雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

つれづれなぐさむもの

2014-10-04 11:00:23 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第百三十三段  つれづれなぐさむもの

つれづれなぐさむもの。
碁・双六。
物語。
三つ四つの稚児の、ものをかしういふ。また、いと小さき稚児の、物語りし、「誰が家(タガヘ)」などいふわざしたる。
菓子(クダモノ)。
男などの、うちさるがひ、ものよくいふが来たるを、物忌なれど入れつかし。


つれづれを慰めるもの。
碁や双六。
物語。
三つ四つの幼児が、かわいらしくおしゃべりしているの。また、もっと小さな幼児が、ひとり言を話したり、「誰が家」などという遊びをしたりしているの。
菓子(果物のこと)。
若い男性などで、冗談がうまくて、気のきいたおしゃべりが出来るのが訪ねてきたときには、物忌であっても中に入れたいものです。



前段の裏返しのような章段です。
「物語」というのは、物語文学を指すと思われますが、単に読むということだけではなく、発表したり批評したりの場を指しているようです。少納言さまも主役の一人だったのでしょうね。
菓子(クダモノ)は果物のことですが、間食全般のことでもあり、酒の肴を指すこともあります。つまり、退屈まぎれに食べるあたりは、現代に繋がっている文化でしょうね。

「誰が家」というのは、「トントントン、ごめんください。こちらはどなたのお家ですか・・・」といった遊びのようです。
このあたりは少納言さまの母親の顔がうかがえますし、物忌に若い男を招き入れるなど女性の部分を垣間見せたり、短い章段ですが面白い内容です。
コメント
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