京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 28の顔を持つ

2012年05月01日 | 催しごと
 

春の「京都非公開文化財特別公開」が始まっている。厄除け観音としての信仰を集める法性寺の秘仏、千手観音立像が公開された。法性寺は平安中期、関白藤原忠平が建立した藤原氏の氏寺で、広大な寺域だったという。


この千手観音の特徴は、頭上面の数にある。通常の十一面観音像では、頭上に10~11面だが、この観音には、中心の顔の左右に忿怒面と菩薩面の2面、頭上には2段に分かれて24面、その最上部に1面、合計28面がある点で特異な像だと解説された。
お厨子の中、小さな堂内だが正面近くから見上げても暗くて、顔つきは定かには見えなかった。穏やかな顔立ちだそうで、像高は109.7cm。桜木の一本作りというから、頭部も体部も掘り出しているのであって、寄木造りではないのだから素晴らしい。春日の作。

通常の入り口は出口になっていて、隣接した狭いガレージ内で列を作って受付の順番を待った。いったん途切れて、30分ほど後に再開。いよいよか、と思えば、更に控えの間で15分待ちして、ようやく拝観がかなうという有様だった。学生のたどたどしい説明を一方的に聞かされ、終われば次のグループと交代のためにせっつかれ、しびれかかった足で立ち上がらねばならなかった。わずか10数分、鑑賞するほどの間もないままに…。

今回、最も注目度の高い観音像だけに、特別かもしれない。知恩院の三門の公開は5月31日までだから、ゆっくり行くとしよう。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする