例年8月11日から16日まで、下鴨神社糺の森で夏の古書市が開催されます。今年は台風の影響で一日ずれ込み、今日12日からの開催となりました。時間がない。けど、やはり一度は覗いてみたい。我慢できずに昼から3時間だけ、今日だけ!と思って大急ぎで、いそいそしながら駆けつけました。
今朝がたも雨が降っていましたから、準備をされる書店の方々にもご苦労があったことと思われます。森の中、湿気っぽさはありましたが、ひんやりとした涼しい風が吹き抜けて、団扇を手にすることなく見て回れました。
『一期一会・さくらの花』(網野菊著、講談社文芸文庫)『石蕗の花ー網野菊さんと私』(広津桃子著、同)などないものかなと、期待を込めて文庫本コーナーがあれば目を凝らしました。
7月、「網野菊という女性作家がいる。地味な純文学作家で、老いの一人暮らしを描いたいい作品がある。特に『一人暮らし』は、他人事ではなく、しみじみとした味わいがある」と綴った評論家・川本三郎氏の文章で知って以来、心にとめていました。しかし、残念なことにありませんでした。
Amazonnや楽天市場で探すのは早いのですが、できればまずは一度手に取って開いてみたいという思いで、それをしない私のこだわり。仕方ないので図書館で借りることにします。
『漱石の思い出 夏目鏡子述 松岡譲筆録』(1994 文春文庫)を手に入れました。
鏡子さんは漱石とは真反対の性格で、いわゆる肝っ玉母さんタイプだったとか。「夫の不安を理解しない妻だった」とは、先日の夏季大学における姜尚中さんのお話でした。思いがけない1冊に出会って満足です。松岡氏は漱石のご長女筆子さんの夫です。
驚いたことに、中表紙のタイトルの下に、新聞への投稿による掲載句と思われる切り抜きが貼ってありました。
「漱石が提げて来さうな粽かな
松戸市 花島八重子」
どこのどなたから、どう巡って私の手元に届いた1冊なのでしょうか。松戸市は、私にとって思い出多き土地。不思議を感じているところです。
「初めて見るものであれば、新しい本と変わらない。まさに古い中から新しいものを見つけることがブックハンティングなのである」「古びた一冊が古びた古本屋の隅に眠っていたりする。わたしを見つけて! そして連れていってと僕に囁く本との出会いや楽しさ」。松浦弥太郎氏のやめられないブックハンティングです(『本業失格』)。うん、うん、うん!!
そして今のkeiさんにぴったりの本を
見つけられましたね。今、朝日新聞掲載の「こころ」を
時々読んでいます。若い日に読んで文庫本を買ったのですが本筋をきっちり覚えて無くて新聞掲載を
新鮮な気持ちで読んでいます。自分の中で少しは
奥深く感じられるようになったかなぁ。
糺の森の濃い緑が眼に浮かびます。
目的の本を探すのも楽しいですし、思わぬ出会いがあればなおの事。
わくわくしますね~。
本を読むことも途切れると遠ざかります。
図書館に予約しても忘れてしまうほど先の事・・・
私は何事にもいい加減な人?
反省しきりです(笑)
夏目漱石を訪ねての「吟行」に参加したので
とても漱石が近い存在になりました。
それまで手にしては挫折していた漱石でしたが
kindleで無料購入した心や我が輩は猫であるなど
読みなおしましたが、とても面白かったです。
漱石邸に正岡子規との友好を深める石碑がありました。漱石が好きになりました。
一度その場に立ってみたいと思いながら、なかなか実現していません。
確かに、Amazonnや楽天市場で探せば手に入る書籍かもしれませんが、古書市の雰囲気の中で、目当ての一冊を探す。これが醍醐味なのでしょう。
たとえ古くても初めて出会えた本。内容の新鮮さはいつだって同じなのでしょう。
迷わず手が出ました。
こういう出会いもあるから(なくても)楽しみに足が向きます。
『門』を姜さんは何度も繰り返し読まれてきたこと、お話でした。
以前図書館で借りて読んだ『湖の琴』(S54)の文庫本も見つけまして~。
手元に欲しい、もう一度読む機会が欲しいと思って買ってしまいました。
一直線に目に飛び込んできました。ピターっと視線があったような?(笑)
「見つけてくれてありがとう」と思ってくれていたら嬉しいですね~。
手に入りにくい本中心に図書館を利用していますので、
予約した体験はありません。
何人か先の事となると、忘れてしまうこともあるでしょうね。
姜さんも熊本のご出身ですね。
鎌倉の円覚寺なども深いかかわりが。京都でも…。
吟行を通して漱石に迫る、いいですね~!!
私もざっと、若い頃人通りは読んでいますが、ざっと、です。
いま一度と強く思いました。
そんなことを思って帰ってきた矢先にこの出会い、嬉しくてたまりません。
ネットを利用すれば多くは手に入りますが、ちょっと違うこだわりが~。
年に3回、宅配業者もスタンバイ、手ぶらで帰れます。一度お出かけになってみてください。
よくぞ私の手元に、と思えた一冊。
古い本ですが、私にとっては新刊本みたいなものですね。