以前もこんなことがあった。高血圧で通院中の患者さんである。あまり定期的な採血や検査を好まない方である。「そろそろ採血の時期ですけど?」と勧めても「いや~検査はいりませんよー」とやんわり断られるのが常であった。ところが腹部が重く食欲がないと来院した。患者さんのほうから希望されれば別であるが、自分は胃カメラの検査を初診時から予定することはほとんどない。普段なら胃薬を処方して様子を見ましょうというのだが、この日だけは「へんな予感」がした。あまり乗り気ではない患者さんの言葉を遮り、「明日すぐ胃カメラやりましょうね」と割と強引に胃カメラを勧めた。(たぶん何もなかったらこの患者さんには嫌われるだろうな)と半ば賭けみたいな気持ちであった。