
因幡国(今の鳥取県)のなんやらの入道とかいう者に娘がいた。娘の顔かたちが美しいと聞き及んで何人もの男性が結婚の申し込みをしたということだが、この娘、「ただ栗のみ食ひて」少しも米の類を食べなかった。
そこで親は、「かかる異様のもの、人に見ゆべきにあらず」、このような娘を嫁がせることなどはできないといって結婚を許さなかった。
というだけの、栗しか食べない変わった女性の話の一段が鎌倉時代の『徒然草』に載っている。栗は縄文時代にさかのぼって食べられていたことがわかっているようだが、火も使われ出して焼いたり茹でたり、彼らも同じように食べていたのだろうか。すりつぶして粉にしたのか?

この時期ならではで、頂き物をした。渋皮付きの栗蒸しようかん、大きいほうが私のぶん。ペロッといただいてしまって、もうひと切れ…。一方は甘露煮を練り込んだだけの羊羹。
甘さ控えめ、おいしこと! 新栗の形が粒のまま生かされているのが嬉しい。

あと一口欲しいな… と思うところでやめる、これが難しい。
大概は、食べ過ぎちゃった~、少々ムッとして終わることになる。
どこから見上げても電線が邪魔をする狭い空間。明日の天気は雨模様だけれど…。