午後から寒い。夜に入ってからは、さらにゾクゾクと冷え込みを感じている。
厚手のとっくりのセーターで首まで覆い、こんなに寒い家ってあるのかよー、と日々ぼやいていた頃。家の中にいて吐く息が白い、そんなことありかよ~。…だった。
それでなくても寒さ嫌い。外よりも家の中が寒く感じるなど、情けなかった三十年ほど前。なのに、日々さらされる面の皮は厚くなり、体も鍛えられるのか、慣れというのは恐ろしや。“とっくり”などは着ていられなくなった。
冬でも薄着で過ごす家もあるだろう。そうもいかないと極力衣服でのこまめな調節となってくる。子供たちにもちゃんちゃんこを着せていたものだ。ご近所のおばあちゃんお手製のもの、母子でお気に入りだった。
私自身はあまり炬燵の経験がなく育ってきた。嫁いでから、“座る”というスタイルが入って来て、オコタが冬の居間の中心に。伸ばした足がぶつかって、狭い空間での小競り合いを始める姉弟。夕食後にごろ~~んと、婆様。新聞に余念のない人、うとうとしかける人…。それなりに団欒があったのだ。
その一部屋だけは温かい。心も温め、省エネに貢献だろうか。
次第に各部屋に散ってそれぞれの時間を過ごしだす。子供の成長と共に部屋の温度も下がっていったが、それでもなんとなく集まるのがオコタのあるところだったかなあ。
大きな堀炬燵に、今や、入り手を待っている…。
掃除もできずに、追いたてた日も懐かしい。
江戸時代の風俗。炬燵で暖を取り、歌舞伎の顔見世番付を見ている。
勝川春潮画。