Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

アルバニア周遊 5 ティラナの午後

2024-10-17 15:40:03 | ヨーロッパ

9月18日 続き

城壁沿いの遊歩道から少し北へ入るとアルバニアの負の遺産を代表するものが見えてきた。
 ホッジャの独裁時代、周りの国すべてを敵として国防のためにと国中に掩蔽壕を作らせた。その数、75万基というのだからパラノイアというしかない。
大きさは様々だそうだが、中でも大きな核シェルターとして作られたものの一つが今は観光施設になっている。
 
バンクアート2と名付けられたここは観光名所の少ないティラナなので各国からのツーリストで大賑わい。
 受付には「過去を忘れる者はそれを再体験することになる」という警句が。
入場料は一人9ユーロとお高いが、60歳以上は5ユーロに割引になって助かる。

中に入ると狭い廊下が縦横に繋がり、その両側に小さな部屋がいくつも作られている。
  
当然窓などはなく、まるで刑務所のようだが、小部屋の展示のほとんどはアルバニア独立と同時に設立された国家憲兵隊の歴史。これが共産党独裁下で大変な権力を持ったわけで
  
盗聴道具の数々などマンガのようだが、もちろん笑い事ではない。この後、各地を回るうちにわかってきたが、この国で今でも一番憎まれているのは長い支配だったオスマントルコでも世界大戦の敵国でもなく、共産党政権なのだ。
 思ったよりも大きくて息が詰まりそうな地下シェルターから出るとほっとする。

周りにはかわいい建物がいっぱいあるが
  
 
これらは実はお役所。その真ん中だから大きな核シェルターが作られたのだろう。

ここからまたちょっと行くと時計塔が見えてくる。
 1822年のオスマントルコ時代に作られた塔の高さは35m。1970年までティラナにはこの塔より高い建物はなかったのだそうだ。

その隣には時計塔を建てたエセム・ベイ・パシャのモスクがある。
  
  
  
 
小さいけれど外も中もとてもきれいなモスクでうっとり。
18世紀末に建てられ、2021年にトルコの援助で修復されたとか。

 
時計塔の周りには今や高いビルがどんどん建って、インターコンチの黄色いビルも目立つが

その前に広がっているのが大きなスカンデルベク広場。

片隅には名前の由来、アルバニアをオスマントルコからわずか40年ながら独立させたスカンデルベクの銅像が立つ。たったの40年でも国の英雄なのだから、この国がいかに他国に侵略され続けたかがわかる。
  
広場の反対側には国立博物館があるが、残念ながら改修工事で閉鎖中。

 
こちら側には劇場や図書館が入る建物があって、中に書店があったので覗いてみると、英訳された日本の漫画がずらり。ここまで浸透しているとは、今更ながらすごい。

午後になると日差しが強くて暑くなってきたので、この後はお茶をしながらホテルで休憩。
暗くなってから夕食に出るが、遠出も面倒なのでホテルのすぐ隣のレストランへ。
  
するとここが思いがけずおしゃれな店で、天井からはなぜかクラゲが下がっていたりもするが
  
 
魚の出汁がよく出たスープやパスタなどおいしくて一安心。
二人でシェアして一人2000レク(約3200円)だったが、実は今回の旅でここが一番高かったのだからヨーロッパとしては確かに食事が安い。

食後は腹ごなしに散歩に出ると、ピラミッドに照明がつき、満月が上ってきれい。
 
  
中はカラフルな箱が積み重なる造りになっていて、今はITオフィスなどが入っているのだそうだ。


 ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする