
まっすぐ空に向かう大樹の、おびただしい黄金の葉の輝きも良いけれど、散るも素敵な贈り物を残す銀杏の趣き。道路脇、街路樹の小さな黄落に、なんか胸いっぱいの明るい楽しさが満ちてくる。この近くの公園では、二人の男性が竹箒で落ち葉をかき集めていた。木の葉時雨もあって、掃いても掃いてもきりはないのだけれど…。
頼まれた「4枚の原稿用紙」が埋められて、一息つける。じゃあっ、と身をちぢこませて家を出てきたけれど、身心がほぐれていくのがわかる。
どこといって目的の場所はなく歩いていたら、後方に気配を感じて振り向いた。
「やばいー、雨雲が出たあ」
「雨雲が出たぞー」
「雨雲でたってー」
先頭の少年の言葉が後ろ送りするように繰り返されていたが、自転車に乗った7、8人の少年たちは、あっと言う間に私の横を走り去った。
見上げた空には、彼らが向かった方向に大きな黒い雲が出ていた。
孫娘の個人懇談があると聞いていたのを思い出し、彼らも、そうした学校の事情で帰宅が早いのだろうと思った。
「掃けば散り 払えばまたも塵積る 人の心も庭の落ち葉も」
明日は母の祥月命日でもあり、東本願寺の報恩講に参拝したい。