京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 ひとつ屋根の下に

2012年05月03日 | 展覧会
近鉄奈良駅から東大寺を目指して、連休で込み合う人の中を歩いた。

 

表玄関は南大門だが、明治、大正期は人力車々夫が臨時でガイドをしていたらしい。そのために、仁王像を見上げて「右は運慶、左は快慶、ともに左甚五郎の作です」と、随分と変な説明がなされていたということが何かの書物にあった。ふっと笑えてくるが…。

露店が立ち並んだ先の左手に昨年10月オープンの東大寺ミュージアムが見えてきた。東大寺には宝物が数多くあるのに、これまでは展覧する施設がなかった。東大寺ですら…、不退寺の老僧が、観光振興のための政策や支援が行き届かないことを嘆いておられたのを思い出す。

国宝・法華堂(三月堂)の本尊・不空羂索観音立像の宝冠の修理(2010年から始まる)が終わって、宝冠は外したままの不空羂索観音立像と日光・月光両菩薩とともに公開されている。これを目当てに3人でやってきた。
私は、法華堂内で2度拝観した事があるが、ご本尊よりも両脇侍の菩薩像のファンだった。とりわけ月光菩薩の柔らかな祈りの姿に心惹かれるものがあった。正面の装飾品もすっきりと静かなたたずまいが好ましかった。

 
 
上段左・南大門、右・二月堂への道、下段左・二月堂、右・法華堂(三月堂)

額にも縦に目を一つ、手は8本、三目八臂という変わった不空羂索観音立像が今回はなかなか印象深く、とてつもない大きさで存在しているのを仰ぎ見た。古代奈良の都に暮らす多くの庶民は貧しい労働者であったはずだ。疫病もはやった。そうした庶民の苦しみをきっぱりと救いとる強い祈りの姿が感じられる。宝冠を戴き法華堂に入られたら、必ずもう一度参拝してみたいと思う。 

ミュージアムを出てからは東大寺大仏殿の裏手から二月堂・法華堂(三月堂)へと向かった。今日の一日を三人それぞれに文章にしてみようということになった。こんな試みは初めてだが、面白い、かな??
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする