合もあるわけでして、その時にはそのことをきちんと考慮に 入れなければ、今回行う総合的評価という意味がなくなりますので、それはよく 分かるように書いていただきたいと思います。
それから、もうひとつ関連して、2ページ目の上から2行のところに、評価は 許容値に対し、どの程度の余裕かという表現がありますけれども、これも尐し工 夫して表現をお願いしたいと思います。
それから、次の点は、これはその表現の問題なのですが、3ページ目の(1) の2のところで、設計の弱点を明らかにして、というところがありますが、設計 の弱点という言葉から受ける印象が、余りよろしくないのではないかという気が いたします。これは尐し中で、どういう表現が誤解を受けないような良い表現で あるかというのを検討していただきたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、かしこまりました。
○小山田委員 それから、次の件は、1ページ目で、I評価手法の3.の評価対 象事象が自然現象のうち、地震、津波と書いてありますけれども、一次評価はそ れで良いのかもしれませんけれども、二次評価の段階になってもまだ地震、津波 ということに限定するのは、余りよろしくないのではないかという気もしますの で、その他の自然現象、どういうものを含むかというのはそれぞれ考えていただ ければ良いと思いますが、そういうものも含むような表現をされるべきではない かというふうに思いますので、検討をお願いしたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 評価対象につきましては、特に、二 次につきましては、EUのストレステストの動向もあるかと思いますので、それを踏まえて見直すことがあるということで考えたいと思っております。
○小山田委員 ここで、その表現、これは、今は一次も二次も含めたことで地震、 津波と書いてありますので、尐しそういうようなことが分かるようにしていただ きたいと思います。
それから、ここに直接書いてあることではないのですけれども、今回の事故が 起きて、いろいろ考えてみると事業者の側には国が定めた安全基準を満たせば、 それでおしまいと、それでもう十分だというようなものの見方というのが相当程 度あったのではないかと思います。
それは本来は非常に大きな問題だったんだと思います。今回のようなこういう 総合的評価をすると、事業者がそれぞれのプラント固有の状況について、非常に 詳細にと言いましょうか、非常に大切な評価ができるわけで、そういう意味でも 事業者が自分で考えて、自分のプラントの持っている余裕、その余裕の中でも一 番脆弱なところはどこか。それから、どこを改善すべきかというところが分かる 大変良い機会だと思いますので、今後のいろいろな規制のやり方を考えていく上 でも、これが大切な一歩になるというふうに思いますので、そのように指導をお 願いしたいと思います。
○班目委員長 どうもありがとうございました。 それでは、他に何かございますか。 代谷委員、お願いします。
○代谷委員 この中で、先ほど久住委員の方から、質問のあったところと関連す るんですけれども、やはり一次評価、二次評価というのは非常に分かりにくいと いうところがあるんですね。ここで、得られるところは何を目指しておられるの かというのがこの文章だけでは非常に分かりにくいと思います。
ある読み方をすると、一次評価の場合は、施設・機器について許容値がどれだ けあるのかという、それだけで終わってしまうような印象があって、ストレスで すから、負荷をかけていって、それで負荷がどこまでもつのか。着目するところ を変えるという点はあるだろうと思うんですけれども、必ずしもそういうように は読めないと思います。
二次評価の時だけ、これはざっと読んじゃうと、二次評価のところに設計上の 想定を大幅に超える、一次は大幅に超えなくていいのかと、余り超えなくていいのかという読み方をしてしまう場合もあるわけです。必ずしもそういうことでは ないと思います。
どちらにしても、安全裕度を見るんだけれども、着目点が違うとか、そういう ことを言っておられるんだろうと思うんですけれども、この文章だけ見ていると、 非常にそこのところが分かりにくい。もし、可能であれば全体的に例えば例示し て、どういうことをお考えなのかというのを、ここでイベントツリーとか書いて ございますので、そういうことで、一次評価はこういうこと、二次評価はこうい うことというような形で、やはりご説明していただきたいと思います。そうでな いと、この文章だけを読んでいると、何をやろうとしているのかというのがもう ひとつはっきりと分からない部分があると思うんです。
安全上重要な施設・機器ということが書いてあるんだけれども、地震PSAと かということになってくると、多分、地震PSAとかでやられるところは、安全 上重要で、必ずしもあるという機器でないところが起因事象になっているという 話があるので、読み方、場合によっては、矛盾をする書き方がされているという ような気がします。
そういうところ、ちょっときっちりとご説明をしていただきたいというように 思います。
例えば、評価の進め方の下で、想定する自然現象どうのう、こうのうというと ころで、設計段階での想定事象に限らず、最新の知見に照らして、最も過酷と考 えられる条件や、更に、それを上回る事象も考慮する、と書いてあるんですけれ ども、これは負荷をかけていくというのは、最新の知見も何もなくて、負荷がど こまでもつんですかということであれば、ここの部分は必ずしも最新の知見に照 らしてということでなくていいんだろうというように思います。
結局、耐性ですから、どこまでもつんだというのが最終的に、特に、二次評価 においては、必要なところになってくるというように思うんですが、この辺は、 どういうように考えておられるのかというところをお聞かせいただければと思い ます。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) まず、一次と二次の違いということ でございますが、一次については、まず、通常設計をした場合、設計したものは 許容値、許されている範囲のものとの間で、それ以下で設備が作られていることになるかと思いますので、そこが、まず、ひとつ目の余裕になっているかと思い ますので、そこを評価するというのがあるというふうに考えてございます。
二次の方については、本当に機能が喪失するかどうかというところまで負荷を かけていくというところで、要するに限界となるところまでを評価するというこ とでの余裕のとり方で、ですので、限界まで行くうちのどこかで許容値に達する 部分があり、そこが一次で評価する。二次は、そこを更に機能が失われるかどう かというところまでの評価をするということで、一次と二次の考え方を分けたい ということでございます。
それから、確率論的な評価につきまして、今回、ヨーロッパにおいても同様で ございますけれども、この評価については決定論的にやるということでございま すので、確率論的評価の知見を活用する、すなわちイベントツリーですとか、そ の他のいろいろな評価方法がございますので、そこでの知見を活用するというこ とで、今回こういうようなことを書いてございますけれども、加えて、やはりP SAの評価をいたしますと、現実的な事象の評価ができるかと思います。
したがいまして、余り現実と離れたような評価をしないためにも、PSAでの 知見を活用しながら、イベントツリー、燃料の重大損傷に至るパスというものを 現実的に評価をするということで、この知見を活用するということにしてはどう かということでございます。
それで、そういった地震PSAでいろいろ検討が進められているものも含めた 形での最新の知見を活用してもらいたい、できる限り最新の知見を踏まえて現実 的な、詳細な評価をしていただきたいということで、二次の方には最新の知見を 踏まえてということを付け加えたということでございます。
○代谷委員 今のご説明を聞いていても、まだもうひとつ、ぴんときていないと ころがあるんですけれども。
もうひとつ、今現在、こういうストレステストがやられる時の、この一次評価、 二次評価、いずれにしてもなんですが、総合評価をやられる時に、機器等のその ものについては設計値ではなくて、実力値で見るということですね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 二次では実力値です。
○代谷委員 例えば、一次は設計をする時の設計値の値で見るんだと。二次は、 例えば材料とか、そういうものについても、二次は実力値で見るんだというような切り分けだと割と分かりやすいかなと思うんですけれども、同じようなことを やっても。
そうすると今のは、一次は設計の時に使われたもので、全て安全上重要な施設 機器等について、設計値を使って、それとその許容値等、許容値等という時の等 には、先ほどのお話だと、必ずしも、いわゆる設計時の許容値だけではないよう なお話があったんですけれども、そこのところはどういうことになるんでしょう か。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 設計時に使われております評価方法 と、それから許容値を基本といたしますが、それで現実と余りに離れる場合がご ざいますので、そこについては、合理的な評価ができるところについては、合理 的な評価をして良いということにしたいということでございます。
○代谷委員 私、理解が悪いのかも分かりませんが、ちょっと今のご説明を聞い ていても、恐らくこれは実際に、先ほどのお話で、事業者にこの評価をやっても らうと、やらせるということで、それで一番弱点とかをその事業者が把握するの に、これを役立てると。いわば今までの安全規制等々ではやってこれなかったよ うなことを、やろうと今しているんだと思うんですけれども、そういうものに資 するものというようにした時に、事業者にいろいろなことを考えながらやっても らうということが必要なんですけれども、ある条件でやってくださいということ を言われるんだと思うんですよね。
私だけが理解できていなくて、事業者に理解できれば良いのかも分かりません が、このご説明の流れで事業者の方としては、私は分からないのではないか、何 をして良いのかというのが、そういうところがはっきり分からないと、アウトプ ットも、やはりいろいろなものが、いろいろ過ぎるようなものが出てきそうな気 がして、非常にそこのところは心配なところでございます。
もう尐し、もう尐し、こういうところをやるんだというところを一次、二次そ れぞれについて、分かりやすく記述をしていただいて、ご説明をいただくという ことがないと、これではやはり今の段階では、ちょっと全体として何をどういう ようにやろうとされているのかというのが、非常に分かりにくいという印象を受 けました。ご検討いただければというように思います。
○班目委員長 今の許容値等の話は、要するに、いわゆる許容値だけではなくて合理的に説明できるならば、事業者の方でここまでは持ちますよという、その根 拠を示す限りにおいては、それも認めるものであると、そういうふうに理解して よろしいわけですね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、そうでございます。
○班目委員長 では一応、今のところはそういう理解でいきたいと思います。
他に何かございますでしょうか。では、久木田委員お願いします。
○久木田委員 今回の試みというのは、いろいろな意味で新しい動きだと思いま すが、従来の設置許可の時点での安全評価というのは、想定している状況に対し て物が壊れないということを確認することを主たる内容として行ってきたわけで すけれども、今回のこの試みでは、どれぐらい厳しい条件になったらどこがどの ように壊れて、そして幾つかの構成要素が壊れると、原子炉全体としてどういっ た状態になるかというようなところまで踏み込んで評価するということなので、 そういった意味で、本当の意味での総合的な評価ということに繋がる動きだとい うふうに考えております。
こういった評価というのは、もちろん今までいろいろな蓄積があって行われる ものであって、地震PSA、津波PSA、それ以外の機器の故障等による事象発 展に関するPSAというものも長年にわたって行われてきていて、それをベース に、今回こういうことを行うわけですけれども、それにしても、まだ完全にその 手法として成熟していない。例えば、地震PSA等についての、まだその発展の 余地がある、そういった手法を使うということだと理解しています。
それゆえに、先ほどからいろいろご意見のあった一次評価と二次評価の区別等 についての、いろいろな試みが多分実際の評価においては考えられるもので、そ の試みの中から標準的な方法というものが作り出されていけば、それでよろしい のではないか。つまり、現状として、余り一次評価、二次評価について、最初か らガチガチに決めるということよりも、そういった工学的な判断の余地を残す方 が、むしろ良い評価ができるのではないかというふうに、私としては考えており ます。
例えば、地震の評価に関する許容値等との比較、もしくは、地震PSAの知見 というふうに書いてございまして、その地震PSAについては、イベントツリー 等を使うというような話でしたけれども、フラジリティについては、一次評価の段階では全く考慮しないということになるんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) フラジリティについては、ハザード カーブと併せて使って、初めて地震PSAになりますので、単独でどういうふう に使ったら良いのかということについては、ちょっと考えた上でになるかと思い ますが、ここにこういうふうに書いてございます、創意工夫できるところについ ては、してもらいたいというふうに考えております。
○久木田委員 おっしゃるように、フラジリティは破損確率なので、壊れるか壊 れないかという、オン・オフではないという意味で、使い方については工夫が必 要であると、そういうことですよね。
それから、今回の計画ですと、燃料の重大な損傷に至る事象の過程というふう に書いてございますけれども、今回の福島第一の事故にように、燃料の重大な損 傷に至って、更に格納容器、更には原子炉建屋に影響が及んだような、そういっ た事象というのは、今回の対象範囲ではないと、そういう意味でしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。今回考えてございました燃料 の損傷を、今ご指摘のございましたとおり、至ることを防ぐということをどの程 度できているのか、ということの評価を、まず、やりたいというふうに考えてご ざいます。
○久木田委員 もちろん、第一次的には燃料の損傷が起こるようなことを防止す る、そこに重点を置くべきだと思いますし、こういった総合的安全評価というも のが、今回の第一次とか第二次とか、そういうもので完結するものではなくて、 当然ながら、より包括的な視点を持って、その安全性の向上を目指すようなこと が必要だと思いますので、尐なくとも、一次の段階で燃料損傷防止の観点から評 価されるという、そのこと自体は結構ではないかというふうに思います。
○班目委員長 よろしゅうございますか。
他に何かございますでしょうか。では、久住委員どうぞ。
○久住委員 ちょっと、こういう発言というのは非常に違和感を皆さんお持ちか もしれませんけれども、お話をいろいろ伺っておりますと、事業者自身がそれぞ れの炉について、ご自分の炉について、どの程度、安全性があるかということを 自身で考えて評価していくということは、これはまさに最近よく失われてきたと いう声を聞きますマイプラント意識、そのものの復活が重要なのではないかという思いがいたしました。 ちょっと、何となく違和感のある表現かもしれませんけれども、そういう事業者の方々の意識をきっちりと、マイプラント意識というような自分たちの炉を大 事にしていき、そして安全にしていくという、この意識そのものが非常に重要で はないかと思いましたので、ちょっと、今回のストレステストでお話しすること かどうか分かりませんけれども、そのような観点も保安院におかれては考えてい ただければと思いました。
○班目委員長 例えば、ですから、むしろこれに、そもそも、これの目的的なも のを何か書けるかどうか、ちょっとご検討いただけますか。その辺りは、では、 原子力安全・保安院の方に、尐し、ご検討をお願いしたいと思います。
他に何かございますでしょうか。
最初の久住委員のご質問の、この1ページ目のIの2.の評価対象時点を7月 31日時点に区切ったという、これは7月、8月辺りで再起動するプラントはと もかく、例えば年末のものも7月31日で必ずという意味なんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。
今、考えてございましたのは、どこかの時点で、やはり切らなければいけない のかということで、それを指定する上で、まず、ひとつの考え方として、ある特 定の時点ということで、私どもの案として考えたところでございます。
○班目委員長 やっぱりちょっと、これも現実問題として、例えば年末になって 立ち上げようとするプラントに対して、7月31日に戻って評価しなさいという のも、何か変な違和感があるんですが、何かお考えいただけますか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 尐し検討させていただきたいと思い ます。
○班目委員長 他に。では、代谷委員、どうぞ。
○代谷委員 今の件について、やはり今回やられている緊急の対応というか、保 安院さんが求められて、それに対応して各電力がそれぞれ対応していっています よね。それは、まだ全てが整っているというわけではなくて、今もやられて、例 えば7月31日は無理だけれども、8月だったらできるとか、そういうものがあ った時は、やはりそれを含めて考えるべきだと。実際に運転する時の時点のこと を考えてやるということであれば、これは固定をしてしまうというのは、やはり余りよくないのではないかというように思うんです。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 私どもの方で考えておりますのは、 二次の方のイメージがございましたので、二次はどこかで切らないとだめだとい うので、7月31日と、それが一次の方にも及んでいるということでございます ので、尐し工夫して、何ができないかということで考えさせていただければと思 います。
○班目委員長 では、それは検討をお願いします。
他に何かございますでしょうか。
それから、先ほど津波を例にとって、深層防護の考え方についてご説明いただ いたんですが、正直言ってこの資料を見る限り、一般の方は、結局これによって 原子力安全・保安院は、事業者に対してどの程度の作業を要求しているかという のが、ちょっと見えづらいですよね。
例示で良いんですけれども、どの程度の作業を事業者はすべきだと考えている かというのを、何か示していただけませんでしょうか。それは可能でしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 検討いたします。
○班目委員長 この文書自体が、非常に、ある意味では、簡潔な表現になってい るので、一般の方がこれで、これから何が行われるんだろうか、ということが、 どれだけ理解できるかどうか、ある程度、地震PSAとか、そういうものに携わ っている人は、これでパッと分かるところがあるかもしれませんけれども、必ず しも、そうではないと思うだけに、その辺の工夫もお願いしたいと思います。
他によろしゅうございますか。
久住委員からも出たように、このストレステストというのは、事業者自身が自 らのプラントの弱点みたいなものをきちんと自ら把握して、継続的に安全性向上 対策をとるための資料とするようなものだ、というふうに理解していまして、あ る意味では、今までの国の審査だとか、検査を合格さえしていれば良い、という 考え方を根本から改めるものだという意味では、是非とも、導入するべきものだ というふうに考えております。
そういう意味からいくと、是非、大枠は原子力安全・保安院の方から、こうい う形で示さなければいけないんですけれども、その細部については、もうむしろ 事業者の自主性に任せて、事業者自身がマイプラント意識を持ってやるというふうにすべきではないかと思います。それが1点と。 それから、私も時々、ついうっかり、間違ったことを言ってしまうんですけれども、ストレステストというのは、予め合格点みたいなものを定めて実施するも のではない。むしろ、自分自身の弱点を把握するためのものなので、むしろ、安 全審査を通っているという意味では、もう合格しているものであると。ただし、 このストレステストをやった結果、余りに余裕がない場合には、当然、改善が必 要ですねということになる。そういうものだと理解しております。
今日あった、今日保安院の方から提出された文書は、何点か委員の方々からコ メントがつきましたので、その辺は直していただきたいんですけれども、基本的 には、原子力安全委員会の方から差し上げた要請を裏返しにしたというか、その 要請をそのとおり実施するようなものだと思いますので、大筋としては了承でき るものだと思っています。
しかしながら、本日のコメントを踏まえて、尐し書き直していただくとともに、 是非、具体的に、どんなことがこれによって行われるのか、ということが一般の 方にも分かるような、説明資料的なものを是非、用意して、この場でもう一回、 ご説明いただきたいなというふうに思っております。
それから、もう1点、統合記者会見の方で、確か原子力安全・保安院におかれ ては、ヨーロッパの方の調査なんかもやっているというお話を聞きましたので、 是非、その内容についても次回、ご紹介いただければと思いますが、それもよろ しゅうございますでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、かしこまりました。
○班目委員長 それでは、そういうことで、今日幾つか注文を付けましたけれど も、そういう形で、是非、またこれは出し直していただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本件はこういうことにさせていただきます。どうもありがとうござ いました。
そういたしますと、本日、他にお諮りする案件はございますでしょうか。
○水間総務課長 ございません。
○班目委員長 よろしゅうございますね。
それでは、本日の会合は、これで終了させていただきます。大変ありがとうご ざいました。
午後 2時59分閉会
7/16の各紙でその概要が取り上げられているところであるが、以下、原本にあたっておきます。
同時に、第53回原子力安全委員会で、様々な意見要望が出され、原子力安全・保安院側(山田原子力発電安全審査課長)が、「検討します」と答弁されています。
次回、それらがきちんと「検討」される中で、ストレステストの内容がわかりやすく充実され、原子力安全委員会に回答されますことを期待致しております。
脱原発であるべきではありますが、一医師としては、万が一事故が起きた場合の地域住民を守る体制の整備(SPEEDIの周知体制、ヨウ素剤配布体制、医師養成も含め医療供給体制等)がきちんとなされていることも評価のひとつとして是非とも入れていただきたいと考えます。
福島第一原発での過ちを少しでも是正していただきたいと考えます。
*****原子力安全委員会 資料より*****
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan053/siryo1.pdf
東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用 原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画
平成 23 年 7 月 15 日
原子力安全・保安院
平成 23 年 7 月 6 日付け 23 安委決第 7 号において原子力安全委員会から求め られた、東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設 の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計 画について、以下のとおり定める。
1.評価対象施設
全ての既設の発電用原子炉施設を対象とし、建設中のものを含める。ただし、 東京電力福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所及び廃止措置中であっ て燃料が発電所内に存在しないものは除く。
核燃料サイクル関連施設については別途実施を検討する。
2.評価対象時点
評価は、平成 23 年 7 月 31 日時点の施設と管理状態を対象に実施する。
3.評価対象事象
東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえ、以下の事象 を対象とする。
・自然現象: 地震、津波
・安全機能の喪失: 全交流電源喪失、最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
4.評価実施方法
事業者は、以下の方法に基づく評価を行い当院に提出する。当院は、事業者 の評価結果に対する評価を行うとともに、原子力安全委員会に対し、当院の評 価結果の確認を求める。
