これは両者とも悪いのだ。しかしお互い自分が正しいと思っているからやっかいなのである。売り言葉に買い言葉、端からは聞くに堪えない罵詈雑言の応酬である。聞くに堪えないのだが、自分は当事者ではないのでドラマをみている観客のようなつもりで傍観していた。ある意味これまた面白いものである。さてしばらく楽しんでいたが、中年女性の「この糞婆あ!」という言葉を最後に自然閉会となった。あれ、もう終わりですか? しかしどっちも悪いのによくまあお互い自分のことを棚にあげて人のせいにできるんだなと感心することしきりであった。まあとにかく怪我がなくてよかった。怪我がないのが一番である。もし怪我でもされたら、クリニックの近くなので、うちに受診する可能性がある。このような「自分は悪くない。被害者である」という患者さんの傷は通常よりも痛くなりやすいので厄介なのである。また診察室に座るなり延々と事故の説明が長い。これがまたとても冗長で面倒なのである。