
11月1日から知恩寺で秋の古本まつりが開かれている。
古本まつりを主催する「京都古書研究会」は1977年に市内の古書店主の若手有志18人で結成されたという。翌年の11月に初めて知恩寺境内で今のような形の即売会が開かれ、80年代に春と夏の即売会も加わったと。そして京都の三大古本まつりとなって続いてる。参道の両側に18社が出店。強い日差しがまぶしくて、暑い。

「未知の本に偶然出会う機会を提供」されて、2冊を購入した。一冊は、一昨日に続いて石牟礼道子さんの著書で『花をたてまつる』を。もう一冊は『庄内の風土・人と文学』(東山昭子著 東北出版企画)。境内をくまなく一巡。それぞれに別々の書店で心に留まった2冊だったが、再度戻って、手に取って、ページを繰って…、レジへ! 今夏の出羽三山を巡るツアー参加の体験、もろもろの関心が今に続き、引き寄せた一冊だった。
【庄内は美しい自然の中で“質実剛健”の気風を大切にし、花よりも根を養う、いわゆる「沈潜の風」を郷学の伝統としてきた、華やかに表 立つことをきらい、だまってじっくり実力を蓄えるという気風であり、言うべきときにははっきり物を言う反骨の気概を尊ぶ風でもあった。
なすべきことをなして語らず、その事績は、信をもってわかる人のみにわかってもらえばよい。天を相手にして己をむなしくすることが大切であり、長いものには巻かれろとはちがう権威や権力に対する痛烈な抵抗の気概を含んでいると言ってよい。】(まえがき ―『別天地・庄内』、その風土的形成 より)
Ⅱ章の「庄内の人と文学」の充実が素晴らしい。句碑、歌碑、文学碑、建物、顔写真などの写真や地図も多く添えられているのは嬉しい。著者は「先人の魂に、己が生きる魂を重ねて、庄内の風土に生きた人と文学に鮮烈な出会いをしてほしい」と書いている。その思いを大切に、楽しんで拝読したい。わくわくしてきます。