事業者による評価は、一次評価と二次評価により構成する。なお、いずれの 場合も、東京電力福島第一原子力発電所事故の後に緊急安全対策等として実施 した措置について、明示すること。
(1)一次評価
I.評価手法
安全上重要な施設・機器等について、設計上の想定を超える事象に対して どの程度の安全裕度が確保されているか評価する。評価は、許容値に対しど の程度の裕度を有するかという観点から行う。また、設計上の想定を超える 事象に対し安全性を確保するために取られている措置について、多重防護 (defense in depth)の観点から、その効果を示す。これにより、必要な安全 水準に一定の安全裕度が上乗せされていることを確認する。
(2)二次評価
設計上の想定を大幅に超える事象の発生を仮定し、評価対象の原子力発電所が、どの程度の事象まで燃料の重大な損傷を発生させることなく耐えるこ とができるか、安全裕度(耐力)を評価する。また、燃料の重大な損傷を防止 するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示すとともに、 クリフエッジ効果を特定して、潜在的な弱点を明らかにする。これにより、 既設の発電用原子炉施設について、設計上の想定を超える外部事象に対する 頑健性に関して、総合的に評価する。
(3)評価の進め方
評価において、事象の進展過程については、イベントツリーの形式で示すこととし、イベントツリーの各段階において、その段階で使用可能な防護措 置について検討し、それぞれの有効性及び限界を示す。評価に当たっては、 以下の点に留意する。
・ 起因事象発生時の状況として、最大出力下での運転など最も厳しい運転条件を想定するとともに、使用済燃料プールが使用済燃料で満たされるなど最も厳しいプラント状態を設定する。
・ 想定する自然現象は、地震及び津波とする。さらに二次評価においてはこれらの重畳についても想定することとし、設計段階での想定事象に限らず、 最新の知見に照らして最も過酷と考えられる条件や、さらにそれを上回る 事象をも考慮する。
・ 事象の過程の検討においては、事象の進展や作業に要する時間をあわせて 検討する。
・ 原子炉及び使用済燃料プールが同時に影響を受けると想定する。また、防 護措置の評価にあたっては、合理的な想定により機能回復を期待できる場 合を除き一度機能を失った機能は回復しない、プラント外部からの支援は 受けられない等、厳しい状況を仮定する。
・ 二次評価においては、事業者が自主的に強化した施設・機能や、耐震B・ Cクラスの構造物・機器であっても合理的な推定によって機能維持が期待 できるものについては、評価に含めることができる。
・ 喪失する安全機能として、全交流電源喪失及び最終ヒートシンクの喪失を 想定するが、二次評価においてはこれらの重畳についても想定する。
・ 複数号機を有する発電所については、複数号機間の相互作用の可能性につ いて考慮する。
・ 決定論的な手法を用い、過度の保守性を考慮することなく現実的な評価を 行う。
5.一次評価実施事項
以下に示す事項について実施する。
(1)地震
1地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、耐震Sクラス及び燃料 の重大な損傷に関係し得るその他のクラスの建屋、施設・機器等が損傷・ 機能喪失するか否かを許容値等との比較若しくは地震PSA(確率論的 安全評価)の知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計 の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(2)津波
1津波高さが、土木学会「原子力発電所の津波評価技術」(平成14年)を用いて評価した設計想定津波の高さ(設計津波高さ)を超える程度に応 じて、安全上重要な建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かを 設計津波高さ等との比較若しくは津波PSAの知見等を踏まえて評価す る。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点 を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(3)全交流電源喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所 在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(4)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
6.二次評価実施事項
以下に示す事項について実施する。
(1)地震
1地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が 損傷・機能喪失するか否かを地震PSAの知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に 至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計 の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(2)津波
1津波高さが、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かについて、津波PSAの知見等を踏まえて評価する。
21の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(3)地震と津波との重畳
1設計上の想定を超える地震とそれに引き続く設計上の想定を超える津波 が発生した場合において、燃料の重大な損傷に至る事象の進展を地震・津波PSAの知見を踏まえて同定し、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
2特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(4)全交流電源喪失
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃 料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の 全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
21において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失 への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所 在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(5)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失 1内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。 21において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。 3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(6)全交流電源喪失と最終ヒートシンクの喪失の複合
1内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失と最終ヒートシンク 喪失の複合事象を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を 明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失と最終ヒートシンク 喪失の複合事象の継続時間を明らかにする。
21において特定された過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリ フエッジの所在を特定する。
3特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象 の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、そ の効果を示す。
(7)シビアアクシデント対策
1現在備えているアクシデント・マネージメント対策におけるクリフエッジ効果を明確にするとともに、シビアアクシデントの発生からそこに至るまでの時間を評価する。
2クリフエッジ効果を防止するために実施可能な措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。その際、ハードウェアのみならず、手順 書、組織体制の整備などソフト面について考慮する。
II.実施計画
1.一次評価
定期検査中で、起動準備の整った原子炉に対して実施する。
2.二次評価
全ての既設の発電用原子炉施設(ただし、東京電力福島第一原子力発電所、 福島第二原子力発電所及び廃止措置中であって燃料が発電所内に存在しないも のは除く)に対して実施し、事業者からの報告の時期は本年内を目途とするが、 欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一原子力発電所 事故調査・検証委員会の検討状況を踏まえ、必要に応じ見直す。
建設中の発電用原子炉施設については、起動までに本評価を実施する。 評価は、発電所単位で実施する。
3.当院の対応
(1)一次評価
当院は、一次評価の提出を受けた場合には、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。
(2)二次評価
当院は、提出された報告について、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。 なお、当院は、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島 第一原子力発電所事故調査・検証委員会の検討状況も踏まえ、必要に応じ、二 次評価実施事項を修正し、修正後の実施事項に基づいて評価を実施するよう事業者に対し改めて指示を行う。
*****以下は、その時の原子力安全委員会議事録抜粋*****
○班目委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまご報告がありました件につきまして、是非、ご意見、ご質 問等をお願いしたいと思います。
久住委員から。
○久住委員 幾つかちょっと確認させていただきたいんですけれども、まず、1 ページ目のところのIの2.で評価対象時点ですけれども、これは一次も二次も 7月31日の時点だと。一次は最後の方には起動準備が整ったらと書いてありま すが、これはどういう意味なのでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 設備については、事業者が次々と改 善努力をしてまいりますので、どこかの時点でフリーズと言いますか、確定して 評価にかからなければいけないと思いますので、その時点をバラバラにするので はなく、7月31日ということで設定してはどうかという考えでございます。
○久住委員 そうすると、最後の7ページ目に書いてある一次評価の起動準備が 整った炉というのは。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 起動準備が整った炉が提出してまい りますが、その時の評価は7月31日でのスナップショットということでござい ます。
○久住委員 ちょっとよく分かりませんが、ちょっと次に進めさせてください。
一次と二次の評価の違いが、要するに一次の方よりも二次の方がかけるストレ スが大きいんだというように分かりやすくは考えたらいいでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) どこまで安全裕度があるかということの確認をする、その程度が二次の方が先まで行うということでございます。
○久住委員 設計上の想定を超える事象という書き方と、設計上の想定を大幅に 超える事象という書き方になって。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) どこまで行くかというので、ちょっ とそういう表現をさせていただきました。
○久住委員 そういう意味だということなんですね。 それで複数号機の相互評価は二次についてのみ行うという理解でよろしいですよね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。
○久住委員 それとあと、具体的なイメージがよくつかめないのは、それぞれの ところで多重防護の観点からという、常に一次にも二次にも書いてあるんですけ れども、具体的には、これはどのような評価になると思ったらよろしいのでしょ うか。
例えば、津波が来た時に、多重防護の3層目はどのような機器が関係して、 どういうふうに確保されている、とかいうような具体的な説明になっていくと理 解したらいいんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 津波を例にとってお話しさせていた だきたいと思います。
まず、ある程度の津波であれば、敷地の高さに達しませんので、敷地の中には 影響が及びません。ですので、まず、敷地の高さというものが津波に対しては、 第一次の防御になるかと思います。
その次、敷地の高さを超えますと、敷地の中 が浸水してまいります。それで建屋まで浸水した時に、まず、通常の扉、その他 のものがございますので、建屋の中に水が入っていくということはないかという ふうに評価できます。しかしながら、ある程度の高さの津波がまいりますと、あ る深さで浸水いたしますので、通常の扉ですと恐らく建屋の中に水が入ってまい りますので、それを避ける上では、いわゆる浸水防止対策でパッキングをきちん とするとか、そういうことが行われるかと思いますが、それが、まず、次の防御 になります。
それから、更に高い津波がまいりますと、普通の浸水対策ではもたなくて、あ る程度、水密性をもった扉にしないと、中に水が入ってくるのではないかという ことが起きますので、そういうように浸水対策及び水密化対策をするというように、多層に防護する措置を津波に対してはとっていくことになるかと思いますの で、その対策を評価して、その多層性についてのそれぞれ、どの程度効果を持っ ているかということについての評価をしてもらいたいと考えております。
それによって設計を超えた津波が来ても、どの程度対策がとられていて、設計 を超える事象が起きたとしても、それ以上の重大な事象には至らないように防護 されているということが、明らかに示せるのではないかと考えてございます。
○久住委員 分かりました。例えば、津波の場合は、そのように何段階か防護さ れているということが、多重性という意味での考え方であって、原子炉そのもの が多重性をもって防護されているということで、どう関係するか、炉の安定性が それによって、どのように確保されているかというところまでの分析ではないと。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 今、途中までしか申し上げませんで したが、例えば、建屋の中に浸水していきますと、安全上重要な非常用DGとか、 電源設備が浸水いたしますと、それによって、安全機能の一部が失われてまいり ますので、そうすると炉心の冷却ができなくなるという形で、原子炉の安全性の 方に影響が及んでまいります。
したがいまして、非常用DGが水没しないように、高台にDGを備えておくと か、電源車を準備しておくとか、そういったような、それもまた多層性をもった 防護対策を設けていくということをやっておりまして、その辺のところの評価を したいと考えてございます。
○久住委員 分かりました。その辺、ひとつひとつ丁寧に総合的に評価して、多 重防護という思想がこのように活かされている、そして、この程度は安全が確保 されているという形が分かりやすいように、ご説明していただければと思いまし た。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) その効果を定量的にできるだけ示し たいと考えております。
○班目委員長 よろしいですか。
それでは、続いて小山田委員、お願いします。
○小山田委員 幾つかコメントと質問をさせていただきますが、まず、最初に4 ページ目のところに、6.二次評価実施事項というところで、下の方の(3)で 地震と津波との重畳というのが二次評価に入っています。それで、今回の福島の事象そのものが地震と津波の重畳であったわけで、にもかかわらず、これは二次 評価にしているという理由をご説明願いたいのと、それから一般的な意味での分 かりやすさということで考えると、これは一次評価の中に含めるべきではないか と思うんですが、それについては。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 私どもといたしましては、今回、こ の案で考えましたところでの一次評価で地震と津波の複合を書いてございません のは、この評価、イベントツリーを作って評価してまいりますが、地震のイベン トツリー、それから津波のイベントツリー、それぞれ一次評価で地震、津波のと ころで評価してまいります。
複合事象というのは、それぞれの両方を足したような形のものが、恐らく複合 事象で出てくるのではないかと考えてございまして、したがいまして、それぞれ をやっておけば、一次では十分ではないかということと、二次でも恐らく同じ評 価になるのではないかということで、一次の方でそれぞれやっておけば、あとは 確認の意味で、一次と二次で、地震と津波の複合をやっておけば良いのではない かということで、こういう形の整理をさせていただいたところでございます。
○小山田委員 技術的に意味するところは、それで分かるのですが、ただ一般に 説明する立場を考えた場合、それから説明を受ける人たちのことを考えた場合に は、地震と津波の重畳というのは、一次の側に含めるべきではないかと思います ので、それは検討をお願いしたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 分かりました。検討させていただき ます。
○小山田委員 それから次は、3ページ目の5.一次評価実施事項というところ で、(1)の1の3行目のところで、これは許容値等との比較という、地震動に 関してだと思いますが、許容値等との比較というところのこの許容値等というの が意味するところを尐し説明していただけませんか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 許容値につきましては、これはもう 安全委員の先生方には釈迦に説法かと思いますけれども、許容値に達したことに よって、直ちに機能が失われるわけではなく、基準にも余裕が含まれているとい うふうに考えてございます。したがいまして、基準に含まれている余裕について、 評価ができるのであれば、許容値そのものについて、その評価を加えた上で、その許容値を超えたことによって、起きる事象で、建屋、施設・機器の機能が喪失 されるかどうかということを評価してもらおうかということで、ここには等とい うものをつけさせていただいております。
○小山田委員 そういう意味なのだろうと思うのですが、許容値等という言葉で 意味するところというのを今ご説明にあったことも含めて、尐し丁寧に書かれて おいた方が良いのではないかと思います。
今、言われたように、地震動で特に機械系の機器が許容値というものをSs地 震動に対して、バックチェックの段階では許容値というものとの対比ということ で考えていますけれども、今、ご説明になったように、その許容値そのものが、 相当に余裕がある場合もあるわけでして、その時にはそのことをきちんと考慮に 入れなければ、今回行う総合的評価という意味がなくなりますので、それはよく 分かるように書いていただきたいと思います。
それから、もうひとつ関連して、2ページ目の上から2行のところに、評価は 許容値に対し、どの程度の余裕かという表現がありますけれども、これも尐し工 夫して表現をお願いしたいと思います。
それから、次の点は、これはその表現の問題なのですが、3ページ目の(1) の2のところで、設計の弱点を明らかにして、というところがありますが、設計 の弱点という言葉から受ける印象が、余りよろしくないのではないかという気が いたします。これは尐し中で、どういう表現が誤解を受けないような良い表現で あるかというのを検討していただきたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、かしこまりました。
○小山田委員 それから、次の件は、1ページ目で、I評価手法の3.の評価対 象事象が自然現象のうち、地震、津波と書いてありますけれども、一次評価はそ れで良いのかもしれませんけれども、二次評価の段階になってもまだ地震、津波 ということに限定するのは、余りよろしくないのではないかという気もしますの で、その他の自然現象、どういうものを含むかというのはそれぞれ考えていただ ければ良いと思いますが、そういうものも含むような表現をされるべきではない かというふうに思いますので、検討をお願いしたいと思います。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 評価対象につきましては、特に、二 次につきましては、EUのストレステストの動向もあるかと思いますので、それを踏まえて見直すことがあるということで考えたいと思っております。
○小山田委員 ここで、その表現、これは、今は一次も二次も含めたことで地震、 津波と書いてありますので、尐しそういうようなことが分かるようにしていただ きたいと思います。
それから、ここに直接書いてあることではないのですけれども、今回の事故が 起きて、いろいろ考えてみると事業者の側には国が定めた安全基準を満たせば、 それでおしまいと、それでもう十分だというようなものの見方というのが相当程 度あったのではないかと思います。
それは本来は非常に大きな問題だったんだと思います。今回のようなこういう 総合的評価をすると、事業者がそれぞれのプラント固有の状況について、非常に 詳細にと言いましょうか、非常に大切な評価ができるわけで、そういう意味でも 事業者が自分で考えて、自分のプラントの持っている余裕、その余裕の中でも一 番脆弱なところはどこか。それから、どこを改善すべきかというところが分かる 大変良い機会だと思いますので、今後のいろいろな規制のやり方を考えていく上 でも、これが大切な一歩になるというふうに思いますので、そのように指導をお 願いしたいと思います。
○班目委員長 どうもありがとうございました。 それでは、他に何かございますか。 代谷委員、お願いします。
○代谷委員 この中で、先ほど久住委員の方から、質問のあったところと関連す るんですけれども、やはり一次評価、二次評価というのは非常に分かりにくいと いうところがあるんですね。ここで、得られるところは何を目指しておられるの かというのがこの文章だけでは非常に分かりにくいと思います。
ある読み方をすると、一次評価の場合は、施設・機器について許容値がどれだ けあるのかという、それだけで終わってしまうような印象があって、ストレスで すから、負荷をかけていって、それで負荷がどこまでもつのか。着目するところ を変えるという点はあるだろうと思うんですけれども、必ずしもそういうように は読めないと思います。
二次評価の時だけ、これはざっと読んじゃうと、二次評価のところに設計上の 想定を大幅に超える、一次は大幅に超えなくていいのかと、余り超えなくていいのかという読み方をしてしまう場合もあるわけです。必ずしもそういうことでは ないと思います。
どちらにしても、安全裕度を見るんだけれども、着目点が違うとか、そういう ことを言っておられるんだろうと思うんですけれども、この文章だけ見ていると、 非常にそこのところが分かりにくい。もし、可能であれば全体的に例えば例示し て、どういうことをお考えなのかというのを、ここでイベントツリーとか書いて ございますので、そういうことで、一次評価はこういうこと、二次評価はこうい うことというような形で、やはりご説明していただきたいと思います。そうでな いと、この文章だけを読んでいると、何をやろうとしているのかというのがもう ひとつはっきりと分からない部分があると思うんです。
安全上重要な施設・機器ということが書いてあるんだけれども、地震PSAと かということになってくると、多分、地震PSAとかでやられるところは、安全 上重要で、必ずしもあるという機器でないところが起因事象になっているという 話があるので、読み方、場合によっては、矛盾をする書き方がされているという ような気がします。
そういうところ、ちょっときっちりとご説明をしていただきたいというように 思います。
例えば、評価の進め方の下で、想定する自然現象どうのう、こうのうというと ころで、設計段階での想定事象に限らず、最新の知見に照らして、最も過酷と考 えられる条件や、更に、それを上回る事象も考慮する、と書いてあるんですけれ ども、これは負荷をかけていくというのは、最新の知見も何もなくて、負荷がど こまでもつんですかということであれば、ここの部分は必ずしも最新の知見に照 らしてということでなくていいんだろうというように思います。
