
柔らかな雨を受けて、どのような花を咲かせてくれるのか。咲き急がないでほしい。さりげないたたずまいで時機を待つ、この蕾のままの姿でしばらくは眺めていたいと思える。愛おしいではないの!? 何気ないものは心地よく、気持ちの安らぎが生まれてくる。
2010年10月に第1回目が始まった。途中、台風やTyler誕生という出来事で中断もあって、結局二年半余という時間がかってしまった熊野古道ウォーキングツアー。最終回を目前にしてプレッシャーもあるが、それとは別に、漠然と自分の姿や心の内を思い描くし、心の奥深い所ではわくわくして仕方ないものさえ感じている。
前回の到着地「小広王子」から出発する18日の行程を、神坂次郎氏の著書『藤原定家の熊野御幸』などを参考にたどってみた。
出発後、「小半時がかりで草鞋(わらじ)峠をのぼりつめ」る。「かと思うと、次は谷底に転げこむような曲折の多い女(め)坂をまた小半時かけてくだり」仲人茶屋跡に出る。栃の河を渡ると、「その向こうには熊野街道最大の難所と言われる男(お)坂の険、岩神峠が待ちうけている」「小広峠と同じく、頭上から蛭が落ちてくるので蛭降峠八十丁と恐れられた」道で、のぼりつめると「岩上王子」だ。
そして、つづら折れの坂を谷川に沿って下っていくと「湯川王子」にでる。が、下って終わりではない。この日3つ目の急な登り坂を20分ほどかけて三越(みこし)峠へ向かう。ここは口熊野と奥熊野の境になるのだとか。登ってしまったから、下らなくてなはらない。左右を山に挟まれた深い谷あいの急な坂道を下って下って小一時間かけて、「猪鼻王子」に。
ここを過ぎれば、15分ほどで五躰王子の一つ・「発心門王子社」で、この日のゴール地となる。
土地の古老が「ホシンボ」と呼ぶ発心門は「聖域へ入る入口の門」。なんとしてもこの鳥居をくぐりたい~。どんな気持ちになるだろう。
ここから熊野本宮大社までは、なだらかな下り坂が中心で歩きやすく整備されていると説明されているが、翌19日の行程になる。
ギブアップ、…寸前、ということはなかった。が、重くなった足でバスに乗り込み、どっかと腰を下ろした回はあった。帰途、爆睡しない回はなかった。がに股歩きを余儀なくさせられたことがあった。でも、もう行きたくないと思ったことはなかった。
がんばろ~っと!!楽しみだ。これまでと変わることなく過ごそう。