雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ヒトは進化するのか ・ 小さな小さな物語 ( 1221 )

2019-12-08 15:03:53 | 小さな小さな物語 第二十一部

「ヒト」は今、どの辺りを歩いているのでしょうか。
私たちの祖先は、遥かな昔に、驚くほどの偶然と、奇跡的な出来事に出会いながら、何万世代、あるいはそれ以上の世代を紡ぎながら、今日という日を迎えているのでしょうが、その間、どのような進化を重ねてきているのでしょうか。
多くの研究結果が示しているように、肉体的、あるいは外観的な進化はなされてきているのでしょうが、明らかに退化している部分もあるようです。その一方で、精神的、あるいは賢さということになれば、果たして進化がなされているのでしょうか。あるいは、肉体面と同様に、進化している部分と退化している部分が混在しているのでしょうか。

人類がこの地球上に登場したのはいつなのか? 
古来、多くの人々が思い描いたテーマの一つではないでしょうか。現代に近い時代になると、哲学的な発想ばかりでなく、実際に発掘された物をベースとした研究が、飛躍的に進んでいるそうです。しかし、なお、断片的な化石をもとにした研究では、限界があるのは当然といえるでしょう。
現在生存いる私たち、すなわち「ホモ・サピエンス(現生人類)」は、その数75億人を越えているようですが、ただ一つの種です。しかし、人類と呼ばれるような種は、過去に少なくとも20数種以上が存在していたようですが、現在生き残っているのは私たち「ホモ・サピエンス(現生人類)」ただ一種ということになります。

さて、その広い意味での人類が地球上に登場したのはいつか、ということになりますと、なかなか難しいそうですが、学術的にはともかく、乱暴な判断は出来そうです。
出現した化石をもとに推定されているものも、比較的近い研究結果でも、440万年前というのが定説化しかけた時代があったようですが、その後の化石発見で、600万年前、700万年前と遡っているようですから、とても定説化させるのは困難なような気もします。それでも、素人考えとしては、1千万年や2千万年前までは遡ることはあっても、1億年前まで遡ることはないように思うのです。
一方、私たちの直接の祖先の登場がいつかということになりますと、こちらはほぼ定説化されているようです。
およそ20万年前、アフリカで誕生した私たちの祖先は、およそ6万年ばかり前に郷里を離れて、長い年月を重ねてその子孫が世界中に広がっていったそうです。もちろん異説もあるようですが、これがほぼ定説となっているようです。

広い意味での人類が登場しておよそ1千万年、私たちの直接の祖先が登場しておよそ20万年。
この間、私たちの種は進化を遂げてきていのでしょうか。発見されている化石から、体形の変化や脳の大きさなどの変化は確認されています。しかし、脳の大きさが、記憶力や判断力、つまり生存のための知恵や知識の高度化には役に立っているのでしょうが、もっと根本的な知恵、情緒、慈愛などといった面の進化はなされているのでしょうか。
昨今の、国家間の軋轢や、地域紛争、国内においても多発する残酷な事件などを考える時、「ヒト」は本当に進化を遂げているのかどうかと、考えてしまいます。
もっとも、6600万年前に突然滅亡したとされる恐竜は、登場から1億6千万年ほどの時を進化とおそらく退化も繰り返したことでしょうから、人類の1千万年程度の経験など、知恵だ情緒だ慈愛だなどと叫ぶのは、1億年早いのかもしれません。
そうとはいえ、「ヒト」は今、どの辺りを歩いているのでしょうか。そして、どの方向に向かっているのでしょうか。

( 2019.08.04 ) 


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