結局、耐性ですから、どこまでもつんだというのが最終的に、特に、二次評価 においては、必要なところになってくるというように思うんですが、この辺は、 どういうように考えておられるのかというところをお聞かせいただければと思い ます。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) まず、一次と二次の違いということ でございますが、一次については、まず、通常設計をした場合、設計したものは 許容値、許されている範囲のものとの間で、それ以下で設備が作られていることになるかと思いますので、そこが、まず、ひとつ目の余裕になっているかと思い ますので、そこを評価するというのがあるというふうに考えてございます。
二次の方については、本当に機能が喪失するかどうかというところまで負荷を かけていくというところで、要するに限界となるところまでを評価するというこ とでの余裕のとり方で、ですので、限界まで行くうちのどこかで許容値に達する 部分があり、そこが一次で評価する。二次は、そこを更に機能が失われるかどう かというところまでの評価をするということで、一次と二次の考え方を分けたい ということでございます。
それから、確率論的な評価につきまして、今回、ヨーロッパにおいても同様で ございますけれども、この評価については決定論的にやるということでございま すので、確率論的評価の知見を活用する、すなわちイベントツリーですとか、そ の他のいろいろな評価方法がございますので、そこでの知見を活用するというこ とで、今回こういうようなことを書いてございますけれども、加えて、やはりP SAの評価をいたしますと、現実的な事象の評価ができるかと思います。
したがいまして、余り現実と離れたような評価をしないためにも、PSAでの 知見を活用しながら、イベントツリー、燃料の重大損傷に至るパスというものを 現実的に評価をするということで、この知見を活用するということにしてはどう かということでございます。
それで、そういった地震PSAでいろいろ検討が進められているものも含めた 形での最新の知見を活用してもらいたい、できる限り最新の知見を踏まえて現実 的な、詳細な評価をしていただきたいということで、二次の方には最新の知見を 踏まえてということを付け加えたということでございます。
○代谷委員 今のご説明を聞いていても、まだもうひとつ、ぴんときていないと ころがあるんですけれども。
もうひとつ、今現在、こういうストレステストがやられる時の、この一次評価、 二次評価、いずれにしてもなんですが、総合評価をやられる時に、機器等のその ものについては設計値ではなくて、実力値で見るということですね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 二次では実力値です。
○代谷委員 例えば、一次は設計をする時の設計値の値で見るんだと。二次は、 例えば材料とか、そういうものについても、二次は実力値で見るんだというような切り分けだと割と分かりやすいかなと思うんですけれども、同じようなことを やっても。
そうすると今のは、一次は設計の時に使われたもので、全て安全上重要な施設 機器等について、設計値を使って、それとその許容値等、許容値等という時の等 には、先ほどのお話だと、必ずしも、いわゆる設計時の許容値だけではないよう なお話があったんですけれども、そこのところはどういうことになるんでしょう か。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 設計時に使われております評価方法 と、それから許容値を基本といたしますが、それで現実と余りに離れる場合がご ざいますので、そこについては、合理的な評価ができるところについては、合理 的な評価をして良いということにしたいということでございます。
○代谷委員 私、理解が悪いのかも分かりませんが、ちょっと今のご説明を聞い ていても、恐らくこれは実際に、先ほどのお話で、事業者にこの評価をやっても らうと、やらせるということで、それで一番弱点とかをその事業者が把握するの に、これを役立てると。いわば今までの安全規制等々ではやってこれなかったよ うなことを、やろうと今しているんだと思うんですけれども、そういうものに資 するものというようにした時に、事業者にいろいろなことを考えながらやっても らうということが必要なんですけれども、ある条件でやってくださいということ を言われるんだと思うんですよね。
私だけが理解できていなくて、事業者に理解できれば良いのかも分かりません が、このご説明の流れで事業者の方としては、私は分からないのではないか、何 をして良いのかというのが、そういうところがはっきり分からないと、アウトプ ットも、やはりいろいろなものが、いろいろ過ぎるようなものが出てきそうな気 がして、非常にそこのところは心配なところでございます。
もう尐し、もう尐し、こういうところをやるんだというところを一次、二次そ れぞれについて、分かりやすく記述をしていただいて、ご説明をいただくという ことがないと、これではやはり今の段階では、ちょっと全体として何をどういう ようにやろうとされているのかというのが、非常に分かりにくいという印象を受 けました。ご検討いただければというように思います。
○班目委員長 今の許容値等の話は、要するに、いわゆる許容値だけではなくて合理的に説明できるならば、事業者の方でここまでは持ちますよという、その根 拠を示す限りにおいては、それも認めるものであると、そういうふうに理解して よろしいわけですね。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、そうでございます。
○班目委員長 では一応、今のところはそういう理解でいきたいと思います。
他に何かございますでしょうか。では、久木田委員お願いします。
○久木田委員 今回の試みというのは、いろいろな意味で新しい動きだと思いま すが、従来の設置許可の時点での安全評価というのは、想定している状況に対し て物が壊れないということを確認することを主たる内容として行ってきたわけで すけれども、今回のこの試みでは、どれぐらい厳しい条件になったらどこがどの ように壊れて、そして幾つかの構成要素が壊れると、原子炉全体としてどういっ た状態になるかというようなところまで踏み込んで評価するということなので、 そういった意味で、本当の意味での総合的な評価ということに繋がる動きだとい うふうに考えております。
こういった評価というのは、もちろん今までいろいろな蓄積があって行われる ものであって、地震PSA、津波PSA、それ以外の機器の故障等による事象発 展に関するPSAというものも長年にわたって行われてきていて、それをベース に、今回こういうことを行うわけですけれども、それにしても、まだ完全にその 手法として成熟していない。例えば、地震PSA等についての、まだその発展の 余地がある、そういった手法を使うということだと理解しています。
それゆえに、先ほどからいろいろご意見のあった一次評価と二次評価の区別等 についての、いろいろな試みが多分実際の評価においては考えられるもので、そ の試みの中から標準的な方法というものが作り出されていけば、それでよろしい のではないか。つまり、現状として、余り一次評価、二次評価について、最初か らガチガチに決めるということよりも、そういった工学的な判断の余地を残す方 が、むしろ良い評価ができるのではないかというふうに、私としては考えており ます。
例えば、地震の評価に関する許容値等との比較、もしくは、地震PSAの知見 というふうに書いてございまして、その地震PSAについては、イベントツリー 等を使うというような話でしたけれども、フラジリティについては、一次評価の段階では全く考慮しないということになるんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) フラジリティについては、ハザード カーブと併せて使って、初めて地震PSAになりますので、単独でどういうふう に使ったら良いのかということについては、ちょっと考えた上でになるかと思い ますが、ここにこういうふうに書いてございます、創意工夫できるところについ ては、してもらいたいというふうに考えております。
○久木田委員 おっしゃるように、フラジリティは破損確率なので、壊れるか壊 れないかという、オン・オフではないという意味で、使い方については工夫が必 要であると、そういうことですよね。
