京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 知る面白さ…

2010年03月26日 | 日々の暮らしの中で
言葉の「語源」に関心を持たれ本業の傍らに執筆されているというエッセイスト黒田正子さん。
どこに源を発するのか、その起源について限定することは実は難しいとされながら、ことば・ことわざ・俗諺・食べ物を通し『京都起源“ことのは”数々』と題した講演を聞く機会があった。

京を目指してようやく滋賀県草津まで来た旅人が、この先を、矢倉から湖上を船で行くか、そのまま瀬田から大津・山科・京へと陸路で入るかは思案のしどころであったという。船に乗ればその間体を休めることができ8キロの短縮になる。
ところが、比良の山から吹き降りる春先の突風、比良おろし(八荒)という風が災いを起こす。水運利用は古くから盛んであったに関わらず、破船、水難は続いていたらしい。

湖上の船旅は危険と判断し、遠回りにはなるが安全な陸路で京へ入る旅人が多かったそうな。「急がば回れ」これはこんな状況の中、滋賀県で、京へ向かう途中で生まれたことわざであったと。

例年3月36日に営まれる湖国に春を告げる法要「比良八講」、この前後に吹く風が比良おろしと呼ばれる。
昭和16年4月16日、第4高等学校(現金沢大学)のボート部が練習中にこの突風のために転覆し、11人の命が失われるという事故があった。それを悼んで作られた「琵琶湖哀歌」が心に悲しく刻まれていると言う投稿文をちょうど目にした今朝。

   遠くかすむは 彦根城
   波に暮れ行く 竹生島
   三井の晩鐘  音絶えて
   なにすすり泣く 浜千鳥

     比良の白雪 溶けるとも
     風まだ寒き 志賀の浦
     オールそろえて さらばぞと
     しぶきに消えし 若人よ   ……
 
京の天気、祭り・職人の世界・舞楽などを出所とすることばの数々。それを知ってことばを使えることの面白さを語りながら、自分は学者でもない、あまり大声でしゃべらないようにネ~という感じで笑っておられた。

                     (暗く寒い中、木瓜の花。)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする