京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

どうしてわかるの?

2008年10月17日 | 日々の暮らしの中で
「なんで目の見えへん人が通う学校にも桜の木があるのやろ?桜の花が咲いてるのなんかわからへんのになあ」
「そら、目で見るだけと違って、花の匂いとか花びらが落ちてくるのが顔に触ったりとか、いろんな事でわからはるのやで」

府立盲学校へと続く一帯が桜の花で満開だった、小学生の頃のこと。
「五感で感じることの大切さを、母は教えてくれたのではないか」と、振り返りながらおっしゃいます。
育った地域の徒歩圏内に、盲学校やライトハウスがあり、視覚障害のある方を見かけることは日常のことだったと。でも、それ以上のこともなく…。

千本北大路という、交通量も多い、非常に大きな交差点があるところです。
バス停で(学校まで)「一緒に行かせてもらいましょうか?」と声をかけたら、
「前にもお会いしましたね」と。
…どうしてわかるの…
「声や話し方を覚えていますから」

…匂いや歩き方、腕の曲げ方、様々なことを合わせて一人の人間を描いて記憶されていかれるのでしょう。
「顔を触ってもいい?」と言って、目、鼻・口…輪郭を確かめるように触れてこられます。
ボディタッチも。頭から肩・腕…と、やはり触って全体像をとらえる方は当然いらっしゃるわけです。

「花が咲いているのもわからないのになあ…」と感じた小学生、今は、アイヘルパーとして活動され、気さくでおしゃべり上手な女性です。

電車やバス、エレベーターの乗り降りなど、つい大丈夫かと気になり、その方の後ろや脇に立ったりする私ですが、訓練を受けて白杖で一人歩きされていますので、上手に足元は確かめられます。

先入観も固定観念も捨てて。
柔らかな気持ちで寄り添えることができれば、楽しい時間や空間は自然に共有できるはずです。
お互い、ちょっと手を差し伸べあう・声を掛け合う機会が増えれば…
それを必要とされる人たちもいるのだし…

久しぶりに“サロン”でご一緒に、6月以来でおしゃべりする機会があって。


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4 コメント

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気持ちホッコリ…… (yattaro-)
2008-10-18 10:05:34
これはある意味keiさんの最大の癒しになっているのではないでしょうか。
姫ちゃんとの時間ともちょっと異なる、母性だけでもない、もう一つ奥の人間性の吐露とでもいうのでしょうか。

自分との関わりの中で、他人に喜びを感じてもらえること、これは、“オレ・ワタシ 生きているんだわ…”と思わせる人間冥利に尽きるひとときのような気がします。文字にすると少し大げさになりますが、気持ちをお察し下さいね。
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わかっていただいている気が…yattaro-さん (kei)
2008-10-18 16:34:52
最初は、勇気が要るんです、わからなくて、知らないから。

見えないことのハンディも知るけれど、それ以上にその方の生きざまを知るにつけ、学ばされるし、得ることは多い。
でもこれって誰とでもそういうことですよね。
決して特別な、大げさなことではなくなるのです。

弱者としての部分は現実問題として多々あります。そこに少しのお手伝いをさせてもらって、というぐらい。私なりに無理なく、御一緒させてもらっているだけのことなです。

私が感じていることは、きっとyattaro-さんにくんでいただけていると思います。「ありがと~」ですね。 
サロンと称しているのは、金閣寺の近くの喫茶店なのですが、営む知人がいて、ふらっと行くといろんな顔ぶれに出会える、むしろたまり場みたいなところ。普通のお客さんが来ても座るところはないよ、というくらいです。果たして経営は…???です、知りませんが。
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>>kei様 (ryo)
2008-10-19 10:23:48
目の不自由な方に2人ほど、ハモンドオルガンを教えた経験が
あります。
全部耳からでしたが、やはり、覚えられたら決して
忘れたりされないし、熱心でした。
発表会で演奏された「青い影」の音色はわすれられません~。

本当に明るい方が多いと思いました。

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一生 懸命に…人は誰でも、ryoさん (kei)
2008-10-19 15:36:04
もちろん得手不得手はあるでしょうから、誰でもというわけにはいきませんでしょうが、感性は鋭い気はしますね。耳からですものね、すごいなあとは思います。

そう…、結構明るい方も多いですよね。でも精一杯明るく頑張ってる人もいる、そんな人と出会うこともあります。それに行動的ですよ、夜行列車で北海道まで行く女性もいるし、深夜の長距離バスで関東方面へと遊びに行く人も、一人でです。

時々お琴の演奏会やピアノのコンサートに行きます。
目が見えないというだけのことで、特にピアノはプロの演奏家として活躍され何の遜色もありません。
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