それから、今回の計画ですと、燃料の重大な損傷に至る事象の過程というふう に書いてございますけれども、今回の福島第一の事故にように、燃料の重大な損 傷に至って、更に格納容器、更には原子炉建屋に影響が及んだような、そういっ た事象というのは、今回の対象範囲ではないと、そういう意味でしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。今回考えてございました燃料 の損傷を、今ご指摘のございましたとおり、至ることを防ぐということをどの程 度できているのか、ということの評価を、まず、やりたいというふうに考えてご ざいます。
○久木田委員 もちろん、第一次的には燃料の損傷が起こるようなことを防止す る、そこに重点を置くべきだと思いますし、こういった総合的安全評価というも のが、今回の第一次とか第二次とか、そういうもので完結するものではなくて、 当然ながら、より包括的な視点を持って、その安全性の向上を目指すようなこと が必要だと思いますので、尐なくとも、一次の段階で燃料損傷防止の観点から評 価されるという、そのこと自体は結構ではないかというふうに思います。
○班目委員長 よろしゅうございますか。
他に何かございますでしょうか。では、久住委員どうぞ。
○久住委員 ちょっと、こういう発言というのは非常に違和感を皆さんお持ちか もしれませんけれども、お話をいろいろ伺っておりますと、事業者自身がそれぞ れの炉について、ご自分の炉について、どの程度、安全性があるかということを 自身で考えて評価していくということは、これはまさに最近よく失われてきたと いう声を聞きますマイプラント意識、そのものの復活が重要なのではないかという思いがいたしました。 ちょっと、何となく違和感のある表現かもしれませんけれども、そういう事業者の方々の意識をきっちりと、マイプラント意識というような自分たちの炉を大 事にしていき、そして安全にしていくという、この意識そのものが非常に重要で はないかと思いましたので、ちょっと、今回のストレステストでお話しすること かどうか分かりませんけれども、そのような観点も保安院におかれては考えてい ただければと思いました。
○班目委員長 例えば、ですから、むしろこれに、そもそも、これの目的的なも のを何か書けるかどうか、ちょっとご検討いただけますか。その辺りは、では、 原子力安全・保安院の方に、尐し、ご検討をお願いしたいと思います。
他に何かございますでしょうか。
最初の久住委員のご質問の、この1ページ目のIの2.の評価対象時点を7月 31日時点に区切ったという、これは7月、8月辺りで再起動するプラントはと もかく、例えば年末のものも7月31日で必ずという意味なんでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい。
今、考えてございましたのは、どこかの時点で、やはり切らなければいけない のかということで、それを指定する上で、まず、ひとつの考え方として、ある特 定の時点ということで、私どもの案として考えたところでございます。
○班目委員長 やっぱりちょっと、これも現実問題として、例えば年末になって 立ち上げようとするプラントに対して、7月31日に戻って評価しなさいという のも、何か変な違和感があるんですが、何かお考えいただけますか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 尐し検討させていただきたいと思い ます。
○班目委員長 他に。では、代谷委員、どうぞ。
○代谷委員 今の件について、やはり今回やられている緊急の対応というか、保 安院さんが求められて、それに対応して各電力がそれぞれ対応していっています よね。それは、まだ全てが整っているというわけではなくて、今もやられて、例 えば7月31日は無理だけれども、8月だったらできるとか、そういうものがあ った時は、やはりそれを含めて考えるべきだと。実際に運転する時の時点のこと を考えてやるということであれば、これは固定をしてしまうというのは、やはり余りよくないのではないかというように思うんです。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 私どもの方で考えておりますのは、 二次の方のイメージがございましたので、二次はどこかで切らないとだめだとい うので、7月31日と、それが一次の方にも及んでいるということでございます ので、尐し工夫して、何ができないかということで考えさせていただければと思 います。
○班目委員長 では、それは検討をお願いします。
他に何かございますでしょうか。
それから、先ほど津波を例にとって、深層防護の考え方についてご説明いただ いたんですが、正直言ってこの資料を見る限り、一般の方は、結局これによって 原子力安全・保安院は、事業者に対してどの程度の作業を要求しているかという のが、ちょっと見えづらいですよね。
例示で良いんですけれども、どの程度の作業を事業者はすべきだと考えている かというのを、何か示していただけませんでしょうか。それは可能でしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) 検討いたします。
○班目委員長 この文書自体が、非常に、ある意味では、簡潔な表現になってい るので、一般の方がこれで、これから何が行われるんだろうか、ということが、 どれだけ理解できるかどうか、ある程度、地震PSAとか、そういうものに携わ っている人は、これでパッと分かるところがあるかもしれませんけれども、必ず しも、そうではないと思うだけに、その辺の工夫もお願いしたいと思います。
他によろしゅうございますか。
久住委員からも出たように、このストレステストというのは、事業者自身が自 らのプラントの弱点みたいなものをきちんと自ら把握して、継続的に安全性向上 対策をとるための資料とするようなものだ、というふうに理解していまして、あ る意味では、今までの国の審査だとか、検査を合格さえしていれば良い、という 考え方を根本から改めるものだという意味では、是非とも、導入するべきものだ というふうに考えております。
そういう意味からいくと、是非、大枠は原子力安全・保安院の方から、こうい う形で示さなければいけないんですけれども、その細部については、もうむしろ 事業者の自主性に任せて、事業者自身がマイプラント意識を持ってやるというふうにすべきではないかと思います。それが1点と。 それから、私も時々、ついうっかり、間違ったことを言ってしまうんですけれども、ストレステストというのは、予め合格点みたいなものを定めて実施するも のではない。むしろ、自分自身の弱点を把握するためのものなので、むしろ、安 全審査を通っているという意味では、もう合格しているものであると。ただし、 このストレステストをやった結果、余りに余裕がない場合には、当然、改善が必 要ですねということになる。そういうものだと理解しております。
今日あった、今日保安院の方から提出された文書は、何点か委員の方々からコ メントがつきましたので、その辺は直していただきたいんですけれども、基本的 には、原子力安全委員会の方から差し上げた要請を裏返しにしたというか、その 要請をそのとおり実施するようなものだと思いますので、大筋としては了承でき るものだと思っています。
しかしながら、本日のコメントを踏まえて、尐し書き直していただくとともに、 是非、具体的に、どんなことがこれによって行われるのか、ということが一般の 方にも分かるような、説明資料的なものを是非、用意して、この場でもう一回、 ご説明いただきたいなというふうに思っております。
それから、もう1点、統合記者会見の方で、確か原子力安全・保安院におかれ ては、ヨーロッパの方の調査なんかもやっているというお話を聞きましたので、 是非、その内容についても次回、ご紹介いただければと思いますが、それもよろ しゅうございますでしょうか。
○説明者(山田原子力発電安全審査課長) はい、かしこまりました。
○班目委員長 それでは、そういうことで、今日幾つか注文を付けましたけれど も、そういう形で、是非、またこれは出し直していただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本件はこういうことにさせていただきます。どうもありがとうござ いました。
そういたしますと、本日、他にお諮りする案件はございますでしょうか。
○水間総務課長 ございません。
○班目委員長 よろしゅうございますね。
それでは、本日の会合は、これで終了させていただきます。大変ありがとうご ざいました。
午後 2時59分閉会